「東京ばな奈と並ぶ人気」日本で暮らす外国人が“思わず感動”したお菓子 「日本の品質の高さを実感」
中国出身の賈毅東(か・いとん)さんは、日本に住んで8年になる。小学生で初来日して以来、日本の「きれいさ」と人の優しさに魅せられ、日本の大学に進学。現在は山梨県の会社に勤務している。長年、文化の違いに触れつつも、日本が大好きだという賈さん。物価への率直な思いや好きなお菓子、そして、ホームパーティーでの「もう二度と食べられないかもしれない」という“衝撃の体験”まで、日本で生きる中国人ビジネスパーソンの本音を聞いた。

日本の小学校に通った幼少期、当たり前に教室を掃除する姿に感動
中国出身の賈毅東(か・いとん)さんは、日本に住んで8年になる。小学生で初来日して以来、日本の「きれいさ」と人の優しさに魅せられ、日本の大学に進学。現在は山梨県の会社に勤務している。長年、文化の違いに触れつつも、日本が大好きだという賈さん。物価への率直な思いや好きなお菓子、そして、ホームパーティーでの「もう二度と食べられないかもしれない」という“衝撃の体験”まで、日本で生きる中国人ビジネスパーソンの本音を聞いた。
中国・江蘇省蘇州市から遠く離れた日本で、ビジネスの第一線に立つのが、賈さんだ。
初めて来日したのは小学生の頃。2008年から約2年半、日本の小学校に通っていた経験がある。
「初めて来日したときは、日本語がまったく分からず、空港のアナウンスや街の看板、すべてが異国の記号のように感じられました」
言葉の壁は大きく、国語のテストでは人生初の「0点」を経験した。しかし、驚くべきは周囲の反応だった。
「先生や友達の温かいサポートに支えられ、少しずつ言葉を覚えました。街並みは整然としており、人々の穏やかな話し方や静かな空気に不思議な安心感を覚えたのを鮮明に覚えています」
小学校で目の当たりにしたのは、「公共の場を自分たちできれいに保つ」という意識だった。掃除の時間になると、子どもたちが先生に言われるまでもなく、当たり前のように教室や廊下を丁寧に掃除する姿に感動した。
「電車の中での静けさ、店員さんの丁寧な対応、道を尋ねたときの親切な案内など、日常の中に『他人を思いやる心』が自然に根付いていることに感動しました。この体験が、将来は日本で生活したいという、大きなきっかけになりました」
2017年から再び拠点を日本に移し、大学にも通った。現在はカスタムウェアの販売・製作事業を展開する株式会社フォーカスで働いている。Tシャツを始め、バッグ、タオル、帽子などのアイテムにオリジナルデザインを施し、全国の教育機関、地域団体、企業など、幅広い顧客層に商品を提供。24年度には同期とともにタオル事業で約1億5000万円の売上を達成するなど、ビジネスでメキメキと頭角を現している。
日本に長年暮らし、文化の違いをどう感じているのだろうか。

「東京ばな奈」と並ぶ中国で人気のお菓子 「品質の高さを実感」
違和感を覚えたのは、近所付き合いの「距離感」だ。
「中国では、隣人同士が頻繁に交流し、困ったことがあればすぐに助け合う文化があります。例えば、引っ越してきたばかりの人には近所の人が食べ物を持ってきてくれたり、雑談を通じてすぐに打ち解けることが多いです。一方、日本では、隣に住んでいる人とほとんど会話を交わさないことも珍しくありません。あいさつはするものの、それ以上の関係には発展しにくく、プライバシーを重視する傾向が強いと感じました。日本人にとっては心地よいものかもしれませんが、私にとっては少し寂しく感じることがあります」
地方では隣同士の交流はまだ残っているものの、東京のような大都会では、お互いに距離を保つことが最善の配慮とされる。引っ越しのあいさつ程度で済ます人がほとんどだが、中国ではより積極的な関係を築くようだ。
また、日本の物価の高さには驚きを感じた。ラーメン一杯の価格は中国のローカル食堂の3~4倍になることもある。
「一方で、品質やサービスの高さを考えると、価格に見合った価値があるとも感じます。スーパーで売られている野菜や果物は見た目が美しく、包装も丁寧で、安心して購入できます。100円ショップのように、安くて便利な商品がそろっている店もあり、工夫次第で節約も可能です。全体的には、中国よりも生活費が高い印象ですが、その分、快適さや安全性が保たれていると感じます」と続けた。
日本のお菓子で大好物になったのが、北海道の銘菓「白い恋人」だ。中国でも知名度が高く、お土産としても「東京ばな奈」と並んで人気があるという。
「初めて食べたのは、母が日本出張から帰国した際に、お土産として空港で買ってきたときでした。箱を開けると、上品な包装と美しいデザインにまず驚きました。そして一口食べた瞬間、サクッとしたラング・ド・シャの軽い食感と、口の中でとろけるホワイトチョコレートの甘さが絶妙で、思わず感動しました。中国ではチョコレート菓子は多くありますが、ここまで繊細で上品な味わいのものはあまりなく、日本のお菓子の品質の高さを実感しました」
そのほか、キットカット、柿ピー、えびせんべい、ヨックモックなども、中国人には好まれよく食べられていると話した。
一方、食に関しては、忘れられない体験もあった。
賈さんが最も苦手とするのが、「においの強いチーズ」。納豆のにおいには全く抵抗がないものの、チーズの独特な香りが漂ってくると、鳥肌が立ち、体が本能的に拒絶してしまうほどだ。
そして、その苦手意識が頂点に達したのが、日本で初めて挑戦したある異国料理を食べたときだった。

日中で異なるチーズを食べる文化 「慣れる機会少なかった」
「大学時代、友人の家でパーティーをした際、チーズフォンデュを勧められました。断るのも申し訳なく、勇気を出して一口食べてみたのですが、口に入れた瞬間に強烈なにおいが鼻に抜け、思わず顔をしかめてしまいました。その場の空気を壊さないように笑顔を作りましたが、内心では『もう二度と食べられないかもしれない』と思ったほどです」
チーズフォンデュは溶かしたチーズのソースに、パンや野菜を絡めて食べるスイスの料理。日本でもホテルのレストランなど、おしゃれな場ではたびたび登場する人気メニューだ。熱することで、濃厚な香りが口いっぱいに広がる特徴がある。
「事前に『においの強いチーズは苦手』と伝えていたのですが、周囲がおいしそうに食べているのを見て、私も少し興味を示してしまい、『せっかくだから挑戦してみよう』と勧められて食べました。日本人の友人が『どう? いけそう?』と優しく声をかけてくれ、ちょっとしたイベントのような雰囲気になったのが印象的でした。結果的には……やはり苦手でした」
不思議なことに、賈さんは、子どもの頃は日本でも気にせずチーズを食べていた記憶がある。しかし、帰国して中国でチーズを食べて以来、チーズ全般が得意ではなくなってしまった。
「中国ではチーズを日常的に食べる文化があまりないため、慣れる機会が少なかったことも理由だと思います。チーズだけは、どうしても克服できません。なぜチーズだけがダメなのか、自分でもよく分かりません。友人たちがワインと一緒にチーズを楽しんでいる姿を見ると、少しうらやましくもありますが、どうしても一口が踏み出せません」と苦笑した。
母国を離れて8年。言葉や文化の壁を乗り越えながら、日本でさまざまなキャリアを重ねている。
現在の目標は、会社が予定している海外展開を成功させることだ。
「異なる文化や言語環境でもスムーズに対応できるよう、自分自身の語学力やコミュニケーション力をさらに高めていきたいです。言語だけでなく、文化的な背景や価値観の違いを理解し、柔軟に対応できる視野を持つことも目標です」
生産管理の領域にも挑戦し、培ってきたマーケティングスキルを生かして会社の成長につなげたいと語る。
「どのような役割であっても、相手の立場に立った対応や表現力を磨きながら、国際的な場でも信頼される存在を目指していきたいと思っています」。日本での経験を糧に、賈さんは力強く締めくくった。
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