DAIGO、“おじいちゃん解禁”に苦悩した過去 ブレイク後押しした意外な存在「キャラがかぶって」
ミュージシャンのDAIGOが、今月12日に公開された『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』(キャンベル・ブライヤー監督)で、サンタクロース役の声を務めている。2003年にメジャーデビュー後は、タレント、俳優、声優としても活躍してきたが、音楽から始まった芸能界での日々は奇跡の連続だったという。今回、本人が特に印象深いワンツースリーの「三大奇跡」を“DAI語”を交えて振り返った。(取材・文=大宮高史)

人生をDAI語で例えると「KRZ」
ミュージシャンのDAIGOが、今月12日に公開された『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』(キャンベル・ブライヤー監督)で、サンタクロース役の声を務めている。2003年にメジャーデビュー後は、タレント、俳優、声優としても活躍してきたが、音楽から始まった芸能界での日々は奇跡の連続だったという。今回、本人が特に印象深いワンツースリーの「三大奇跡」を“DAI語”を交えて振り返った。(取材・文=大宮高史)
「『KRZ』……、つまり(K)奇跡の、(R)連続、(Z)ずっと、ですね。僕の人生は正直、奇跡の連続だと思っています」
10代で音楽に熱中し、18歳でインディーズバンドを組んで活動していた。最初の奇跡は、早くも20代に訪れた。
「“ワン奇跡”は、僕がファンだったBOOWYの氷室京介さんに、デビュー曲を楽曲提供していただけたことです。僕が学生時代にバンドを組むきっかけになった憧れの方に、まさか曲を書いていただけるなんて思ってもいなくて、うれしかったですね。人の縁のおかげでした」
学生当時のバンドを解散後、DAIGO☆STARDUSTの名義でソロ活動をしていたDAIGOに、氷室との縁をつないだのは、今でも活躍するカメラマンの加藤正憲氏だった。
「人の紹介で加藤さんに初めてお会いした時、『なんかいいことやってんじゃん』と褒めてくださったんです。ライブの写真も撮ってくれたりしました。加藤さんはBOOWYや氷室さんの写真も撮っていらして、ある日『明日ヒムロック(氷室)が会いたい、って言ってる』と電話をくれたんです」
突然のチャンスは、DAIGO本人にとって、「まさに、STHR=青天の霹靂」だった。
「それでお会いしに行ったら、氷室さんが『格好いいね。力になってあげたい』と言ってくださって。そこから、DAIGO☆STARDUSTとして僕のメジャーデビュー曲『MARIA』(2003年)を提供していただけることにつながりました」
ソロユニットのDAIGO☆STARDUSTでデビュー後、さらに勇気をもらったのが、音楽界でもう1人の“神”と崇めるロックスター、L’Arc-en-Cielのhydeからの言葉だった。
「DAIGO☆STARDUSTとしての活動が一旦終わって、『これからどうしよう』と考えていた時期に、僕が全て作詞・作曲した2ndアルバム『HELLO CRAZY GENTLEMAN』をhydeさんに聴いていただいだいたんです。そうしたら、『全部いい曲』『これ、なんで売れないのか分からないよ』と評価してくださいました。憧れている方にそう言っていただけて、どれだけ励みになったか……。『俺まだやれる』って、音楽を諦めるタイミングじゃないと踏みとどまらせてくれた、すごく大きな出来事でした」

「祖父の話を」とバラエティー番組からオファー
音楽への情熱を繋ぎ止め、30歳にさしかかった時、次に訪れた転機が2007年から08年にかけてのバラエティー進出だった。これを「ツー奇跡」と表現し、祖父が故・竹下登元首相であることも公表した、本人曰く「おじいちゃん解禁」は、音楽の先輩からの勧めがきっかけだった。
「自分でやりたくて音楽を始めたので、祖父のパワーを使ったと思われたくなくて家系のことは公表していませんでした。そもそも『おじいちゃん、何してるの?』ってあまり聞かれないまま生きてきましたから(笑)。でも30歳手前で、『祖父の話をしてくれないか』とバラエティー番組からオファーが来て……。そこで悩んで、いろんな人に相談しました」
その時、背中を押してくれたのが、「兄貴分」と慕う、元Janne Da Arcのメンバー・yasu(ソロプロジェクト・Acid Black Cherry)だった。
「yasuさんに相談したら『まあ家族だし、ええんちゃう? むしろ隠すほうが不自然かもしれないし、DAIGOおもろいからバラエティー出たらええやん』と軽い感じで勧められました。それで『おじいちゃん解禁しよう』と決意しました」
結果、「うぃっしゅ!」などのDAIGO節も定着し、ブレイクした。
「今思うとあのタイミングだったから、運良く時代にハマったんだなと思います。例えば、戦場カメラマンの渡部陽一さんが僕の後に注目されましたけど、僕も渡部さんのように喋るのが遅いじゃないですか。もし渡部さんが先にテレビに出ていたら、僕は完全にキャラがかぶって、あんなに出させてもらえたかな?って思います(笑)。そういうちょっとした運命が全て噛み合って、今の僕があると思っています」
そして、俳優・北川景子と2016年に結婚。それが「スリー奇跡」と明かす。ミュージシャンとしての再起、バラエティーでのブレイク、さらに家庭に恵まれたこと――そんな“奇跡の軌跡”。運命の連鎖を経てたどり着いた現在を、DAI語で「SAS」と表した。
「(S)仕事が、(A)あることが、(S)幸せ、ですね。若いころは思うようにいかなくて、契約が切れて『もうチャンスはないかも』と悩んだ時期もありました。仕事がなくて、曲を作るか暇をしているか、その繰り返しだった日々もあって、バラエティーをきっかけに忙しくなりましたが、仕事で誰かから必要とされていること自体がありがたいです。売れなかった時代があるからこそ、今はありがたみが増しています」
今回ゲスト声優となる『きかんしゃトーマス』シリーズには9年ぶりの出演となり、サンタクロース役で子どもたちに希望を届ける。声の演技という新たなチャンスを得て、次は、DKOC(=(D)どんな、(K)奇跡を、(O)起こすのか、(C)注目)だ。
□DAIGO(ダイゴ)1978年4月8日生まれ、東京都出身。2003年にソロユニット、DAIGO☆STARDUSTとしてメジャーデビュー。07年に3人組ロックバンド・BREAKERZを結成し、ボーカルを務める。歌手、タレント、俳優として幅広く活動し、バラエティー番組では、さまざまな言葉をアルファベットの頭文字を合わせて造語にした「DAI語」を披露し、注目を集めた。俳優としては12年公開の『ウルトラマンサーガ』で映画初主演を果たす。24年にはBREAKERZとして8枚目のアルバム『Bintage』をリリースした。現在、2児の父。
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