LDHは「スポ根です(笑)」 E-girls出身・山口乃々華、事務所社長HIROからの学び…ミュージカルで生きた経験とは

俳優の山口乃々華が、今月19日から東京・あうるすぽっとで上演中のミュージカル『SERI~ひとつのいのち2026』に主演している。同作は、こだわりの舞台や映像コンテンツを企画プロデュースするconSept(代表・宋元燮/ソン・ウォンソプ)が企画する『conSept2026:シーズンReBORN』の一つ。目も鼻もない状態で生まれた女の子・千璃(せり)と彼女の母・美香による8年間の闘いをつづった実話に基づく物語で、原作ではニューヨークで働くキャリアウーマン・倉本美香氏の実体験を記している。そして、舞台化した同作では視点を原作者から娘の千璃に切り替えている。2022年に初演され、今回は4年ぶりに上演の26年版だ。ENCOUNTは、繊細な役どころの千璃を演じる山口にインタビュー。ダンス&ボーカルグループ・E-girlsを経て、『SPY×FAMILY』『ジェイミー』などミュージカル俳優としても活動する27歳に、作品への思いと自身の歩みを聞いた。

難役に再挑戦中の山口乃々華【写真:増田美咲】
難役に再挑戦中の山口乃々華【写真:増田美咲】

ミュージカル『SERI~ひとつのいのち2026』で主演

 俳優の山口乃々華が、今月19日から東京・あうるすぽっとで上演中のミュージカル『SERI~ひとつのいのち2026』に主演している。同作は、こだわりの舞台や映像コンテンツを企画プロデュースするconSept(代表・宋元燮/ソン・ウォンソプ)が企画する『conSept2026:シーズンReBORN』の一つ。目も鼻もない状態で生まれた女の子・千璃(せり)と彼女の母・美香による8年間の闘いをつづった実話に基づく物語で、原作ではニューヨークで働くキャリアウーマン・倉本美香氏の実体験を記している。そして、舞台化した同作では視点を原作者から娘の千璃に切り替えている。2022年に初演され、今回は4年ぶりに上演の26年版だ。ENCOUNTは、繊細な役どころの千璃を演じる山口にインタビュー。ダンス&ボーカルグループ・E-girlsを経て、『SPY×FAMILY』『ジェイミー』などミュージカル俳優としても活動する27歳に、作品への思いと自身の歩みを聞いた(取材・文=コティマム)。

――2022年に続き、再び千璃を演じることが決まった時の気持ちは。

「conSeptの宋さんとは、2024年の夏にミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』でもご一緒していて。その時に、『SERIを再演したい』というお気持ちをずっと聞いていました。『ようやく実現できるんだ』と思い、すごくうれしかったです」

――目も見えない、鼻もない、耳もない。とても難しい役どころですが、初演時はどのように演じるのか想像がつきましたか。

「全くついていなかったです。『これ、どうやって表現するんだろう?』とずっと思っていました。でも、演出家の下司尚美さんが巧みに演出してくださって、すごくしっくりきたのは覚えています。今回も難しさがあるのは変わらないですが、経験を積んできたからこそ見える部分や、『チャレンジしてみよう』と思える幅が広がっているので、新しく千璃ちゃんを作っていく気持ちで頑張りたいです」

――どのように役作りをしていますか。

「初演時に、千璃ちゃんの映像はすごく見ました。実際のニューヨークのニュース番組がYouTubeにアップされていたので調べて見たり、ヘレン・ケラーのマンガを読んだりして勉強しました。今回も千璃ちゃんの映像はちゃんと見ます。うまく言葉を話せない、発達のスピードが普通よりもかなり遅い千璃ちゃんを演じるにあたって、『こういうものだろう』と(決めて)取り組んじゃうと絶対にダメだと思っているので。ピュアに受け止めることが一番だから、『こういう声色で、こういう風にしゃべろう』とは一切考えないでやりたいです。あまり、装飾物をつけずに挑む方が受け入れてもらえると思いますし、自分の中でも『変な邪念』がない状態で演じられるんじゃないかな」

――今回は初演時とメンバーが違います。母親・美香役のジェイミンさんや、父親・丈晴役の坂田隆一郎さんとは何かお話されましたか。

「初演組は私と弁護士役の小林タカ鹿さんだけですし、4年経っているのでまっさらな気持ちではあります。ジェイミンさんとはご飯も行って、坂田さんもよくお話しするので、距離は縮まってきています。ジェイミンさんの大きな包容力に飛び込んでいきたいです。坂田さんは現場でも既に(役名の)『たけちゃん、たけちゃん』って呼ばれていて、とてもいい家族になれるだろうなと思っています。実は稽古の前にワークショップ型の『ハラスメント研修』があったので、そのお陰でみんな既に一致団結しています」

――どんなことをしたのですか。

「全員で協力してワイヤーを操って木を積み上げていくゲームをしたり、みんなが『どういうタイプなのか』を知る時間があったり。『聞き役に回る人』『アイデアがポンポン出てきてしゃべりたい人』『仕切りたい人』『言葉を選ぶ人』などいろいろな性格がありました。メンバーがどんなタイプなのかを知ることができて、この時間があってすごく良かったです」

ライブパフォーマンスと舞台芝居の「違い」を語った山口乃々華【写真:増田美咲】
ライブパフォーマンスと舞台芝居の「違い」を語った山口乃々華【写真:増田美咲】

ライブの感覚とは違う「お芝居」

――山口さんはE-girlsの経験から歌やダンス、体で表現することは慣れているかと思います。ミュージカルにいかせていることや、逆に難しく感じることはありますか。

「全てがつながっていると感じています。うちの事務所(LDH JAPAN)はスポ根なので(笑)」

――スポ根ですか。

「トライすることに対して、後押ししてくれるスポ根事務所です(笑)。『やってみる』『飛び込んでみる』という気持ちはここですごく培われたのと、大所帯のE-girls時代の教えから、私自身は(他の分野にも)ちゅうちょなく飛び込めるタイプです。ただ、今までパフォーマーとしてアリーナなど大きな舞台に立ってきましたが、アリーナ規模ではない客席数でも、お芝居となると『責任感』みたいなものがより大きく感じられて、難しいです。お芝居になると、その瞬間の発する言葉を初めて聞く人もたくさんいるので、すごく緊張します。『場数を踏んでいる』とか『ライブ慣れしてるじゃん』と言われることもありますが、全然違うと今も思います」

――主演となると、「座長」としてカンパニーをまとめていく側になります。座長の心得など事務所社長のHIROさんから学んだことはありますか。

「HIROさんが素敵なのは、『いつも見てくれていたんだな』と思えるところです。メインで歌っている人と同じくらい、メンバーのことをとても大切にしてくれるので大好きです。そこを見習って、カンパニーの空気が絶対に良くなるように守りたいです。今回私は2回目なので、ちょっとだけ余裕があると思うんですね。自分のことでいっぱいいっぱいになることは避けられると思うので、周りに気を配って、困っている人がいたら『こういう風にやるのもありかもしれませんよ』って、声をかけられるチャンスもあるのかなと」

――忙しい生活の中で、自分の気持ちや体力を維持するためにやっていることはありますか。

「お仕事から帰ってきて、お風呂にお湯をためている時間によく紅茶をいれます。『今日はどれ飲もうかな~』って悩む時間も好きですし、温かいものをゆっくり飲んで内臓を落ち着かせると、心も回復していく気がします。最近は、燻製(くんせい)和紅茶をよく飲みます」

――この作品を通して、どんなことを観客に伝えたいですか。

「きっと誰もが、自分の親や、娘や息子、恋人、友達、ペットといった誰かのことを思って生きていて、思いが強くなればなるほど、周りが見えなくなる瞬間もあると思うんです。そういう場面が劇中でもリアルに起こります。見てくださる方には、一緒に救われてほしいし、一緒に戦ってほしい。『誰も間違っていなくて、その大元は愛なんだよ』と再認識していただけたら。そして“ハンデ”がある方だけが大切にされて特別視されるべきわけではなく、『みんなそれぞれが特別なんだよ』ということを伝えられる作品です」

□山口乃々華(やまぐち・ののか)1998年3月8日、埼玉県生まれ。2011年にLDH主催『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~』選出。ダンス&ボーカルグループ・E-girlsとして、12年発売の『Follow Me』で活動開始。14年の日本テレビ系オムニバスドラマ『恋文日和』第7話で主演を務め、俳優業を開始。E-girls解散後の21年から、ミュージカル『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』『ジェイミー』『あなたの初恋探します』『SPY×FAMILY』などに出演。22年の『SERI~ひとつのいのち』でミュージカル初主演を務めた。160センチ。血液型A。

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