「全く違いました」 日本車を愛するウガンダ人女性 来日前に“妄想”するも…“日本の車社会”に驚愕

愛知・名古屋で保育園の調理補助スタッフ、実業団バレーボール選手、英会話講師として“三刀流”で活躍する、ウガンダ共和国出身のナッスーナ・ジャリア・ビルマ(愛称:ジェイ)さん。日本の子どもたちとの触れ合いを心から楽しみ、バレーボールを通じた将来の夢にも思いをはせている。実は、クルマ愛好家で、ウガンダではトヨタ・マークIIに乗り、映画『ワイルド・スピード』の大ファンでもある。そんなジェイさんが来日して最も衝撃を受けたのは、“日本の車社会”だったという。どういうことなのか。

ウガンダ共和国出身のジェイさんはバレーボールにも情熱を燃やしている【写真:社会福祉法人栄寿福祉会提供】
ウガンダ共和国出身のジェイさんはバレーボールにも情熱を燃やしている【写真:社会福祉法人栄寿福祉会提供】

「ウガンダでは若い女の子たちにめちゃめちゃ人気があるんですよ」

 愛知・名古屋で保育園の調理補助スタッフ、実業団バレーボール選手、英会話講師として“三刀流”で活躍する、ウガンダ共和国出身のナッスーナ・ジャリア・ビルマ(愛称:ジェイ)さん。日本の子どもたちとの触れ合いを心から楽しみ、バレーボールを通じた将来の夢にも思いをはせている。実は、クルマ愛好家で、ウガンダではトヨタ・マークIIに乗り、映画『ワイルド・スピード』の大ファンでもある。そんなジェイさんが来日して最も衝撃を受けたのは、“日本の車社会”だったという。どういうことなのか。(取材・文=吉原知也)

 ウガンダ日本大使館の文化常務事務部門に従事していた経験を持つなど、もともと日本が大好き。名古屋を拠点に保育士を中心とするバレーボールチーム「Viore NAGOYA」のインスタグラムの投稿を見て、「私も日本でバレーボールをしながら保育園で働きたい」と決心。保育園やチームを運営する社会福祉法人栄寿福祉会への採用が決まり、2024年夏に来日して日本生活は約1年半が過ぎた。

 ジェイさんが語る、ウガンダの交通事情は興味深い。移動手段は自家用車かタクシーが基本で、通勤はバイクを使う人が多数。電車は主に輸送用だという。「電車については、日本のように人が乗るのがメインではありません。バイクはまるで公共交通機関のような感覚でみんな乗っています」。

 日本では運転をしていないジェイさん。交通マナーについては、ちょっぴり声を潜めて、「あんまり母国のことを悪く言いたくないんですけど……。ウガンダは交通ルールにちょっとルーズな人が多いです。日本はみんな交通ルールやマナーを強く守っているという感じを受けます」。歩行者視点で語る。

 驚くべきは、ウガンダで走る車の多くが日本車だということだ。「本当に日本車ばっかり走っています。8割以上と言ってもいいぐらいです。大半はトヨタ車。まるで日本車に合わせて交通ルールができているみたいで、ウガンダも左側通行なんですよ」

 具体的にどんな車が走っているのだろうか。「トヨタのシエンタは、ウガンダでは一般的にタクシーに使われています。でも日本ではファミリーカーのイメージですよね。そこにすごく驚きました。ウガンダでは、ハイエースもよく走っていて、日産やトヨタのトラックもすごくメジャーに乗られています」とのことだ。また、トヨタ・ヴィッツは意外な年齢層に人気を誇っているという。「ヴィッツは、ウガンダでは若い女の子、20代ぐらいの女の子たちにめちゃめちゃ人気があるんですよ」。

 ジェイさんの夫でウガンダ国籍のヤカン・グマさんは、過去に日本の男子バレーボールチームで5年間プレー。現在はバレーボールのルワンダ代表コーチを務めている。なんとマイカーは、3台も日本車を乗り継いできた。夫・グマさんが買ったマークIIは、ジェイさんのお気に入りの愛車でもあるという。

 そんな日本車をこよなく愛するジェイさんには、日本に来て最大の“ショック”があったという。

「日本では、すべてがスマートで速い車で、最先端のモデルがバンバン走っている。そんなイメージを来日前に持っていたんです」。かねて『ワイルド・スピード』シリーズを見まくっているだけに、GT-RやRX-7といったスポーツカーがひしめく世界を“妄想”していた。

 ところが、日本で暮らして目にした光景は、想像とは違っていた。「ウガンダと変わらないような車が多く走っていました。ファミリーカーもいっぱいで、いわゆる旧車も目にします」。

 特に驚いたのは、軽自動車やコンパクトカーの多さだった。「実はウガンダではちっちゃい車はあまり人気がないのですが、日本はめちゃめちゃ多いですよね。それは来日してすごくびっくりしました」。自身が思い描いていた世界観とのギャップ。「全く違いました。今まで私が夢見てきたのは何なんだろうって。それはどこに行っちゃったんだって。ちょっぴり悲しくなりました(笑)」。ユーモラスに“本音”を明かした。

 日本の保育園で働きながら、憧れのバレーボールチームの一員として、英会話講師としても獅子奮迅の活躍を見せる。そんなジェイさんにこれからの夢を聞くと、目を輝かせた。

「今は子どもたちの仕事と、英会話の先生とバレーボール選手を一生懸命に頑張っています。今後は日本でバレーボールのコーチングの勉強をして、ウガンダに帰ってバレーボールを教えたいと考えています。日本のバレーボール文化をウガンダで広めたいんです」

 大好きな子どもと接する保育園の仕事についても熱い思いを寄せる。「まだ日本語を話せないので、少しずつ着実に学んでいきたいです。私は英語を話せるので、子どもたちに英語を教えていきたいと考えています。子どもたちから日本語を教えてもらって、私は英語を子どもたちに教える。お互い先生になって教え合いたいです」。さわやかな笑顔で語った。

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