おせち料理に“欠かせない一品”→実は最強の老化防止フード 魚のプロが語る驚きの栄養価とは
2026年が幕を開けた。元日は各家庭の食卓や、旅行先の宿でおせち料理を囲んでいる人も多いだろう。栗きんとん、紅白なます、伊達巻……日本の伝統料理は、どれも繊細な味付けで、少量ずつ楽しめるように工夫されている。一方で、おせちは単なるお祝い膳ではなく、栄養の宝庫でもある。なかでも大阪市中央卸売市場で働く“魚のプロ”が、「老化防止効果絶大」と断言する食材とは何か。

おせち料理は栄養の宝庫…実は関東と関西で異なる中身も
2026年が幕を開けた。元日は各家庭の食卓や、旅行先の宿でおせち料理を囲んでいる人も多いだろう。栗きんとん、紅白なます、伊達巻……日本の伝統料理は、どれも繊細な味付けで、少量ずつ楽しめるように工夫されている。一方で、おせちは単なるお祝い膳ではなく、栄養の宝庫でもある。なかでも大阪市中央卸売市場で働く“魚のプロ”が、「老化防止効果絶大」と断言する食材とは何か。
解説してくれたのは、水産物の製造販売を手掛ける株式会社三恒代表の三上正剛さん。28歳で家業を継いだ3代目で、生家は市場から徒歩30秒という環境だった。物心ついた頃から手伝いで市場に出入りしてきた市場歴50年の大ベテランだ。塩サケや干物など、いわゆる塩干(えんかん)を中心に魚介類に精通している。
三上さんの正月のおせちは、魚が主役だ。そこに筑前煮や黒豆などの小料理が添えられるスタイルだという。
関東ではあまりなじみがない食材のひとつが「棒ダラ」。タラを干した保存食の一種で、関西のおせちでは定番となっている。
「江戸時代とか昔の話なんですけど、もともと北海道で取れる魚って、鮮魚で漬けられないのでよう干してたんですよね。それが船で海を通って日本海から京都、関西に流れてきた。高級なので、基本は京都が先。その中で関西に食文化が広がっていったんじゃないかなと思っています」
実は三上さんの自宅では、おせちを一から作ることはほとんどない。師走の魚市場は連日大忙しで、大みそかの正午ごろまで働くのが恒例。仕込みをしている時間がないからだ。そのため昔から、おせち作りは母親と、飲食業に携わる妹が担当。そこへ三上さん夫妻が大量の水産物を持ち寄り、家族でおせちを囲んできた。
「どちらかというと他の皆さんより、水産物が多めのおせちだったと思います。おせちって仕切りが九等分になって、料理がちょっとずつ入ってるじゃないですか。それが3段重なったりとかする。でも、うちは(水産物を)どかんと持って帰るので、おせちの横にぼんと山盛りになるんですよね」
おせち料理の中身は家庭によって少しずつ違いはあるものの、おおまかなレシピは共通している。海の幸、山の幸がバランスよく盛り込まれており、栄養面でも申し分ない。
なかでも三上さんが“推し食材”として挙げるのが数の子だ。大阪市中央卸売市場では「若々しさを保つためにサプリを飲むくらいなら数の子を食べよう」と言われるほど、老化防止効果が期待されているという。
「数の子は、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)という良質な油分の含有量がすごく多い。イワシやマグロの倍ぐらい含まれています。ミネラルも豊富だし、亜鉛やビタミンDもいっぱい。『天然のサプリメント』と言われるぐらい栄養素がすごく含まれているのが、最近の研究で分かってきています」
EPAやDHAは血流をサラサラにし、記憶力の向上も後押しするとされる。亜鉛は言わずと知れた元気の源で、カキやうなぎにも多く含まれている。
「もともと、数の子は子孫繁栄のいわれがあるんですよね。子だくさんとか。実際、栄養素的にも非常に血流が良くなるので元気になる。特に子どもの頃は、『家族に食べさせたほうがええ』『立派な息子になる』と言われていました」
一時期は「コレステロールが多いから……」と、プリン体摂取過多を気にする人を中心に敬遠された時期もあった。
「僕も尿酸値がまあまあ高いからケアしてるんですけど、要は、卵料理はあかんって言われてた。でも、数の子は圧倒的にプリン体が少ない。ゼロとは言いませんけども、今はほぼ影響が出ないだろうというふうに言われています。数の子のトップメーカーさんでは機能性表示食品として国に認められるぐらい栄養素としては評価が高いというデータが出ています」
こうした研究が進んだ背景には、業界側の危機感もあった。

数の子をほぼ毎日食べるとどうなる? おすすめの食べ方は
「やっぱり年々数の子が売れなくなってきているので、産地メーカーの方々もどういうふうに訴求していったらええだろうかって考えたのがスタートですね。実際、研究して成分を調べてもらうと、あ、数の子すごいんだねっていうのが、ここ10年ぐらいですごく分かってきた」
三上さん自身は、正月に限らず、ほぼ毎日数の子を食べている。
「僕は小学校から老け顔なんですけど、よくみんなから『若いな』って言われます」
笑いながらそう話す三上さんに、おすすめの食べ方も聞いた。三上さんが推奨するのは、味付け数の子ではなく、「塩数の子」から調理するスタイルだ。
「味付きは賞味期限を延ばす兼ね合いもあってタレの味を結構しっかり目につけるので、何個も食べられないんですよね。手間なんですけど、できたら塩数の子を塩抜きして優しく自分の好きな味にして食べるのが一番たくさん食べられると思います。若干塩味が残っている状態で味付けするんですけど、だししょうゆでつけたら本当においしいです」
塩抜きには丸2日ほどかかるが、手順はいたってシンプルだ。
「塩数の子を買ってきます。タッパに数の子を入れる。水を満杯にして冷蔵庫に置く。夜に作業したとすると、次の日の夜にもう1回水を入れ替えるんですよ。それでもう1日ぐるっと回ったらほぼ仕上がってます。その時ちょっと味見して、まだ辛いなと思ったらもうちょっと置いてもいい。お勧めなのは、水を入れ替える時に、だし昆布を入れとくんですよ。そしたらすごくまろやかになってる。もう本当にそれだけ。味をつけんとそのままでも、ちょっと鰹節を乗せても、なんぼでも食べられるって言いますか、たくさん食べられる。極力味を濃くしないほうが、たくさん食べてもらえる」
ちなみに関西では、数の子へのこだわりもすさまじい。
「こんなん言うたら怒られるんですけど、関東よりも関西のほうが圧倒的に評価が高いんですよ。関東はもちろん料理人の方々はこだわられると思うんですけど、スーパーさんとかは値段の売りやすいものを中心に仕入れていくんですけど、関西は産地と大きさ、サイズ、仕上がり、それから作るメーカーで全部値段が違う。すごく僕らもやりがいがあるといいますか、それこそ扱うアイテムで言ったら数の子だけでも200~300アイテムぐらいになります」
当然、売る側も真剣勝負だ。三上さんは、小学生の頃に見た父親の背中をよく覚えている。
「11月ぐらいになったらですね、もうしゃべりかけるだけでどやされるっていう状態やったんですよ。家に帰ってきて、もうピリピリ、ピリピリしてまして」

「今しゃべりかけたらあかん」 数の子を仕込む父に緊張
母親からは「今しゃべりかけたらあかん」と釘を刺された。「なんで?」と聞くと、「数の子触ってるから」という答えが返ってきた。
「関西の人は絶対買うんですよね、お正月に。だから商いも大きい。普通サンマの干物って売れても100円ですよ。数の子は1キロで7000円、8000円、1万円で売れるんですよね。要は馬力が違うわけですよ。そういうのでみんな必死になって商売しているんですね」
産地別でプロの支持を最も集めるのは、カナダ産だという。
「北海道産は非常に高級でした。日本は世界中からニシンを仕入れて数の子を作ってたんですけど、そんな経緯の中で、関西では北海道産よりカナダ産が一番評価が高いです。食感がしっかりしているんですね。歯触りを楽しむ、音を楽しむことができます」
ほかにもアラスカ、ロシア、大西洋産などバリエーションは豊富だ。産地ごとの特徴を知っておけば、選ぶ楽しみも広がるだろう。縁起がよく、栄養価も高い数の子を味わいながら、新しい一年をはつらつとスタートさせたい。
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