「雪で家が潰れるかも」途方に暮れた一人暮らしの女性 豪雪の街でSNSがつないだ“見知らぬ善意”
自宅の雪下ろしを業者に依頼しようとしたところ、「2週間待ち」と告げられた。毎年、雪下ろしをしていた夫が昨年亡くなり頼れる人もいない。そんな窮地を救ったのは、SNSの力だった。大雪に見舞われている今冬の日本列島で起きた、心温まる助け合いを取材した。

「どうしよう」SNSのつぶやき、豪雪の一人暮らしを救う
自宅の雪下ろしを業者に依頼しようとしたところ、「2週間待ち」と告げられた。毎年、雪下ろしをしていた夫が昨年亡くなり頼れる人もいない。そんな窮地を救ったのは、SNSの力だった。大雪に見舞われている今冬の日本列島で起きた、心温まる助け合いを取材した。
「来てくださった方は、知人や困っている人の雪下ろしを率先してやっていらっしゃるようです。お金をもらっても、なかなかできない仕事の一つだと思います」
こう感謝の気持ちを語るのは、新潟・長岡市に住むかをるさん。日本でも有数の豪雪地帯である長岡市は、今年は例年以上の大雪に見舞われている。
「今年は寒波が長く、10日ほどでしょうか。止むことなく雪が降り続きました」
かをるさんは、猫2匹との一人暮らし。玄関前を除雪するのが精いっぱいで、雪はみるみる積もっていった。
「町内の家々は、倒壊を防ぐため雪下ろしを1回は済ませていて、まだ手を付けていない家はわずかでした。例年であれば夫が屋根に上がっていたのですが、夫はすでに他界しており、頼れる人がいませんでした。ご近所の方も自分の家のことで手一杯で、とてもお願いできる状況ではありませんでした」
身の危険は、家の中にいても感じるほどだった。
「雪の重みで家の中の戸が開かなくなり、雪庇(せっぴ)も大きくなっていました。寝ている間に倒壊し、翌朝は雪の下敷きになって、春まで誰にも気づかれなかったら……と、不安しかありませんでした」
頼みの綱は雪下ろし業者だった。わらにもすがる思いで電話をかけたが、返ってきたのは厳しい現実だった。
「予約がいっぱいで2週間待ち。雪を下ろすだけで後片付けはなく、それでも15万円以上かかると言われました」
なすすべのない状況に追い込まれたかをるさんが取った行動は、SNSへの書き込みだった。
「次の週末にも寒波の予報が出ていて、これ以上積もったら本当に危険だと感じました。途方に暮れ、その気持ちをそのままスレッドに書き込みました。助けを求めたわけではなく、『どうしよう』という思いをつぶやいただけでした」
「助けて」という言葉は使わなかった。それでも、SOSの思いは読む人の心に届いた。
「スレッドを立ててすぐに、『長岡のどこですか?』『必要なら連絡してください』『大工の友人と一緒に行きます』といったDMが届き、驚きました」
SNSは犯罪に利用されるイメージもあったというかをるさん。しかし、やり取りを重ねるうちに「この人たちは大丈夫だ」と直感したという。
「市内で介護に関するお仕事をされている方でした。お連れの方は大工さん2人で、2日目は4名で来られて最後までキレイに雪を片付けてお帰りになりました。その後にお仕事に行かれた方もいたみたいです」
2日間にわたる作業で、母屋や物置の雪下ろしはすべて完了した。かをるさんは感謝の気持ちとして、ささやかな謝礼と食事を用意して振る舞った。

豪雪地帯の奇跡 「助けあえる日本」に称賛集まる
「少しでもお腹を満たしてもらえたらと思い、おにぎりと豚汁を用意しました。雪下ろしは、想像以上の重労働ですから」
かをるさんは、SNSに一部始終を報告した。「本当に本当にありがとうございました 神様に見えた」とつづると、「世の中捨てたもんじゃないな」「この投稿で心がぽかぽかになりました」「助けあえる日本、日本人って素晴らしい」など、多くの反響が寄せられた。
SNSをきっかけに生まれた善意の連鎖は、豪雪に覆われた街に、確かな温もりを残した。
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