【べらぼう】蔦重の最期は「理想の臨終」 脚本家・森下佳子さん「私もこんなふうに死ねたら」
俳優の横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の最終回が14日放送され、最期が近づく蔦重の様子が描かれた。脚本家・森下佳子さんが取材に応じ、最終回に込めた思いやこだわりを明かした。

脚本家が明かす最終回の背景と込められた思い
俳優の横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の最終回が14日放送され、最期が近づく蔦重の様子が描かれた。脚本家・森下佳子さんが取材に応じ、最終回に込めた思いやこだわりを明かした。
「宿屋飯盛が残した蔦重の臨終の様子が分かるものがあります。そこに描かれた様子が面白くて、そこに向かって走ろうと思って作りました。『ほんまかいな』ということが書いてあるんです。あの人たちのことなので、これも全部作ったのかもしれませんが、そこはノセられた感じでその墓碑銘に向かって走りました」
墓碑銘の内容が気になる。どんなところに「ほんまかいな」と衝撃を受けたのか。
「やっぱり予言です。『俺は今日の昼に死ぬ』と蔦重が言い出し、死ぬ、死ぬと言って店のこととかを言づけたりして時間になってもお迎えが来ないんです。夕方まで生きていたらしいです。照れくさそうに笑ったと書いてありました。すごく蔦重らしい死に方だなと思いました。でも、これも戯作かもしれないと思って(笑)」
放送前には横浜の演じる蔦重を見たらさらに好きになるかもと話していた。今の思いを聞いた。
「蔦重が死ぬ時の話を横浜さんにしたら『いいな。俺そんなふうに死にたいですね』と言っていました。今、終わって私もこんなふうに死ねたらいいと思っています。蔦重みたいに死ねたらいいなと思っています(笑)。理想の臨終じゃないでしょうか」
綾瀬はるかの演じる九郎助稲荷とナレーションについても聞いた。
「好感度が高く、声も聞きやすい。耳慣れない言葉がたくさん出てくるので、なじみやすく話してくれる人がいいなと思ってお願いしました。綾瀬さんは若いころからずっと一緒にやっている方なので私はほっとします」
最後に蔦重への思いを語ってもらった。
「蔦重は、黄表紙、錦絵もそうだし、その流通網も整えて地方に広めたり、いろんな功績を残した人。その意味ではお笑いを届けた人だったと思っています。それはとても大事な、尊いことだという感じはします。笑うことがしんどい世の中になってきていると思うし、笑っていても、笑ってはいけないんじゃないかという場面も生活の中でいっぱいある気がします。そんな時代にあって、財産を召し上げられ、仲間が亡くなる中で、ふざけ切った人はあっぱれ。それはそれで一つの生き方だなと思います」
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