「恩返しできてない」最後まで現場に立った安田忠夫さん 警備会社代表が涙 果たせなかった約束
2月8日に亡くなった元プロレスラーの安田忠夫さん(享年62)の葬儀が17日、都内の斎場で営まれた。亡くなる2日前までともに現場に立っていた警備会社代表の松本英昭さんは、「自分の中では何も恩返しできていない。それが心残りです」と言葉を絞り出した。

警備員としてともに働いた同僚が悼む
2月8日に亡くなった元プロレスラーの安田忠夫さん(享年62)の葬儀が17日、都内の斎場で営まれた。亡くなる2日前までともに現場に立っていた警備会社代表の松本英昭さんは、「自分の中では何も恩返しできていない。それが心残りです」と言葉を絞り出した。
安田さんはプロレスラー引退後、職を転々としながら、ここ10年は警備員として働いていた。5年前、松本さんが上京して警備の仕事を始めたばかりの頃、初めて入った現場で出会ったのが安田さんだった。
「交通誘導のやり方や注意点を1から10まで全部教えてくれた。夜勤で、始発まで2人で待ちました。自分にとっては東京で初めてできた知り合い。いろいろ面倒を見てもらって、本当に感謝しかないです」
松本さんが2年前に独立すると、安田さんは契約社員として加わった。
「会社を立ち上げる時、『力になるよ』って言ってくれて。亡くなる直前も、人手が足りないと話したら、『どんなやつでもいいから、まっちゃんの会社に送ってくれ』って知人に電話してくれていた。最後の最後まで心配してくれました」
一方で、趣味のギャンブルにのめり込む一面もあった。給料を前借りし、勤務中にスマートフォンをいじることもあった。金に困り、松本さんに頼ることもあったという。
「もっとこれから迷惑をかけてもらう予定でいたのに。迷惑かけたくなかったのかな。こんなことになっちゃって……」
人情味あふれる姿も忘れられない。
「うちの嫁がキックボクシングをやっていて、いつも応援に来てくれました。『チケットをプレゼントしますよ』って言ったら、『いや、自分で買わないと文句言えないから』と買ってくれて。22日の試合も、すごく楽しみにしてくれていたんです」
家族ぐるみの付き合いだった。突然の別れに、心の整理はついていない。
「最近、寝坊が多くて、『ごめん、寝坊しちゃった』って電話が2、3回続いていた。実感が湧かないです。また電話がかかってくるんじゃないかって」
「ギャンブルで勝ったら、リベラに連れてってやるよ」。そんな約束も果たされぬままとなった。松本さんは喪失感と向き合いながら、安田さんの優しい笑顔を思い浮かべた。
葬儀には小川直也、橋本大地、田山正雄レフェリーら生前親交の深かった関係者が参列。新日本プロレスの棚橋弘至、永田裕志、佐山サトルらから供花が贈られた。デビュー戦の相手だった馳浩も弔電を寄せ、安田さんの冥福を祈った。
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