重厚なシナリオを誰でも気軽に楽しめる 26年を経て生まれ変わった『ドラクエ7R』の魅力

『ドラゴンクエストVII Reimagined(ドラクエ7R)』(Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PC)をプレイした。本作は2000年にPlayStation向けに発売した『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち(ドラクエ7)』のフルリメイク作品だ。3DS、スマートフォン移植版を含めて4度目の発売となる本作だが、いくつもの改良がなされ、現代のゲーマーでも楽しめるように多くの調整がなされていた。

『ドラクエ7R』が2月5日に発売となった【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
『ドラクエ7R』が2月5日に発売となった【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

『ドラクエ7』が4度目の発売

『ドラゴンクエストVII Reimagined(ドラクエ7R)』(Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PC)をプレイした。本作は2000年にPlayStation向けに発売した『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち(ドラクエ7)』のフルリメイク作品だ。3DS、スマートフォン移植版を含めて4度目の発売となる本作だが、いくつもの改良がなされ、現代のゲーマーでも楽しめるように多くの調整がなされていた。

 世界にひとつしかない島であるエスタード島の港町・フィッシュベルに暮らす漁師の息子である主人公は、王子であり幼馴染のキーファ、網元の娘マリベルとともに日々を過ごしていた。

 そんな彼らが「ふしぎな石版」を神殿の台座に嵌め込んだことをきっかけに、見知らぬ土地へと足を踏み入れる。そこでの問題を解決し、エスタード島へ戻った彼らを待っていたのは「世界に島が増えた」という信じがたい現実だった。こうして主人公たちは、封印されていた島々を復活させる旅へと出る。

『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』をフルリメイク【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』をフルリメイク【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 本作は『ドラゴンクエスト』らしい、何らかの問題が起きている街を起点にしたシナリオであり、それをさらに島という単位で分割し、より独立したエピソードであることを強く意識させたタイトルだ。26年ぶりにストーリーを読んだが、大人になった今、その重苦しいシナリオがいっそう身に染みた。シリーズでも屈指のブラックユーモアが特徴的で、人間の業を感じさせる苦いオチやセリフが存分に楽しめる(現在発売がアナウンスされている『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』はシリーズでもダークな内容になるとのことだが、まさか『ドラクエ7』を超えるような恐ろしい話になるのだろうか……?)。

主人公たちのビジュアルもリファインされた【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
主人公たちのビジュアルもリファインされた【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 原作ではふしぎな石版を集めるのがとても大変であり、攻略本必須の難易度であったが、今回はクエストマーカーの導入と(3DS版にもいた)石版案内人というNPCのおかげで、サクサク進めることができた。今さら26年前に作り出された何の導線もない宝探しをやるのも億劫ではあるので、これはかなり素敵な改善点である。

 ランダムエンカウントからシンボルエンカウントに変更したり、職業のシステムを抜本的に変更したり(かけもち、転職時のレベル引き継ぎ、マップ上のどこからでも転職可)と、とにかくユーザーの時間を無駄にしないように考え抜かれている。ストーリーの先を早く見たいというモチベーションを削がない、良い調整が随所に見られた。

ドールルックで作られた『ドラクエ7R』の世界【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
ドールルックで作られた『ドラクエ7R』の世界【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 そして何よりも特筆すべき変更点は「ドールルック」というアートスタイルだろう。やや低めの等身で、人形劇のようなスケールで作られた街・キャラクター・モンスターたちは、鳥山明氏の生み出したイラストを完璧に3D化していると言っても過言ではない。

 カットシーンはアニメ的なカメラワークかつフルボイスで展開するわけだが、レトロゲームと3D映像の良い点がミックスしており、何の違和感もなくドラマに没入することができた。ドット絵から映画志向のビジュアルまで時代を駆け抜けてきたスクウェア・エニックスが、またしても新しいグラフィックスタイルを手に入れたわけだ。これは今後のシリーズ展開に期待が高まってくる。

仲間の一人であるメルビン【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
仲間の一人であるメルビン【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 他にも、「ほぼまんたん」「くちぶえ」「たからのにおい」「転職」などの便利機能がショートカットキーに割り当てられたり、現代世界であればいつでもMP消費なしでルーラ(ワープ)ができたり(ダンジョンから脱出するリレミトは削除された)と、細かい気配りもしっかりとなされている。もはや戦闘のくっついたテキストアドベンチャーゲームのような手触りになり、RPGは普段遊ばないというゲーマーでも問題なくクリアまで進めることができるだろう。

戦闘などの難易度も任意で調整できる【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
戦闘などの難易度も任意で調整できる【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 一方で、難易度調整については、やや気になるところもあった。本作では「与えるダメージ」「獲得経験値」「獲得職業熟練度」「獲得ゴールド」「モンスターのつよさ」「モンスターの行動」「戦闘終了時HP回復」の7項目を好きにいじることができる。結果として、何のストレスもなく遊ぶことはできるのだが、普通にプレイするうえではさして歯応えのある体験にならなかったのが残念だった。

石版は『ドラクエ7』を象徴するアイテムの一つだ【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
石版は『ドラクエ7』を象徴するアイテムの一つだ【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 宿屋以外にも至るところに回復ポイントがあり、「まほうのこびん」というアイテムがほぼ無限に手に入るため、MPが尽きることはまったくといっていいほどない。昔のドラクエのような、MPが尽きるまでにダンジョンからちゃんと帰れるかどうか、ボスまでにいくら温存できるかといったヒヤヒヤ感は完全にスポイルされており、その点で物足りなさを感じてしまった。

 もちろん、モンスターを強くしてこちらの与えるダメージを低くすれば少しはシビアなボス戦を楽しめるのだが、せっかくレベルが上がっていくのにわざわざ自分から与えるダメージを下げるのは、筆者としては無意味に感じてしまった。難易度をいじれること自体は悪くはないが、ほどほどに苦労する旅をデザインしてほしかったのが本音だ。

全体的にリッチで現代的な体験を楽しむことができる【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】
全体的にリッチで現代的な体験を楽しむことができる【画像:(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX (C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO】

 戦闘バランスこそ気になるところはあったものの、もともとのシナリオを多くのプレイヤーに読ませたいという意気込みを感じる素晴らしいリメイクであった。ドールルックによる新規カットシーンはどれもツボを抑えており、よりリッチな体験へと昇華されているように感じた。

 今『ドラクエ7』を遊ぶのなら、間違いなく本作がオススメである。

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