「オービスが光ったから顔隠した」→出頭通知に困惑…なぜ特定? 弁護士が警告する“一番まずい行為”
高速道路や一般道に設置されているオービス(自動速度違反取締装置)。気づかずにスピードを出して走行していたため、見つけた瞬間に慌てて顔を隠す人もいるだろう。「オービスは顔を隠せば大丈夫」は都市伝説としてささやかれるが、その効果はあるのだろうか。交通トラブルに詳しい弁護士の藤吉修崇さんに聞くと、“意外な答え”が返ってきた。

顔を隠せば警察は何もできないのか 「半分正解」の理由
高速道路や一般道に設置されているオービス(自動速度違反取締装置)。気づかずにスピードを出して走行していたため、見つけた瞬間に慌てて顔を隠す人もいるだろう。「オービスは顔を隠せば大丈夫」は都市伝説としてささやかれるが、その効果はあるのだろうか。交通トラブルに詳しい弁護士の藤吉修崇さんに聞くと、“意外な答え”が返ってきた。
藤吉さんは、道路交通法を分かりやすく解説するYouTuberとしても活動。新著『交通トラブル六法 「知らなかった」では済まされない道路の新常識』(KADOKAWA)では、道路で押さえておきたい“最新ルール”を伝えている。
オービスは重大な速度超過があった車両を自動で撮影する装置で、一般道や高速道路に設置されている。青切符レベルの軽微な違反では作動せず、赤切符相当のケースが対象となる。
違反の証拠となるのは「ナンバープレート」と「運転手の顔」の2点で、左ハンドル車も多いことから助手席の顔も記録している。
ここで問題の「顔を隠す」という行為だ。
“顔が写らなければ警察は何もできない”というのは、本当なのか。
藤吉さんは、「本の中でも記していますが、半分正解、半分間違い」との考えを示す。
まずは「半分間違い」から。
オービスの撮影は赤外線で行われ、光った瞬間はすでに撮影完了の証となる。つまり、その瞬間に顔を隠したとしても、手遅れとなる。
藤吉さんによると、最近はオービスが進化しているという。
「今のオービスはものすごい高性能で、助手席に写った名刺の文字まで分かるらしいです。大手メーカーでオービス作っている人が言ってました。カメラの精度が上がって、どんなにスピードが出ていても画像が写る。昔はある程度以上のスピードが出ていると写らないみたいな話があったんですけど、今はもう何キロ出しててもきれいに写る」
それでは「半分正解」とはどういうことか。
藤吉さんは、最終処分を決める検察実務の実態について触れた。
「ナンバーだけでは運転手を特定できないため、事務処理上、裁判所が呼ばないケースも一部にはあると聞いています」
顔の写り具合によって、出頭要請が来ないケースもあるという。
ただし、藤吉さんは重要な注意点を指摘する。

「逃げ得は許さない」…意図的な行為が問題視されるワケ
「スピードの出ている程度とか悪質性によっては、検察官が車の所有者を呼び出して確認をします。例えばオービスの前でわざわざ顔を隠すような行為をしてたら、それは呼び出すと思いますけど、たまたま影かなんかで隠れちゃった場合とかは、呼ばれないケースもあるかもしれない。検察官も公益を代表しているので、悪質なものに対してはちゃんと、逃げ得は許さないようなことをしていると思います」
当日の天気や逆光などで偶然顔が鮮明でないことがある。一方で、故意に顔を隠す行為は問題とみなされ、呼ばれる可能性が高い。
マスクやサングラスをしていても同じだ。
「マスクをしているから特別扱いするとなると、みんなマスクし出すからそれはない。とにかくいったんは、家に写真が届いて出頭しろという要請は来るはずです」
出頭要請が来て、運転手について「これは自分ではない」と否認した場合はどうなるのか。
「じゃあこれは誰だ? って話になる。例えば明らかに性別が違う、でも運転手がどうしても特定できないという場合は、検察官も起訴しようがない」
とはいえ、重大事案には相応の処罰が待っている。
「オービスは赤切符事案しか撮影しないので、必ず呼ばれれば略式起訴されます。2回何キロオーバーとかやると、下手すれば実刑というケースもある。実際、極めて悪質なケースでは、2回80キロオーバーで、禁固になった事例もあります。80キロとかオーバーすると略式じゃないんですよ。本当に普通に起訴される」
特に危険性が高い運転は、飲酒運転のように、周辺の防犯カメラで追跡される可能性もあるという。
結論として、藤吉さんは明言した。
「まあ、顔を隠そうとしても無駄です」
藤吉さんの見解は、“オービス神話”に冷静な判断基準を示している。
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