転居届を出したらNHKが訪問? 郵便局の“個人情報転写式”用紙に疑念の声…日本郵便の見解は

郵便局で転居届を申請したところ、NHKの住所変更届に転写される様式の用紙を渡された――。1月上旬、そんな内容の投稿がSNS上で話題を呼んだ。ネット上では「これ駄目でしょ」「これは違法なのでは?」など、疑問や懸念の声が相次いでいる。日本郵便によると、この仕様の転居届は20年以上前から導入されているという。導入の経緯や意図について、日本郵便に詳しい話を聞いた。

転写式の転居届が物議を呼んでいる日本郵便とNHK【写真:ENCOUNT編集部】
転写式の転居届が物議を呼んでいる日本郵便とNHK【写真:ENCOUNT編集部】

氏名や住所などの個人情報が、2枚目のNHKの住所変更届に転写される仕様

 郵便局で転居届を申請したところ、NHKの住所変更届に転写される様式の用紙を渡された――。1月上旬、そんな内容の投稿がSNS上で話題を呼んだ。ネット上では「これ駄目でしょ」「これは違法なのでは?」など、疑問や懸念の声が相次いでいる。日本郵便によると、この仕様の転居届は20年以上前から導入されているという。導入の経緯や意図について、日本郵便に詳しい話を聞いた。

「郵便局で転居届かこうと思って、ふとめくったらNHK住所変更届に転写される構造になってて草」

 今月上旬、SNS上で郵便局の転居届を巡る投稿が拡散。投稿された写真では、2枚つづりになった用紙をめくると、下からNHKの住所変更届が表れ、転居届に記載した氏名や住所などの個人情報が、真下に配置された用紙に転写される仕様となっている。用紙はそのまま三つ折りにしてポストに投函できる封書形式となっており、記入者が気付かないまま転居や新住所などの個人情報がNHKに通達されてしまうのでは、といった不安の声も寄せられている。

 投稿は2.9万件のリポスト、13万件もの“いいね”を集めるなど話題に。ネット上では「これって個人情報詐取じゃないの?」「これテレビを持ってる持ってない関係なく提出しろみたいになってないか?」「引っ越して住民票や郵便とか諸々転居届したらすぐNHKがピンポイントで家に受信契約しに来たのはこれだったのか」「ぜったいNHKと郵便局が結託してますね」など、不信感を抱く声が多く上がった一方で「郵便局で、NHKの申込書が付いてない転居届をください。って言ったら大丈夫だよ!」「必要な人は書く手間が省けるだけじゃん不要なら剥がせば良いんでしょ? こういうのを個人情報の横流しとか言ってる人はそもそも規約読まないで騙されたとか言ってそう」など、転写式となっていることの利便性を評価する声もある。

 記者が実際に郵便局を訪れ、転居届の申請書を求めると、窓口の担当者から同様の用紙が手渡された。日本郵便のお客様サービス相談センターに、用紙が転写式となっている理由や、いつ頃からこの仕様となっているのかを問い合わせたところ、電話口の担当者は「手元に資料がないためご案内いたしかねます」と回答。「どうしても出してくださいというものではありません。転居届のみの形式のものもご用意しておりますし、ご心配な場合はその部分のみ切り取って提出していただいても構いません。窓口の人間がなぜ転写式のものをご案内したのかは分かりかねます」と話した。

 また、個人情報の取り扱いについては「氏名や住所などの具体的な個人情報を第三者に提供することはございませんが、行政や企業からご依頼があった場合に、転居届の提出があったという事実については(行政や企業に)お伝えする可能性がございます」とした。

20年以上から導入…目的については「利用者の利便性向上の観点から」と説明

 今月13日、あらためて日本郵便本社の広報宣伝部に質問状を送ったところ、15日になって文書で回答が寄せられた。

 転居届に複写式でNHKの住所変更届が付属している仕様について、いつ頃から、どのような目的で導入されたものかという質問に、同社は「郵便局でのNHK住所変更届の窓口取扱は、平成9年(1997年)11月より開始いたしました。当初は転居届の用紙とは別にNHK用の住所変更届用紙が設置されていましたが、平成15年(2003年)4月から利用者の利便性向上の観点から、転居届とNHK住所変更届を一度の記入で複写作成する方式を平成16年(04年)10月より全国の郵便局で実施し、現在に至ります」と回答。利用者の利便性向上のため、20年以上前から行っている仕様であると説明した。

 また、お客様サービス相談センターの担当者が話した「転居届の提出があったという事実についてはお伝えする可能性がある」という受け答えについては、「転居届の有無およびその記載内容等につきましては、届出をされた方または転居された方(これらの方々の代理人を含みます)以外の第三者からお問い合わせがございましても、裁判所発行の令状に基づく差押え等、法令に基づく照会があった場合を除きお答えすることはございません」と一部を否定。

 その上で「なお、転居届の届出時に転居事実の確認に関する同意事項にご同意いただいた場合は、その内容に基づき、転居の事実確認に必要な範囲で転居者が転居された事実及び転居情報(提出者及び転居者の住所・氏名を含む)を、転居届の新住所及び旧住所にお住まいの方、その他関係人(※)にお伝えする場合がございます。この場合、お伝えする情報は旧住所への確認時は旧住所に関する情報のみとする等、確認先の方が当該情報を有しているものと判断できる情報に限ります」とし、利用者の同意がある場合には個人情報提供の可能性があることを認めた。

 なお、「その他関係人(※)」については「転居届に記載された住所に所在する建物等の所有者、管理者(法人の場合はその従業員を含む)、その他当該建物等の過去及び現在の使用者に関する情報を保有する正当な権限を有すると考えられる第三者(集合住宅・テナントビルの管理会社、不動産会社、貸主等)」という注釈が添えられている。

 一連の仕様について、利用者から不安の声が多数寄せられていることについては、「転居届と、NHKの住所変更届の各用紙は切り離したうえで、転居届は日本郵便へ、NHK住所変更届はNHKへ、お客さまからそれぞれご提出いただくものです。弊社が取得した個人情報をNHKを含む第三者へ提供することはございません」と、個人情報は法律に基づき適切に取り扱っていることを明言。

 その上で「上記の各用紙をまとめて郵便局窓口へ提出される場合がございますが、その際は弊社では、用紙を切り離し、転居届をお預かりしております。なお、転居届およびNHK住所変更届各々に共通する、旧住所、新住所等の一部項目については、一度の記載でお手続きを済ませられるよう複写で作成されますが、それ以外の項目は、それぞれ個別にご記入いただきますようご案内しております」とし、本来はそれぞれ個別に提出すべき用紙を、利用者の利便性向上のために転写式としている旨を説明した。

 NHKの受信料制度を巡っては、最高裁で、テレビなど受信設備を設置した者に契約を義務付ける放送法の規定について「合憲」と判断している。一方、テレビの廃棄・故障やNHKの配信の受信終了などにより受信契約を要しなくなった場合は、契約を解約することが可能となっている。

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