「広報」という立場の会社員でありながら、大胆な水着姿を披露し大きな話題を呼んだ女性がいる。RIZIN広報の横島加奈だ。フォロワー急増する投稿のきっかけとなったのは、カリスマ・朝倉未来からの「ある助言」。葛藤もありながら、なぜ投稿の決断をしたのか。ストイックすぎる体作りと覚悟に迫った。

　今年の夏、突然真っ白な水着ショットをSNSに投稿した。ファンの間で話題になり、ネットニュースになると、大谷翔平などのニュースを抑え、アクセスランキング上位にランクイン。大胆な投稿の始まりは朝倉へのインタビュー中にした相談だった。

「インタビュー映像を撮った時にフォロワー10万人を目指すために『どうやったら増えますか？』と聞いたんです。そうしたら『水着になればいいんじゃないですか？（笑）』ってアドバイスをもらって」

　朝倉に言われたからには「絶対やる」。即実行にうつし、海辺での水着ショットを披露した。この投稿でフォロワーは一気に5000人増えた。

　ピカピカの笑顔を見せていたが、「抵抗しかなかった（笑）」と本音を漏らす。いち会社員という立場で水着を見せることは「やっていいものなのか」と葛藤した。そんな背中を押したのはRIZINという会社の環境だ。

「この業界にいると『負ける勇気を持って勝ちに行け』じゃないですけど、本当に『何事もやっていいよ』という雰囲気がありますよね。ウチの会社は特にそういう雰囲気なんです。選手たちがチャレンジする姿を間近で見ているので、肩書きにとらわれずに、何でもやって目標を達成しようと割り切ってやりました」

　水着を着ると覚悟を決めてからは、短期集中ダイエットが始まった。どんなに仕事で疲れていても、家に帰れば自重トレーニングを行った。

「ヒップアップをする種目に腹筋、くびれができるトレーニング、二の腕に顔と全部やっていました」

　体を動かすだけでなく食事制限もした。「ブロッコリー、きのこ、鶏のささみにキムチを一緒に食べる。4年前にBEST BODY JAPANに出場した経験があったのでアスリートの方のような食べ合わせをしていましたね、その時のメニューを参考にしました」と明かした。

　ストイックな生活は体を引き締めただけではなく、3キロの減量にもつながった。

　この決めた目標をやりぬくという性格は、昔からだった。RIZINが旗揚げされた10年前、横島は日本女子大に通い、単位と闘いながらアイドル活動をしていた。「あのときは卒業できるかどうかでもだえていたあがいていたんです」と苦笑いを浮かべる。

　卒業単位ギリギリであったが、教授からの「絶対卒業しなさい」の言葉に奮起。友人からノートを借りたりしながら根性で最後は卒業した。

　学業のためにアイドルを捨てる、という選択肢は全くなかった。6歳のころからダンスを習い、モーニング娘。に憧れた。オーディションもたくさん受けていたという。

　念願がかない、憧れたアイドルという舞台に立てた。2021年のRIZINガールに選出され、「青色」担当になるも、周囲に埋もれてしまう。待っていたのは厳しい現実だった。

「正直RIZINガールの時は全く自分目立ってなかったなと思っていますね。やっぱりただの『青担当』。努力はしたつもりだけど、届くのはそこまででした」

　一方で、広報職に転身し、ラウンドガール時代以上に自分をさらけ出すと、状況は劇的に変わった。

「いまでは、会場で本当にたくさんの人が声かけてくれたり『写真撮ってください』とか言われたりします。『動画見たよ』も言ってもらえるので、あのときと数が全く違うなと思いますね」

　さらに「格闘技ファンの中に『私』という存在が少しでも入っているのがうれしい。知ってもらえているのはものすごく幸せだなと思いますね」とほほ笑んだ。

　いわゆる広報という殻を破ったことで見えた新たなステージ。「ただの青担当」から「唯一無二の広報担当」へと日々成長している。