富士山巡るインバウンド“観光公害” 民家の庭先で排泄、凍結した湖への立ち入りも…自治体対応に限界

世界中から観光客が訪れる日本一の山・富士山を巡り、各地でさまざまなトラブルが相次いでいる。山梨・富士吉田市は3日、毎年約20万人が訪れる「新倉山浅間公園桜まつり」について、2026年の開催中止を発表した。また、富士五湖の一つである山中湖観光協会は、先月下旬から、凍結した湖への立ち入り禁止について異例の注意喚起を繰り返している。現在、冬季閉山中の登山道でも遭難事故が相次いで発生しており、自治体側は救助費用の負担に頭を悩ませている。

富士山と五重塔を一望できる絶景が人気の「新倉山浅間公園桜まつり」【写真:富士吉田市提供】
富士山と五重塔を一望できる絶景が人気の「新倉山浅間公園桜まつり」【写真:富士吉田市提供】

凍結した湖への立ち入り禁止を日本語・英語・中国語の3か国語で呼び掛け

 世界中から観光客が訪れる日本一の山・富士山を巡り、各地でさまざまなトラブルが相次いでいる。山梨・富士吉田市は3日、毎年約20万人が訪れる「新倉山浅間公園桜まつり」について、2026年の開催中止を発表した。また、富士五湖の一つである山中湖観光協会は、先月下旬から、凍結した湖への立ち入り禁止について異例の注意喚起を繰り返している。現在、冬季閉山中の登山道でも遭難事故が相次いで発生しており、自治体側は救助費用の負担に頭を悩ませている。

 富士吉田市では3日、毎年約20万人が訪れる「新倉山浅間公園桜まつり」について、26年の開催を中止すると発表した。例年春の花見の時期に開催され、富士山と五重塔を一望できる絶景が人気の一方で、近年はオーバーツーリズム(観光公害)によるゴミのポイ捨てや、危険な写真撮影などの迷惑行為が問題化。トイレを借りる目的で民家のドアを無断で開ける行為や、民家の庭先での排泄行為など、衛生・人権上の問題も発生している。

 堀内茂市長は、プレスリリースを通じて「市民の皆様の静かな暮らしが脅かされている現実に、私は強い危機感を抱いています。まずは市民の皆様の生活環境と尊厳を守り抜く。そのために、10年続いた『桜まつり』という看板を下ろす決断をいたしました」と苦渋の決断の経緯を語っている。

 トラブルは富士吉田市の隣の山中湖村でも。

「DANGER 氷上立入禁止 !Beside the lake Closed to the Public !在湖上禁止入内」

 先月31日、山中湖観光協会の公式SNSが、凍結した湖への立ち入り禁止を異例の注意喚起。「湖の一部が凍結しているため、湖上に立ち入る行為が見受けられますが、大変危険ですので、絶対に立ち入らないでください。 !Beside the lake Closed to the Public !在湖上禁止入内」と日本語・英語・中国語の3か国語で呼び掛けた。

 今月5日には、投稿を引用する形で「危険を犯してまで凍った湖の上に立ち入りたいですか? 動画や写真を撮りたいのでしょうか? 特に早朝、このような行為をたくさん見かけますが、薄く危険な氷の上は落ちたら命を落とします。 !在湖上禁止入内!」と日本語と中国語で再度発信を行っている。

 山中湖村役場観光課の担当者は「早朝、富士山が朝焼けに染まる時間帯に、湖の上に張った氷の上に登る観光客の方がいると地域住民の方から通報があり、連日パトロールをしています。山中湖は過去、2006年に全面結氷を記録し、14年には結氷した一部を立ち入り許可としたことがありますが、いずれも氷上安全協議会が氷の厚さや質を厳密に調査した上でのこと。今年は立ち入りを許可しておらず、非常に危険。早朝のパトロールの他にも3か国語で立ち入り禁止の看板を設けるなどの対応をしています」と説明。

 多言語対応を行っている理由については「東南アジア系の観光客の方など、雪や氷が珍しい地域から来られた方が立ち入ってしまう。日本人の方でもいますが、インバウンドの方も多い印象です」としている。

 麓の観光地だけではなく、閉山期中の富士山では、遭難事故も相次いで発生している。先月18日には都内在住の中国籍の男性が8合目付近の登山道を下山中に転倒し、右足首を骨折。その後、警察や消防によって救助されている。男性は登山経験が浅く、入山に必要な登山計画書は提出していなかった。自治体では相次ぐ遭難事故の救助費用が財政を圧迫しており、費用の有料化も議論されている。

次のページへ (2/2) 【写真】3か国語で書かれた注意喚起
1 2
あなたの“気になる”を教えてください