再び完結を迎えた『Fate/Grand Order』 “集大成”を彩った、ストーリーテリングの極地
サービス開始から10年以上の時を経て、スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order(以下、FGO)』(iOS / Android)は“2度目のエンディング”を迎えた。約9年間にわたる第2部の完結、終章の実装が、作品にとってどのような意味を持つものか、あらためて振り返りたい。

第2部終章実装で“2度目のエンディング”を迎えたFGO
サービス開始から10年以上の時を経て、スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order(以下、FGO)』(iOS / Android)は“2度目のエンディング”を迎えた。約9年間にわたる第2部の完結、終章の実装が、作品にとってどのような意味を持つものか、あらためて振り返りたい。
(※以下、作品のネタバレを含む記述があります)
完結から数週間が経った現在、最前線でプレイしていたマスター(FGOプレイヤーの通称)たちは、エンディングの余韻から少しずつ醒めてきているところだろう。1月7日に「アフタータイムのはじまり」が実装されているが、今後の展開は不明瞭な状況だ。
まずは「第2部 終章」にたどり着くまでの道のりを振り返りたい。もともとFGOは第1部の完結を目指してスタートしており、その完結によって1つ目の区切りを迎えたコンテンツだ。特に第1部6章「神聖円卓領域 キャメロット」からはストーリーが本家『Fate/stay night』に匹敵するクオリティーでドライブするようになり、“ストーリーを楽しむゲーム”としてあらためて立ち位置を確立した。
当初から予定されていた部分は第1部で終わったこともあり、第2部に入ってからの進行はスピード感がなかった一方で、内容的には第1部終盤のクオリティーを(エピソードごとの好みこそあれ)維持。同系統の他作品と比較してもボリューム感と壮大さは圧巻で、更新が入るたびにミドルプライスのノベルゲームをプレイしているような感覚だった。
第2部5章が前後半に分かれ、6章と7章は2部構成となっていたが、FGOは基本的に章を細かく分割しての実装をしていない(そもそも5章は前後半でほぼ別物と言っていい)。短いスパンでの更新が滞ることによるプレイヤーの離脱は避けられなかったはずだが、それでも“長い物語を一気に楽しむ”という体験が優先された。第2部の後半からその後の奏章にかけての時期は、クオリティーの高い後発のスマホゲームが続々と登場したこともあり、「FGOはストーリー」という色がより強調されたタイミングでもあったと感じている。
ストーリー重視のゲームにおける最大値への挑戦
そうした変遷を経て迎えた「第2部 終章」は、これまでの謎を躊躇なく解き明かしていくカタルシスがあるとともに、“最初に救えなかった”という点から特別視されていたオルガマリー・アニムスフィアに、想像以上に重厚で凄惨な背景があったことも明らかとなり、これまで突拍子ないと感じていた要素にも説明がついた。シャーロック・ホームズの種明かし、シオンの真意、デイビットの助力など、それまでに張り巡らされた伏線をきれいに回収し、マスターたちは何度も感情を揺さぶられたことだろう。
「ここにもちゃんと理由があったのか」と思わせる伏線の回収については、別タイトルの名前を出して恐縮だが、『ファイナルファンタジーXIV』における「暁月のフィナーレ」の作りを想起させた。同じく運営型のゲームながら“完結”を迎えた作品であり、当時のメインシナリオライターは『Fate/EXTRA CCC』でFGO総監督の奈須きのこ(TYPE-MOON)と共同作業の経験がある石川夏子。一見すると無意味にも見えるものにも意味があり、ふとした一言が後々、プレイヤーに重くのしかかる。長い年月をかけてのストーリーだからこそ、そうした仕掛けが大きなうねりを生み出すという共通点があった。
買い切り型のゲームや小説ではなく、数年をかけて描くことが前提のゲームだからこそ実現できた、ストーリーテリングの極地。主にテキストのクオリティーによって巨大なファン層を獲得してきたFGOにとって、第2部終章は単なる物語の区切りではなく、文字表現によって積み重ねてきたポテンシャル、その最大値への挑戦でもあったと捉えることもできるだろう。
FGOにおけるイベントなどの作りはお世辞にも現代的とは言えず、スマホゲームにおいては必須となる日々のクエスト周回にオート機能はなく、2Dのグラフィックに対してロード時間も長い。ただ、2015年リリースのゲームアプリであることを考えれば、様々な事情があっての仕様なのだろうとも想像がつく。周回にしても、当時は「オートにしたらゲーム要素がなくなってしまう」という意見も多かった(現在のコマンドバトルRPGの多くはオート周回を標準実装するようになった)。
時代の流れもあり、そうした要素のアップデートも限界に近いFGOは、“集大成”的な第2部終章を終え、どこに向かうのか。いくらかの伏線は残されているとはいえ、もう一度“積み上げ”のフェーズに突入するのか、残った疑問へのアンサーとなるストーリーを順次公開し、緩やかに終わりへと向かっていくのか、それともまったく異なる手法で新しい展開へと進んでいくのか……。10年以上にわたる長い旅を共にしてきたマスターたちは、どんな形であっても寄り添っていくことになるはずだ。
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