太陽が死ぬとき、地球はどうなるのか 人類には信じられない変化が…「機械と生物が融合」
太陽の最後、そして地球の最後とは。怖いけれど、少し知りたい。そんな疑問に、分かりやすく答えるのが、信州大准教授で天文物理学者のBossB(ぼすびー)さんだ。「15億年後、地球の水はすべて蒸発する」。著書『すごすぎる宇宙・天文の図鑑』(KADOKAWA)で宇宙の謎に迫る“金髪の異才”が語る、太陽の寿命と人類のサバイバル戦略とは。

太陽の最後はどうなる? 絶滅危機の人類に驚きの仮説が浮上
太陽の最後、そして地球の最後とは。怖いけれど、少し知りたい。そんな疑問に、分かりやすく答えるのが、信州大准教授で天文物理学者のBossB(ぼすびー)さんだ。「15億年後、地球の水はすべて蒸発する」。著書『すごすぎる宇宙・天文の図鑑』(KADOKAWA)で宇宙の謎に迫る“金髪の異才”が語る、太陽の寿命と人類のサバイバル戦略とは。
小学5年生から大人まで読めることを目指したという本書。だが、内容は決してやさしくない。「大人が読んでも物理のこととか宇宙のこと知らない人だったら、難しくて分からないことばかりだと思います。それは、私はこんな分からないことがいっぱいだよっていうことを紹介したかったから。だって宇宙っていうのは本当に分からないことばかりだから」とBossBさんは言う。
「『これはこうだよって分かった』と言った時点で探求は止まる。すべてオープンクエスチョンなんです。ここまでは分かってるけど、それも間違ってるかもしれない。次はどんなことができるかな。そういうことを一章一章、書いたつもりです」
子ども向けにふりがなをふってあるが、内容を理解できなくてもいい。星、銀河、時空について「不思議だな」「なんでだろう?」と少しでも考えるきっかけを与えることになればと思いを込めた。
自身も、小さい頃から宇宙に興味があったわけではなかった。高校卒業後に単身渡米し、名門のコロンビア大を卒業しているが、将来の夢は漠然としていた。「チャラい人なんで、目の前の楽しいことだけやってた」と笑う彼女が重視するのは、興味を持つタイミングではなく、「やばい」と思えた時に突き詰められる力だ。
「それが宇宙なのか法律なのか、ゴミなのか農業なのかは分からないけれど、自分で興味を持って『これをやってみたい』と思った時に、誰かの言うことを聞いてやるのではなく、授業を聞いてやるのでもない。自分で探し、文献や論文を調べながら、『こうじゃないか』『ああじゃないか』と試行錯誤し、探求しながら改善していける。それができる子を育てるのが、教育だと思うんです」
そんな中、本書でページを割いたのが太陽についてだ。
いつまでも輝いているように見える太陽だが、もちろん無限ではない。
どのような“最期”を迎えるのか。
「お星様というのは、小さければ小さいほど数が多いんですよね。大きければ大きいほど数が少ない。で、小さければ小さいほど長生きするし、大きければ大きいほどすぐ死んじゃうんですよね。爆発して」
BossBさんによると、太陽は「中ぐらいの質量」で、超新星爆発のような派手な終わり方はしないという。
「太陽は、お腹の中で水素をヘリウムに融合することによって輝いています。将来、水素を使い果たしたあとには、ヘリウムを炭素に融合する段階にも入るけれど、それ以上の大きい重元素は作れません。その頃までに星の内部ではエネルギーの出方が“パワーアップ”し、外側の層では圧力勾配が重力を上回って、外層はどんどん星風となり、宇宙空間に吹き飛ばされていく。最後に残るのは炭素でできた星の核だけ。それが太陽の最後です。これを白色矮星(わいせい)と言うんですけど、もう自分の力で核融合して輝くお星様ではありません。今の太陽の表面温度よりももっともっと熱い温度を持った核が残る。その後はバーベキューの炭が冷えていくように、熱を放射し続けて最後は見えなくなるんです」
時間にしておよそ70億年を要するが、その過程で、太陽の広がった外層により、水星と金星は飲み込まれ、地球も15億年後には水がすべて蒸発して住めない場所になる。
その時、人類はどうすればいいのか。BossBさんの答えは意外なものだった。
15億年後、水が蒸発した時、人類は想像もつかない生命体に
「その頃まで人類の文明が存続できるとすれば、もう機械と生物が融合して、違う知的生命体になっていると思います」
AI(人工知能)が急速に発達し、人間の弱点をロボットが補い、ともに人生を歩む時代はすでに到来している。しかしいずれは、両者が完全に融合。まったく想像もつかない生命体になっているのではないか、という。
消えゆく太陽の高温によって、地球に住めなくなっても関係ない。
「例えば土星とか木星の衛星がその頃には豊かな液体の水ができて、住む陸地ができたとしたら、そこに行ってもいいし、それ以外の惑星に移ってもいいし、もしくはスペースコロニーでちょっとの間過ごしてもいい。地球は脱出する必要があります」
特に木星や土星の周辺には注目しており、「巨大なガス惑星であるからこそ、周りにいっぱいお月様(衛星)がある。何十個とあるんです。その中には、地下に地球の海よりも多い量の液体の水がある可能性や、生命に必要なエネルギー源が豊富に存在する可能性が示唆されている天体もあります。これからアメリカやヨーロッパ、日本も一緒にコラボして、木星や土星の近くを周遊して、地球と似たような環境の衛星、プラスそこに生命がいるのかっていうことを探査するための宇宙船が出発しますので、どんどん情報が上がってくると思いますよ」。
現在グローバルで進行中のミッションが、人類の移住先候補を明らかにするかもしれない。
地球上の生物は、恐竜を含め、絶滅と誕生を繰り返してきた。
「恐竜はほぼ高い確率で大きないん石が地球に落ちて、一気に地球の環境が変わることにより絶滅してしまった。それで私たちの祖先である哺乳類が台頭するわけですよね。マンモスは氷河期から暖かい時代への変化などが重なって絶滅。同じく、地球の気候のサイクルから、いずれは太陽の変化を待つ前に、また氷河期が来るかもしれない。ただ、もし来たとしても今の私たちの科学技術があれば、環境の変化に対応していけるので全然大丈夫だと思いますよ」
太陽光がなくても生きていけるのか、という問いには「人工的に太陽光に似た光を作れますし、機械と融合していれば、冷たいほうがむしろいい。冷たければ冷たいほど、計算を効率よくできるようになりますから」とのこと。
人類は滅亡するどころか、酸素のない宇宙空間でも酸素を作って生き延びる。それが現実になるかどうかは分からない。だが、太陽の寿命を見据えながら人類の未来を考えること自体が、科学の役割なのかもしれない。
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