往年の大人気ドラマ「太陽にほえろ！」(日本テレビ系)で“ボン刑事”役を演じ人気だった宮内淳さん(享年70)が8月14日に亡くなり、9月6日に訃報が伝えられた。ショックを受けたファンは多かっただろう。その宮内さんと同時期に「太陽にほえろ！」で活躍していたのが俳優・木之元亮さん(69)だ。木之元さんは今、どんな思いでいるのか。ENCOUNT編集部を訪れた木之元さんに聞いた。

　いや～宮内さんの訃報は、すごいショックでしたね。「太陽～」で共演した方たちとは、今はもうほとんどお付き合いはなくて、宮内さんも「太陽～」降板(1979年)後、あまり長く俳優をやられずこの業界を離れていたので、なかなか会う機会はありませんでした。なぜ俳優をやめたのかは分かりません。「太陽～」当時からあまり演じることに固執していなかった。自分で事業か何かをやりたい、と考えているようでしたね。7、8年前に「太陽～」のDVD化の特典映像を撮るために対談とかをしたのが、お会いした最後だったと思います。ひょうひょうとして、ざっくばらんな方でした。

「太陽～」出演時は、撮影の後、渋谷へよく飲みに連れて行ってくれました。難しい話なんてしなくて、酔っ払っても楽しいお酒でした。僕がNG出したり芝居で失敗したりして落ち込んでいると、「気にするな。やることやってれば結果はついてくるんだから」「みんなそうだから」と励ましてくれてね。思い出として一番残っているのは、結婚の相談をしたとき。僕は「太陽～」でデビューした翌78年に結婚したんですけど、結婚する前に「実は好きな人がいて……」って話したんですよ。そうしたら「テレビ局も事務所も気にしなくていいよ。好きなら結婚したほうがいい！」って思いっきり背中を押してくれました。

「太陽～」の新人刑事役がこれからって時に結婚するなんて、前代未聞でしょ。当時、週刊誌に張り込みされて尾行されて。それで結婚がバレて、日本テレビの岡田(晋吉プロデューサー)さんに怒られました(笑)。そんなタイミングで結婚したのは、子どもができたからじゃなくて、好きになった女性に、自分が本気だと信用してほしかったから。僕はあまり“自分は芸能人だから”という気持ちを持たないようにしてきたんですよ。

　彼女――今の女房ですけど――彼女とは高田馬場のジャズバーで出会って、4か月で結婚しました。彼女のことをひと目で気に入って、「今度ご飯食べに行こう！」って誘いました(笑)。女房はジャズシンガーを目指して、お店でレジ打ちのアルバイトをしていたんです。当時まだ20歳で、音楽系の短大を卒業するかしないかの頃でしたね。