怪獣=悪? 視聴者を複雑な心境にした『ウルトラマン』のエピソード

『ウルトラマン』といえば、地球にやってきて街を破壊する怪獣をウルトラマンが退治する勧善懲悪ストーリーが醍醐味だ。ただ、悪役のはずの怪獣のなかには「悪」であると断言できないような背景を持ったものも登場する。そこで、もしかしたら本当に悪いのは怪獣ではなく人間かもしれないと考えさせられる4つのエピソードを振り返ってみよう。

『ウルトラマン』のエピソードを紹介【写真:つのだよしお/アフロ】
『ウルトラマン』のエピソードを紹介【写真:つのだよしお/アフロ】

単純な勧善懲悪物語ではない『ウルトラマン』

『ウルトラマン』といえば、地球にやってきて街を破壊する怪獣をウルトラマンが退治する勧善懲悪ストーリーが醍醐味だ。ただ、悪役のはずの怪獣のなかには「悪」であると断言できないような背景を持ったものも登場する。そこで、もしかしたら本当に悪いのは怪獣ではなく人間かもしれないと考えさせられる4つのエピソードを振り返ってみよう。

「悪」だと断言できない怪獣といえば、第8話「怪獣無法地帯」に登場するピグモンを思い出す人は多いだろう。ピグモンは火山活動によって無人島になっていた多々良島で、調査のためにやって来た科学特捜隊の前に現れた友好珍獣だ。

 定点観測のために島に来ていた際にケガを負ってしまった観測員の松井を看病する優しいピグモン。そんなピグモンは、多々良島最強の怪獣・レッドキングが四方八方に投げ放つ岩石に巻き込まれて殺されてしまう。

 このエピソードを見たファンからは「最後の殺され方はかわいそうだった」「人間のためを思って行動できるピグモンを見て、見習いたいと思った」など、ピグモンに対する同情や尊敬を示す声があがっている。

 ピグモンと同様にファンから同情の声があがる怪獣といったら、第23話「故郷は地球」に登場するジャミラも忘れられない。ジャミラは元は人間の宇宙飛行士で、宇宙開発の競争期に事故で遭難し、漂着した星に適応するために怪獣へと変貌してしまったのだ。怪獣となったジャミラは、この事故を隠蔽し、自分の存在を抹消した人類に復讐するために地球にやってきたのだった。

 人間の業によって生み出された悲しき怪獣ジャミラに対して、「いつもの単純な勧善懲悪ではない、複雑な心境にさせられました」「ウルトラマンに水をかけられて苦しんでいる姿が観るに堪えなかった」といった声が見られる。

 また第26・27話の「怪獣殿下」に登場するゴモラにも「地中で寝てたのに起こされた挙句に倒されてかわいそう」「ゴモラは人間の身勝手による被害者」など、同情するファンの声が多い。

 ゴモラといえば大阪城を破壊する場面を思い出す人もいるだろうが、元々ゴモラは南太平洋のジョンスン島に人知れず生息していた怪獣だ。それを大阪万博に出展させるために、人間たちが麻酔で眠らせて大阪まで空輸。その道中で覚醒してしまったため、街中で暴れることになったのだ。無理やり眠らされ、見ず知らずの土地に連れて来られたゴモラの心境を思うと、筆者も同情を禁じえない。

 その他、第35話「怪獣墓場」のシーボーズも人間の被害者といえるのではないだろうか。ほかの星から追放されて怪獣墓場にやってきたシーボーズは、人類が打ち上げた月ロケットに引っ掛かって地上に落下してしまう。

 科学特捜隊やウルトラマンが宇宙に帰そうと苦戦する様子を見たファンからは、「来たくも無い地球に来て、悪いことするわけでもないのに攻撃されてかわいそう」「怪獣墓場に帰りたいのに帰れない姿をみて同情しました」といった同情の声があがっていた。

 最後は無事にシーボーズを宇宙に帰すことに成功したのが、せめてもの救いといえるだろう。

 このように、思わず同情したくなるような悲しい背景を持った怪獣が『ウルトラマン』には多く存在している。彼らのおかげで『ウルトラマン』は単純な勧善懲悪物語にならず、名作として後世まで語り継がれるようになったのかもしれない。

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