兄との分離手術から38年…“ベトちゃんドクちゃん”のグエン・ドク氏、出演映画で「戦争の傷跡を知ってほしい」
結合双生児として生まれたベトナム人兄弟「ベトちゃんドクちゃん」のグエン・ドク氏が1日、都内で行われたドキュメンタリー映画『ドクちゃん ―フジとサクラにつなぐ愛―』バリアフリー版の配信開始を記念したトークセッションに出席。松葉づえを使いつつ片足で歩く生活を送るドク氏は当日、エンターテインメントのバリアフリーについて語った。

エンタメのバリアフリー化を呼びかけ
結合双生児として生まれたベトナム人兄弟「ベトちゃんドクちゃん」のグエン・ドク氏が1日、都内で行われたドキュメンタリー映画『ドクちゃん ―フジとサクラにつなぐ愛―』バリアフリー版の配信開始を記念したトークセッションに出席。松葉づえを使いつつ片足で歩く生活を送るドク氏は当日、エンターテインメントのバリアフリーについて語った。
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同作は現在、Amazon Prime Video、U-NEXTなど主要プラットフォームにて、バリアフリー版(バリアフリー日本語字幕・音声ガイド付き)も配信している。ドク氏は「この映画だけでなく、エンターテインメントのバリアフリー化は非常に貴重だと思います。我々、障がいを持った人間は、エンタメに接する機会も限られています。障がい者向け、いわゆる我々は精神的なものを抱えているので、レクリエーションは意味深い。意義のあることだと感謝しています」と語った。
現在、ドク氏は病院の事務職員として勤務する一方、日本とベトナムの友好活動や平和のメッセンジャーとして活動。また、NPO法人美しい世界のための特別顧問として、日本での活動も盛んに行っている。同作は痛みやめまいなどにさいなまれつつも、夫として父として、たくましく生活しているドクさんの現在の姿を捉えたドキュメンタリー作品となっている。
同作出演を引き受けた理由として、ドク氏は「戦争の傷跡を皆さんに知ってほしいということ。障がい者としての私のことを一般の健常者の皆さんにもご理解いただきたいと思い、同作の製作をお願いした次第です」と明かし、「いろんなケースがあるかと思いますが、私のような戦争の被災によって障がいを受けた同じような境遇の人間をいかに減らすか、皆で考えてもらうために、戦争の悲惨さを訴えています。私のような障がいを持った者は、いろいろな障壁を乗り越えていかなければなりませんでした。非常に苦労をしてきました。社会的な平等を実現していくということについても多くの方々に興味を持っていただきたいと思いました」と、とつとつと主張していた。
右の耳もほとんど聞こえないというドク氏だが、エンタメは感情が込められた音楽が好きだという。「私自身は音楽を聞いて元気をもらう、助けられている面があります。いろんな曲を聴きます」と笑顔で明かした。バリアフリーについては「社会福祉に関して、ベトナムはまだ進んでいません。バリアフリーについても障がい者用に何か特別なものがあるわけではありません。障がい者は、自助努力に任されています。差別も区別もありませんが、大変は大変です」と語っていた。
ドク氏は1981年、ベトナム戦争時の枯葉剤の散布地域で、兄と下半身がつながった結合双生児として誕生。1986年、兄のベトさんが急性脳症を発症したことを契機に日本へ緊急移送され、日本赤十字病院で治療を受け、命の危機を脱した。1988年、日本からの支援を受け分離手術が成功。ドク氏は2006年に結婚したが、兄ベトさんは07年に他界した。
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