トイレで突然閉じ込め、スマホなし パニックの女性がとっさに…「無我夢中でした」 今も消えない恐怖
トイレに入ったら、ドアの鍵の部分に異常が発生。リフォームしたばかりなのに壊れてしまい、出られなくなってしまった。「あの恐怖と焦りは今でも忘れない」。密室に閉じ込められる経験をした女性が、ドアを蹴破って脱出した体験談をSNSで発信した。東京・赤坂の個室サウナ店で夫婦が死亡した火災に心を痛め、改めて考えさせられたという。日常生活に潜むリスクに対する注意喚起の思いを聞いた。

「鍵穴ごと外側に全て落ちてしまいました」
トイレに入ったら、ドアの鍵の部分に異常が発生。リフォームしたばかりなのに壊れてしまい、出られなくなってしまった。「あの恐怖と焦りは今でも忘れない」。密室に閉じ込められる経験をした女性が、ドアを蹴破って脱出した体験談をSNSで発信した。東京・赤坂の個室サウナ店で夫婦が死亡した火災に心を痛め、改めて考えさせられたという。日常生活に潜むリスクに対する注意喚起の思いを聞いた。
2025年12月中旬に発生したサウナ火災。現場のサウナ室のドアノブが外れ、夫妻が室内に閉じ込められた可能性が指摘されている。
大阪市内でフェイシャルサロンを営む門中理恵さんは、一連の報道に衝撃を受けた。自身に起きた数年前の恐怖体験がフラッシュバックし、胸が締め付けられる思いになったという。
「サウナに閉じ込められて2人の方が亡くなった事故。ニュースで見るたびに、色んなことを考えて辛い気持ちになる。私はサウナじゃなかったけど、数年前、サロンのトイレのドアの鍵が壊れてトイレ内に閉じ込められました」。門中さんはスレッズに、体験談をつづった。
自身のアトピーなどの肌荒れを克服した経験を生かし、同じような悩みを持つ人に寄り添う肌質改善専門のサロンを13年営んでいる。
閉じ込め事案が起きたのは、サロンを移転して1年ほどたった頃のこと。新しいドアを備えたトイレで、予想だにしない事態に見舞われた。
その日はサロンの客の予約が入っており、携帯電話を持たずにトイレに入った。サロンには門中さん1人だけ。「故障箇所は、ドアノブではなく鍵の部分でした。鍵の部分が数日前からグラグラしており、その日トイレに入り鍵を閉めた後に、鍵穴ごと外側に全て落ちてしまった感じです」。
トイレから出られなくなってしまった。玄関には鍵がかかっていて、叫んでも誰にも届かない。「閉じ込められた時間は5分ほどです。15分後にお客様のご予約が入っていて時間がない状況でした」。当日、たまたまソールが分厚い室内用のサンダルを履いていた。恐怖に陥りながらも、脱出への決意を固めた。
「ドアを体当たりで外そうと思いましたがビクともしなかったので、足で蹴りました。すると、少しのへこみができたので、板が薄いことに気付き、ドア自体を外すのではなく、板を破ろうと思い、そのまま足でドアの板を蹴り続けました」。破れた板を手で取り除き、もう一枚の板も蹴って、ぶち破った。
だが、なんとか蹴破った穴は小さく、とても抜け出すことはできない。ここで、頭をひねって解決策を編み出す。「体が出られる大きさではなかったので、穴から足を出して、落ちた鍵穴を足で拾いました。もう一度、鍵穴にセットして、鍵を開けて出てきました」。こうして脱出に成功した。けがはなかった。
突然の緊急事態。「初めは焦りと絶望で呼吸が荒くなり、パニックになりました。でも、パニックになっても誰もいない。焦っても無駄なことに気付き、『冷静になって対策を考えろ!』と自分に言い聞かせました。ドアを壊すしかその時は思い浮かばなかったので、躊躇(ちゅうちょ)せず全力でドアを壊しにかかったところ、たまたまへこみができて、そこから行ける! と思い、無我夢中で脱出しました」と振り返る。
「1人でいる時はトイレのドアを閉めることができなくなりました」
閉じ込めから脱出できた門中さんだったが、管理会社に事情を伝えると、意外な反応が返ってきた。「なぜ壊れる前に連絡をくれなかったのですか?」。逆に責められてしまった。
「管理会社には謝罪されると思ったら、なぜこうなる前に知らせなかったんですか? と、ドアを壊したことに対していらだっているような感じを受けました。リフォームしたばかりの真新しいドアが壊れるなんて想像できません。私もドアを盛大に壊しているので、少し申し訳ない気持ちがあったのですが、その対応によって不信感に変わりました」。ドアメーカーの担当者は、真っ青な顔で謝罪に訪れたという。
たった5分の閉じ込めだったが、心のトラウマは消えていない。あらゆるドアの不具合に対してかなり注意を払うようになった。「サウナ火災のニュースを見て、その時の恐怖がよみがえり、思い出したことが今回の投稿のきっかけです。1人でいる時はトイレのドアを閉めることができなくなりました。鍵を閉めることもできません。周りでもこういう話をたまに聞くので、私だけではなく、まれに起こることなんだと改めて感じました。注意喚起の意味もあって投稿しました」。
投稿は反響を呼んでおり、「えー!想像しただけで恐ろしいね」「どこのトイレにも携帯持って行く癖あるのでこれからも続けます…」「これを読んで、家のトイレの中にハンマー置いておこうかな…と思いました」「私はネイリストなのですが数年前、忘年会中に、当時働いていたサロンの社長の自宅のトイレに閉じ込められました。あの時の焦りと恐怖,忘れません」「自宅のドアが古くて閉じ込められたことがありますが、窓から脱出しました」など、同様の体験談も寄せられている。
日常に潜む思わぬ危険。改めて身の回りの安全について考えることも大事だ。門中さんは「トイレの閉じ込めに関しては、私の場合はラッキーだったのだと思います。サンダルを履いてなければ、少なからずけがをしていたと思いますし、ご老人や子どもだった場合はできなかったことだと思います」と、今現在の受け止めを語る。
そのうえで、緊急用の連絡手段の重要性をかみしめているといい、「トイレットペーパーの芯でドアを開けるライフハックなどを知っておけばいいと思いますが、閉じ込められる場所はトイレだけではありませんので、やはりスマホを持っておくに限ると思います。スマホは暇つぶしに使うのではなく、こういった命に関わる時こそ使っていくべきものなのだと思います」と話している。
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