秋吉久美子、浅丘ルリ子から言われた言葉「あなたはバカか、利口か、わからない」
秋吉久美子が女優人生を語り、「シラケ女優」と呼ばれた70年代から現在までの“女優の道”を振り返った。このほど、映画監督・映画評論家の樋口尚文と映画・テレビの出演作を語り尽くした書籍「秋吉久美子 調書」(筑摩書房、税別2000円)を刊行。場面写真や幼少期からオフショットまでの貴重な写真が全見開きページごとに入るボリューム満点の内容で、東京・シネマヴェーラ渋谷では10月17日から特集上映も行う。
秋吉久美子、単独インタビュー 「私の生き方」を語り尽くす
秋吉久美子が女優人生を語り、「シラケ女優」と呼ばれた70年代から現在までの“女優の道”を振り返った。このほど、映画監督・映画評論家の樋口尚文と映画・テレビの出演作を語り尽くした書籍「秋吉久美子 調書」(筑摩書房、税別2000円)を刊行。場面写真や幼少期からオフショットまでの貴重な写真が全見開きページごとに入るボリューム満点の内容で、東京・シネマヴェーラ渋谷では10月17日から特集上映も行う。
――本の出版は自身を振り返る機会になりましたか?
「振り返るのはつらい作業でもありますよね。カラフルな楽しい思い出だけじゃなくて、苦い思い出もあるし、それを語ったから、何なんだっていう虚しさも。自分自身を確認する時間もありました。気持ちが吹っ切れたのは取材のキャンペーンが始まって、普段、文章をお読みになる方たちが『面白い』と言ってくださったから。出して良かったんだっていう気持ちになれました」
――本では素直な気持ちを話している?
「のびのび語っているようで、一言一句、自分なりに検証しながら語っています。オブラートに包みつつという感じですかね。年齢的にも経験的にも知能的にもその辺もかわせるという技術はないわけではない。でも、ディテールをきちんと答えないと、本としてつまらないし、面白さに走ってゴシップになったり、悪口になっちゃうのもよくない。そんなことを自分に課しながら話したので、結構、神経を消耗しました」
――もともと女優になりたかった?
「まったくないです。小中学生の頃は弁護士がいいかな、とか精神分析医ってどうかな、とか。『私を探すなら、図書館に行け』と言われるくらい通っていました。高校生になると、(心理学者の)フロイト、ユング、(デンマークの哲学者)キルケゴールとか、日本の戦後文学、仏文学、露文学からアイルランド文学まで一網打尽。何から何まで好きだったから、授業中も惜しんで本を読んだりして、それと現実が一緒になっちゃったりしていました。現実とは違う世界を生きていた気がします」
――高校時代は文芸誌の編集もしていましたね。小説家になろうとは?
「自分の才能を自分で見切っちゃったところがあって。私の小説って悪くないけど、ヒョウタンから駒がないなって。言葉を紡ぐのが上手とか、書くことができるではなく、その先の才能が欲しかった。何か革命的な才能かな。寺山修司や(仏作家の)ル・クレジオにはなれないわけで、もうちょっと忍耐力があって、大学に入って、優れた文学部の教授にでも会えば、また変わっていたんでしょうけど、ちょっと急いじゃったんでしょうか」