社会現象のシール交換でトラブル多発「まさに戦争状態」 行き過ぎた親…「マウント誇示」にあきれも

小学生女児の間で人気の「シール」を巡り、大人を巻き込んだブームが過熱している。立体シール「ボンボンドロップシール」(ボンドロ)が注目を集め、社会現象に。一方で、シール販売店への殺到や大量買い占めによる店側の負担増、高額転売などの問題点が次々と出てきている。子ども同士での「シール交換」のトラブルも見過ごせない。小学生の娘を持つ母親に実情を聞くと、「親が抜け出せない状況になってます」「まさに戦争状態。うちは参戦しない」。行き過ぎているのは大人たちのようで……。シール争奪戦に翻弄される母たちの本音に迫った。

立体シールのブームが止まらない(写真はイメージ)【写真:写真AC】
立体シールのブームが止まらない(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「家族総出」で買い集めて…シール交換トラブルも

 小学生女児の間で人気の「シール」を巡り、大人を巻き込んだブームが過熱している。立体シール「ボンボンドロップシール」(ボンドロ)が注目を集め、社会現象に。一方で、シール販売店への殺到や大量買い占めによる店側の負担増、高額転売などの問題点が次々と出てきている。子ども同士での「シール交換」のトラブルも見過ごせない。小学生の娘を持つ母親に実情を聞くと、「親が抜け出せない状況になってます」「まさに戦争状態。うちは参戦しない」。行き過ぎているのは大人たちのようで……。シール争奪戦に翻弄される母たちの本音に迫った。

「ちょっと立ち寄った文具店や量販店でも、ここはあるかな? と探し回ってしまいます。たまにボンドロを見つけられちゃう。だから探すのをやめられません」。首都圏で小学生の娘を育てる30代の女性会社員は「娘と一緒にハマってます」と夢中になっている1人だ。

 入手困難ぶりに拍車がかかっているといい、「定価は1シート500円前後のはずなんですが、販売店によっては1000円ぐらいが当たり前になっています。フリマサイトを見ても高騰化していて。3か月前ぐらいに立体シールをまだ買える店を都内で見つけたのですが、こないだ行ったら行列になってて。とにかく、全然手に入らなくて大変なんです。もっと供給を増やしてほしいです」。メーカー側に懇願する。

 家族や親戚に頼んで、開店前の行列に並んでもらったり、まさに「家族総出」の様相だ。「自分たちが子どもの頃にもシールがはやりましたが、お小遣いの範囲内で子ども同士だけで完結していたように記憶しています。今は親が積極的に介入して、おじいちゃん、おばあちゃんまで巻き込んでまとめ買いをするような状況になっています」

 友達と集まって、手持ちのシールを渡したりもらったりする「シール交換」。親としてどう考えているのか。「クラスでは“持ってない子”がだんだんいなくなってきていて、シールがない子がいると、『あー、持ってないんだ』という雰囲気に少しなってしまうみたいです。いじめまでいかないと思いますが、ちょっとしらけちゃう感じもあるみたいです。うちの子がハブられないように。そんな心配もちょっとあります。でも、お友達と楽しくシール交換をして盛り上がっている様子を見聞きすると、親として応援したくなるんです」と明かす。

 シール交換で、ちょっと気がかりなことがあるという。「レアだったり人気のシールは『レートが高い』といった言い方をするのですが、希少性の高いシールを持っていた自分の子どもが、普通の平らなシールと交換してきてしまうと親が残念がってしまう。そんな風潮もあります。うちは気にしませんが、ママ友の中には『普通のシールに交換されちゃった』『ボンドロなのにもったいない』とぼやく人もいて。ちなみに、自分のシール帳を持って熱心に収集している親がいるという話も聞いたことがあります。親の方がのめり込んでしまっては本末転倒です。子どもたちはレートについてあまり理解していないと思いますが、けんかになったり、人間関係にひびが入ったら困るので、そこはあまり親が過剰にならないようにしたいですね」

「子どものため」「孫のため」という大義名分の下で、高まり続けるシール人気。「店舗や店員さんが疲弊していることは分かっているつもりで、本当に大変だろうなとは思います。でもやっぱり、無理してでも買っちゃいます。抜け出せませんね」と打ち明ける。

「『どれだけお金をかけるの?』と信じられません」

 シールブームに冷めた目線を送る母親もいる。小学生の2児の娘を育てる母親は「もう戦争状態なので、うちはもうシル活には参戦していないです」ときっぱり。ブームに乗り遅れ、娘たちが興味を持ったこともあって、シールを探した時期もあったという。「もともとシールとか無駄だと思ってたタイプなのですが、とりあえずの感覚で友達と交換するのに困らないぐらいのシールは集めました。一度だけ量販店に入荷を問い合わせたことがありますが、店員さんは面倒だったろうなあと。いい大人が朝からダッシュして並んだり、店舗を何件も必死に回ったり、迷惑行為やマナー違反を見て、あの輪の中には入りたくないな思っています」と本音をぶちまける。

 SNSを開けば、シールの入荷や販売状況に関する情報があふれている。「例えば『何時にどこで収穫 渋谷→新宿』などの書き込みを見受けます。純粋な情報交換をしているとは思いますが、中には『後から行っても買えないかも』といったニュアンスの“余計な一言”が添えられていることもあります。シール販売情報のやりとりをしているようで、『私は買えた』というマウントが透けて見えるんです。自己顕示欲に動かされている母親もいると思いますね。SNSなんかを見ていると、中には100シート単位で買っていると言い張る人もいて、『どれだけお金をかけるの?』と思ってしまいます。コレクター熱に押され、ブームに乗せられちゃってますよね。ただでさえ物価高の折に子育ては教育費などお金がかかるので、信じられないです」。違和感を覚えているという。

 ただ、自分自身もママ友からボンドロを定価で譲ってもらったこともあるし、販売店に勤めている友人に、ちょっと“お願い”をしたこともある。「レアシールを買ってもらったことがあります。『あのシール、今さら欲しいんだけど、全然買えないよね?』と聞いたら、気を回してくれて。その店は店員であっても入荷したシールを事前に買えるわけではなく、仕事終わりに残ってたら店員も購入できるような感じだったので、代行して買ってもらいました。でも、その友人の子も、お客さん対応でいろいろと苦労しているようです」。立体シールは10シートほどで“打ち止め”にしているとのことだ。

 娘たちが通う学校では、シールを持ってくるのは禁止。子どもたちは遊びの場でシール交換を楽しんでいる。「自分があまり好きじゃないシールでも、レアだったら友達はなかなか買えないからと喜んでくれて、自分にとっても入手できない好きなシールと交換できる。いい交流の場だと思っていますよ」

 ただ、レートの“不釣り合い”がトラブルを招いてしまう。「子どもたちはそこまで意識していないかもしれないし、シールがない子に純粋にボンドロをあげることもあります。でも、SNSを見ていたら、子どもが帰ってきて『本当はあのシールあげたくなかった』と泣いたという投稿があって、ハッと思いました。嫌われたくないからあげちゃう。欲しいと言われると断れずにあげちゃう。そういった性格の子どももいますし、不本意に交換するケースは絶対にあると思います。いいシールを持っている子が子どもたちのコミュニティーで“権力”を持ったり、“上の立場”から無理なことを要求するような、そんなスクールカーストを助長するような懸念もあると思います。子どもへのメンタルケアも大変です」。けげんな表情を見せる。

 ネット上でも、仲間外れトラブルやシール帳の盗難を訴える声が上がっている。売り手の企業側も対応に追われており、生活雑貨大手・ロフトは販売見合わせ、大手衣料品チェーンのしまむらはオンラインストアでの販売中止を発表するなど、まだまだ騒動が続きそうだ。2児の母親は「親のマウント誇示も絡んできて、おかしな状況だと感じるので、シールから距離を置いています。踊らされ過ぎないようにしようにしていきたいです」。親が熱狂して子どもを振り回すようになってしまうことは避けたいものだ。

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