高級魚尽くしが550円でも“客ゼロ”の衝撃 結局は賄いへ…「ここまでしても人が来ない宿」驚きの事情とは
日本を代表する高級魚が入荷したのに、結局、宿泊者が来なかった……。もったいないと作った、賄い料理。ネット上で「凄すぎます」「とてつもなく食べたい」と脚光を浴びた。長崎・五島列島にある民宿での一幕。驚きの“真相”とは。

「たまにお裾分けがあります(笑)」
日本を代表する高級魚が入荷したのに、結局、宿泊者が来なかった……。もったいないと作った、賄い料理。ネット上で「凄すぎます」「とてつもなく食べたい」と脚光を浴びた。長崎・五島列島にある民宿での一幕。驚きの“真相”とは。
「クエが入ったにも関わらず、結局お客さんおらず もったいなすぎるので、クエスペシャル作りました スタッフが賄いで食べました ここまでしても人が来ない宿」
見るからに豪勢な定食だ。刺身は背・腹・あぶり。頭の煮付け、唐揚げ、カマ焼き、皮湯引きポン酢、寄せ鍋、ごはん。まさに、クエ尽くしと言える。
長崎・五島列島の1つである中通島・新上五島町で営業している、カフェ併設の宿泊施設「焦がれ香(こがれこう)」。店主のねだ@焦がれ香(@happynedaland)さんが、自虐を込めてXに投稿すると、1.1万件以上の“いいね”が集まった。
宿泊者限定、離島ならではの魚介類をふんだんに使った「550円夕食」を売りにしている同施設。実は前日、Xでクエ入荷と共に「どなたかいらっしゃいませんよね…??」と、クエ定食が出せることを呼びかけていた。どんな経緯があったのか。
「クエは友人の釣りものです。近所の友人が毎週日曜日に釣りに行っていて、たまにお裾分けがあります(笑)。昼頃、『クエいります?』とLINEが来ました」。こうして手に入れた貴重食材だったのだ。
宿泊者の予約が入らず、やむなく、カフェスタッフみんなで食べることになった。「調理法はいつも通りですが、可食部をさばいて、部位ごとに自分の好きな料理にしました。凝ると高くついてしまうので、塩焼き、煮付け、唐揚げなどシンプルな料理が多いです。クエは皮もおいしいので、今回は捨てずに湯引きしてポン酢で食べました。スタッフに賄いとして出して、自分も味見に少しもらいましたが、ほとんどスタッフが食べました」という。
高級魚のぜいたくメニューのお味は「やはりおいしかったです。スタッフは皮ポン酢とあぶりが気に入っていたようで、自分でビールを買って楽しんでいました。食べきれなくて持って帰って翌日も食べたみたいです」と太鼓判。「五島にはおいしいお魚がたくさんあるので、個人的にはクエだけむやみに値段が高いなぁという気持ちです。クエに負けないくらいおいしい魚はいっぱいあります」。五島列島の海の恵みは、大きな自慢だ。
もし宿泊客に提供されていれば、値段は「550円」だった。投稿には「何と贅沢な…」「クエ料理が豪華すぎます!スタッフさんが羨ましいです」「どこでもドアさえあれば…」「ほんとにうまそうやしこの宿行ってみたい…遠くてなかなか行ける機会ないけど…」「行っては見たいが、五島が遠くって……」など、驚きに加え、うらやむ声が続々と届いている。
「一番驚いたのが、直売所でアジが10匹100円で売られてる光景」
しかしながら、“西の果て”の五島列島に、短いスケジュールですぐに泊まりに行くことは難しい。自虐投稿にはこんな意図があるという。
「それはもう、移住者を増やしたいという一言に尽きます。自分が思う島の最優先課題を、自分のできるスケールでやっている感じです。いいなーと思ってもふらっと行けない場所にあるのは厳然たる事実なのですが、でも住んでしまえばそれが日常で、そこに移住する価値を感じる人も少なからずいるだろうと思っています。自分がその一人なので。あんまり移住者増えたら魚の値段上がっちゃうのかもですが(笑)。でも移住者が倍に増えてもたぶん(人口が)減る速度の方が早い気がするので、出し惜しみせずやろうと思ってます」
これでもかと地元の魚を詰め込む「550円定食」を始めて、8か月以上が経過した。「かれこれ8か月、たぶん120回以上提供していて、フォロワーの人たちもそろそろ、本当にバグった場所なんだと思い始めてるんじゃないかなと……。実際、僕の情報で来島して、直売所のお魚の安さを見て、移住決めた方もいらっしゃいます(笑)。もちろん安売りを魅力にするのが良い方法とは思ってなくて、ただ、実際に島に来て自分が一番驚いたのが、直売所でアジが10匹100円で売られてる光景だったので、数ある過疎地域の中でもそれは大きな強みだなと思って発信しています」。ユニークなSNS発信への思いを語る。
続ける秘訣(ひけつ)については「季節に逆らわず、あいさつを欠かさず、あと、手に入ったものを工夫することだと思ってます。アジしかないときは、背伸びせずアジしか出しません(笑)。でも五島のきれいな海で育ったとれたてのアジは、本当に別物なくらいおいしいです。一応うそにならないよう、食材は550円の予算内でやり繰りはしていますが、毎回広告費をかけてると思えば、そんなに心の負担なく淡々と提供できます」。これからも「550円」を続けていくつもりだ。
一連の反響を受けて、島の今後にも思いをはせているといい、「歴史も深く、絶景だらけで、ご飯もおいしく、そして離島の中では思ったより不便じゃない場所です。在宅ワークが中心の方や、転職・休職中の方、町はどこも人手不足なので、仕事もわりとすぐ見つかると思いますし、役場で案内もあります。町でお試しの家具付き短期移住支援もやっています。クエを近所の人からお裾分けされる日常を味わいたかったら、ぜひ移住を検討してみてください」とメッセージを寄せた。
あなたの“気になる”を教えてください