炎上、空白期間…フワちゃんを支えた“師匠”葉月の信念「批判は承知、覚悟をぶつけてくるなら受ける」
11月7日、スターダム後楽園ホール大会にフワちゃんが登場し、練習生としてプロレスラー再デビューを目指していることを発表。会場にはちょっとしたざわめきが起こったが、世間も敏感に反応した。そしてフワちゃんは、再デビュー戦の相手にコーチを務めてきた葉月を指名。3年前、テレビの企画でプロレスの試合をしたときには師弟タッグを組んだ二人が、12.29両国国技館という大舞台で対戦する。インタビュー後編では、葉月視点のフワちゃん戦、そして来年の展望を聴いた。

一歩間違えたらケガもするし命を落とす危険もある仕事だよというのはしっかり伝えた
11月7日、スターダム後楽園ホール大会にフワちゃんが登場し、練習生としてプロレスラー再デビューを目指していることを発表。会場にはちょっとしたざわめきが起こったが、世間も敏感に反応した。そしてフワちゃんは、再デビュー戦の相手にコーチを務めてきた葉月を指名。3年前、テレビの企画でプロレスの試合をしたときには師弟タッグを組んだ二人が、12.29両国国技館という大舞台で対戦する。インタビュー後編では、葉月視点のフワちゃん戦、そして来年の展望を聴いた。(取材・文=橋場了吾)
2022年10月、フワちゃんはテレビ番組の企画でプロレスデビューを果たした。カードは葉月&フワちゃんvs上谷沙弥&妃南。当時の上谷は闇落ちした“沙弥様”ではなく、ワンダー・オブ・スターダムを保持し正統派レスラーだった。
「(フワちゃんのコーチを始めたときは)テレビの企画ということもあって、女子プロレスが広まるのは嬉しいなと思いましたし、関われていることも嬉しかったですね。プロレスに対する姿勢や運動神経は良かったので、教えたらすぐできるような飲み込みの早いタイプだったので素質はあるんじゃないかなと思っていました。指導者としてもいろいろな学びがありましたね。プロレスラー葉月として、指導者・葉月としても価値を上げられたかなと思います」
2戦目は2023年4月、同じく葉月はフワちゃんとのタッグで、林下詩美(現マリーゴールド)&天咲光由と対戦した。過去2戦は、いずれもフワちゃんがフォール負けを喫している。そしてフワちゃんはSNSでの発言により炎上し、表舞台から消えた。
「ずっと連絡はなかったんですけど、実は今年4月にアメリカで再会してご飯に行って、そのときに『プロレス、どうですか?』みたいな話があって。後から知ったんですが、フワちゃんの中ではプロレスへの気持ちがあったからこそ、海外で練習をしていたと思うので。でも本当に一歩間違えたら、ケガもするし命を落とす危険もある仕事だよというのはしっかり伝えた上で、やると決まったらサポートはできる限りするからと。それでスターダムに入団することになって、過去にプロレスに本気で取り組んでくれていましたし、本当にプロレスが好きになって一生懸命覚えよう・学ぼうとしている姿勢は感じ取っていたので。頼ってくれるなら自分ができることはサポートすることしかないですから、(フワちゃんが)やりたいんだったら全力で向き合おうかなと思いました」

フワちゃんが覚悟をぶつけてくれるんだったら、思いっきり受け止めたい
12月10日、スターダムは記者会見を行い、葉月vsフワちゃんの一戦を12.29両国国技館で行うことを正式に発表。記者会見に臨んだ二人は、涙ながらに思いをぶつけ合った。
「本当にプロレスが大好きで向き合ってくれているのを知っていますし、フワちゃんがやったことはやっぱりダメなことではあるんです。フワちゃんという存在が勘違いされているというか、自分は真面目で一生懸命で、プロレスに対して悩んで苦しんでいる部分を知っているからこそ、みんなに(それらの部分が)伝わらないのが悲しいというか嫌だなと思って、泣きそうになっちゃいましたね」
葉月は2019年末にスターダムを批判して退団しているのだが、そのときの経験も重なったのかもしれない。
「あのときは若かったこともあって勢いで『引退する』って言ってしまったんですが、会社自体は円満で終わらせたいじゃないですか。でも今後は関わることがないから言っちゃえみたいな感じで……今思うとやっちゃいけないことだとは思うんですけど、ずっとごめんなさいという気持ちではなくて、今は葉月という選手が何かしらスターダムに貢献はしていると思うので、あの選択がなかったら今の葉月はないんだろうなと思います」
2021年8月、葉月はのちにFWCを組むことになるコグマとのシングルマッチで復帰した。
「辞めてからも、プロレスのこと、スターダムのことはずっと気になっていましたし、白いベルト(ワンダー王座)を巻くことも叶わず辞めた後悔もあったんです。自分が発言したことを考えると、フリーやほかの団体所属の方がいいかなとも思いました。でも、自分がやりたいこと、後悔が残っている場所はスターダムだったので。結局は自分の人生なので、何を言われてもスターダム自体がいいよと言ってくれるんだったら戻ろうという気持ちでした」
フワちゃんの再デビュー戦は、フワちゃん自身の指名で葉月とのシングルマッチになった。
「過去2戦のタッグに関しては、フワちゃんの能力を考えた上で、自分が会社にこの対戦相手がいいんじゃないかという提案をしました。今回はまさかのフワちゃんからの指名だったので、そこはもう受けるしかないよなと。今まではタッグだったので、葉月がリング内で動いている間は休めるわけで、気持ちの余裕ができるんです。でもシングルとなると、常に対戦相手を見ておかないといけないですし、相手の私が『落ち着いて』と声をかけるわけにはいかないので、フワちゃん自身のそのときの感情で向かってきてくれたらいいのかなと思います。覚悟をぶつけてくれるんだったら、思いっきり受け止めたいなという気持ちですね」
その大一番を終えると、2026年の戦いが始まる。葉月はどのような展望を持っているのか。
「スターダムの中でいうと、白いベルトは巻きたいですね。(12.29両国で)小波が防衛するのか、飯田(沙耶)が獲るのかわからないですけど、そのときのチャンピオンに勝ったからもう一回やらせろというのも違うかなと思うので、何かしらの実績を残してから挑戦したいですね。あと、今はスターダムの中だけで収まるような葉月ではないと思うので、アメリカやメキシコ、さらにほかの国でも戦いたいです」
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