『ハイスコアガール』押切蓮介氏のゲーム偏愛 46歳になった今もゲーセン通い「年齢的に目が」
押切蓮介先生(46)の自伝的漫画『ピコピコ少年』、そしてアニメ化もされ大ヒットを記録した『ハイスコアガール』。これらの作品で描かれる1990年代のゲームセンターの熱気は、多くの読者の共感を呼んだ。それもそのはず、作中の描写は押切先生自身の体験からくるものなのだ。ゲームセンターに入り浸った青春時代。そこにはカツアゲの恐怖も、ライバルとのし烈な戦いもあった。かつて参加した大会では、プロゲーマー・ウメハラと戦ったこともあるという。そんな押切先生の、今もなお尽きることないゲーム愛を聞いた。

世界的プロゲーマーと対戦の過去
押切蓮介先生(46)の自伝的漫画『ピコピコ少年』、そしてアニメ化もされ大ヒットを記録した『ハイスコアガール』。これらの作品で描かれる1990年代のゲームセンターの熱気は、多くの読者の共感を呼んだ。それもそのはず、作中の描写は押切先生自身の体験からくるものなのだ。ゲームセンターに入り浸った青春時代。そこにはカツアゲの恐怖も、ライバルとのし烈な戦いもあった。かつて参加した大会では、プロゲーマー・ウメハラと戦ったこともあるという。そんな押切先生の、今もなお尽きることないゲーム愛を聞いた。(取材・文=関口大起)
押切先生のゲーム人生は、多くの同世代と同じく「ファミリーコンピュータ」から始まった。
「最初は『イー・アル・カンフー』、それから『スパルタンX』『カラテカ』……いろいろ遊びましたね。思い返すとどれも格闘ゲームで、以降の嗜好につながってるかもしれません」
そんなゲームへの情熱は、自然と自宅からゲームセンターへと波及していった。
「最初はデパートの屋上とかにあった筐体で遊び始めましたね。ちょうどのそのころ『ストツー(ストリートファイターII)』が出てきて、格ゲーブームがあったんです。『ネオジオ』も衝撃的でしたね。まさに、『ピコピコ少年』とか『ハイスコアガール』の描写は、僕の体験によるものですよ」
作中で描かれるゲーセンの空気感。リアルファイトに発展する様子や、不良によるカツアゲの恐怖も描写されていたが……。
「あのあたりもリアルです。でも、それでも行きたくなる魅力がゲーセンにはあったんです。ただ、ゲーセンに通っていると不良の違いも見えてくるというか。ゲーセンは不良がいて怖い、みたいなイメージが当時あったと思うんですけど、その多くはゲームが好きで、遊びたくて来てるだけの奴らですから。その中の一部が、カツアゲをしてくるようなやばいやつってだけで。危険を感じたら逃げればいいんです。まあ怖い思いもしましたけど(笑)。でも、楽しい思い出のほうが圧倒的に多いです」
押切先生にとって、ゲーセンは仲間と遊ぶ場所であると同時に、見知らぬ猛者たちと腕を競う「戦場」でもあった。
「格ゲーはCPUとやってもつまらないので、やっぱり人と戦いたい。なんで、社会人や大学生が入ってくる夕方以降からが本番なんです。僕は溝の口のゲーセンに通ってたんですが、そのあたりでは相当強いほうでした。50連勝したこともあります」
最近ハマったゲームは『Factorio』
腕に自信のあった押切先生は、漫画『ハイスコアガール』で描かれているように、大会にもエントリーした経験がある。そして、そこでまさかの出会いを果たした。のちに「The Beast」として世界に名をとどろかせるプロゲーマー・ウメハラ(梅原大吾)と対戦することになったのだ。
「確か2回戦だったかな。もうボコボコにされました。どうやって戦ったかとか、もう何も覚えていないです。分かるのはただ負けたってことだけ(笑)」
当時はまだインターネットも普及していない時代。それにもかかわらず、「ウメハラ」という名は、先生が通っていた溝の口のゲーセンまで届いていた。
「本当に不思議なんですが、なぜか『ウメハラ』っていう強いやつがいるといううわさが広まっていました。都市伝説じゃないですけど、めっちゃかっこいいですよね」
数々のゲームをプレイしてきた押切先生だが、もっとも思い出深いタイトルとして挙げるのが、カプコンの対戦格闘ゲーム『ヴァンパイア』シリーズだ。その熱は今も冷めていない。
「近くのゲーセンに行って、いまだにやってますからね。ただ、周りのプレイヤーのレベルが上がりすぎて心がちょっと折れて、今年はイジケモードでちょっと距離を置いています。もう年齢的に目がついていけないってのもありますね。やっぱり格ゲーは若い人のほうが強い」
そう自嘲気味に語るが、その口ぶりからは深い愛情がにじみ出る。驚くべきことに、95年リリースの『ヴァンパイア ハンター』と97年の『ヴァンパイア セイヴァー』は、今もゲームセンターで遊ばれるタイトルだとか。25年以上前のゲームだが、現在もコミュニティーを形成し、プレイヤー人口はむしろ増えているという。
先生はゲーセンだけでなく、家庭用ゲーム機やゲーミングPCでもさまざまなゲームをプレイしてきた。最近ハマったのは『Factorio』。同じく漫画家の浅野いにお先生に勧められて始めたそうだ
「『悪魔がいるから気をつけな』なんて言われて、はじめてみたらいつの間にか280時間もプレイしていました。とある惑星から一人で脱出するゲームなんですけど、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃってやっているうちに時間が溶けていって。でも、あとで聞いたら浅野先生は100時間くらいで辞めてたみたいです(笑)」
ほかにも『ストリートファイター6』、『The Last of Us Part II』など、遊んでいるタイトルとそれにまつわるエピソードが次々と出てくる。まさにゲーム偏愛。そしてその原点には、90年台のゲーセンの熱気とそこで出会った『ヴァンパイア』の存在がある。
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