動画クリエイターとして、同世代から圧倒的な支持を集める流那が12月1日に1stシングル『星が泣いた日』でソロアーティストデビューを果たした。同曲は、長女の妊娠時に抱いた家族への思いを表現した作品となっている。かねてから「お母さんになるのが夢」と語っていた流那が楽曲に込めた思いとは――。（取材・文＝中村彰洋）

　16歳だった2018年にABEMAの人気恋愛リアリティー『今日、好きになりました。第10弾』への出演で注目を集めた流那。19年3月には、ぎし・みゆと共にYouTuberグループ・ばんばんざいを結成し、若者から絶大な支持を集めてきた。24年末に、結婚・出産を機にグループを卒業。その後はソロでの活動を続けてきた。

　そんな流那にとって、大きな挑戦となったのが今回のソロアーティストデビューだった。これまでもアイドルグループやばんばんざいとして、音楽活動の経験はあったが、ソロ楽曲をリリースするとは想像もしていなかった。

「ばんばんざいを卒業して、『ママになるぞ！』というタイミングで今回のお話をいただきました。そもそも歌が得意ではないので、『本当に自分でいいのかな？』とも思いましたが、妊娠中に思っていた自分の感情を歌詞にしてみたいと思い、挑戦を決めました」

　小学生の頃は「アイドルになりたかった」という流那。音楽を聞く際には、歌詞をじっくり読み込むことが好きだったと明かす。また、日頃からその時々に抱いた感情をメモする習慣がついていたことから、初挑戦の作詞ながらも、前向きに臨むことができた。

「本当に情緒が不安定だった」という妊娠生活。良くも悪くもさまざまな感情が入り混じった期間だったが、作詞で意識したのが「自分の素直な気持ち」を伝えることだった。「本当にセンスがなかった」と笑いながらも、丁寧に言葉をつむいでいった。

「妊娠中、本当に自分1人では生きていけないなということを実感しました。家族や周囲の支えが当たり前ではないということにも気付くことができました。歌詞を通して、子どもに向けた『どんな時でも家族が味方だよ』という思いを表現しています」

　24年8月に結婚した夫でYouTuberグループ・ESPOIR TRIBEの元メンバー・はんくんからもアドバイスをもらったことも明かす。

「最初は『織姫と彦星』みたいな歌詞を書いていたんです。それを旦那に見せたら、『さすがにちょっとクサすぎるよ』って言われて（笑）。『あ、確かにそうだな』って書き直したりもしました。本当にあの曲を出さなくてよかったと思います（笑）」

　レコーディング時期はなんと出産のわずか1か月前。現在よりも18キロ増えていたことから、「歌というよりも見た目が心配でした」と笑う。「歌っている最中にもお腹をめっちゃ蹴られてました」と大きなお腹を抱えながらの貴重なひとときとなった。

「息もハーハーで立っているのもしんどかったですが、その時にしかできない経験でした。生まれてきてくれた娘を抱っこしながら、レコーディング風景の姿を見返した時に、『この時にお腹の中にいた子がここにいるのか』と、めちゃくちゃ感慨深くて、一人でうるうるしたりもしちゃいました」

　10人きょうだいの大家族の5番目、長女として育ってきた流那にとって家族はかげがえのない存在だった。共働きで懸命に子どもたちを育てる両親の背中を見ていたことから、自然と「お母さんになりたい」という夢を抱くようになっていった。もちろん、理想の母親像は「お母さん」だ。

　23歳という若さで母となったが、不安は「まったくなかった」と断言。「19歳ぐらいで結婚していると思っていたくらいです」。

　一方で「大家族だけは作りたくない」とも笑う。「両親の大変な場面も見てきていたので、私にそれができる余裕はないなと思うので、多くても2～3人かなと思っています」。

　今後は、若いママだからこそ発信できることを伝えていきたいと意気込む。「誰かの支えになれたらなと思っています」。

　愛する娘や夫、家族を原動力に変えて、今後もありのままの“流那”を発信し続ける。

□流那（るな）2002年2月11日、大阪府出身。18年にTikTokでの活動をスタート。同年7月にABEMAの恋愛リアリティー『今日、好きになりました。第10弾』に出演し人気を博す。19年3月からYouTuberグループ・ばんばんざいのメンバーとして、24年末まで活動。23年にはランジェリーブランド「Lulumerry」のプロデュースをスタート。24年8月に元ESPOIR TRIBEのはんくんと結婚。25年に第1子となる長女を出産した。