奇跡の初対面から15年…つかんだ同じ女優としての共演 上原実矩と多部未華子の“不思議な縁”

俳優の上原実矩は、放送中のWOWOW『連続ドラマW シャドウワーク』(日曜午後10時、全5話)で主演の多部未華子と自身の映画デビュー作以来となる共演を果たした。実に15年ぶり。緊張の再会を果たした胸中を聞いた。

『連続ドラマW シャドウワーク』に出演している上原実矩【写真:増田美咲】
『連続ドラマW シャドウワーク』に出演している上原実矩【写真:増田美咲】

映画デビュー作『君に届け』以来15年ぶりの共演

 俳優の上原実矩は、放送中のWOWOW『連続ドラマW シャドウワーク』(日曜午後10時、全5話)で主演の多部未華子と自身の映画デビュー作以来となる共演を果たした。実に15年ぶり。緊張の再会を果たした胸中を聞いた。(取材・文=小田智史)

 小学2年生のころに子役として芸能活動をスタートさせた上原。2010年に映画『君に届け』で俳優デビューを飾ったが、最初に任されたのが多部未華子演じる主人公・黒沼爽子の少女時代役だった。

 もっとも、同じ作品には出演したとはいえ、少女時代役のため、カメラ前での共演はかなわなかった。それでも、撮影現場で偶然にすれ違い、台本にサインをもらったという。

「当時の私はただの小学生(笑)。映画デビュー作は、そのへんの小学生が遊びに来ちゃったみたいな感じというか、『役者をやるぞ!』と明確に目標を持っていた感じではなく、『なんか楽しいな』くらいの時期でした。多部さんとの時間は本当に一瞬でしたが、『すてきな方だな』と感じたのを覚えています。台本は今でも大事に取ってあります!」

 “奇跡的”な初対面から15年、今回の『シャドウワーク』で再会を果たす。「どこか多部さんの背中を追いかけてきたところはあったと思います」。クランクイン当日の出来事は鮮明に記憶に刻まれることになる。

「初日はすごく緊張しましたが、多部さんが15年前にサインを書いた時のことを覚えていてくださっていて。しかも、今回のヘアメイクさんも当時『君に届け』をやってらっしゃった方で、すごいご縁だなと思いました。今回ご一緒できて、『長く続けているとこんなことがあるんだ』と、続けることの醍醐味みたいなものを感じました」

『シャドウワーク』でのお互いの役柄は、多部が夫からの暴力に苦しむ主婦・紀子、そして上原は紀子が逃げ込んだ先のシェアハウスの住人の1人・洋子。ドメスティック・バイオレンス(DV)という難しいテーマだが、撮影現場では多部や寺島しのぶ(昭江役)、石田ひかり(路子役)、トリンドル玲奈(奈美役)、須藤理彩(雅代役)との会話が弾んだという。

「多部さんからは『なんか、大きくなったね』と話してくださったりしたんですが、終始不思議な感覚がありました(笑)。現場は本当に和気あいあいとしていて、多部さんに限らず、共演者の皆さんと芝居の意見交換はもちろん、おやつの話からプライベートなことまでたくさん話していました」

多部未華子(右端)と15年ぶりに共演【写真:(C)佐野広実/講談社 (C)2025 WOWOW】
多部未華子(右端)と15年ぶりに共演【写真:(C)佐野広実/講談社 (C)2025 WOWOW】

多部や共演者たちの背中を見て「女優ってかっこいい」と再認識

 15年の月日が流れる間に上原も俳優として実績を積み上げ、多部と正真正銘の共演がかなった。「自分の成長も含めて、たぶん今だからご一緒できたのかなと感じます」。改めて感慨深い気持ちが込み上げてきたと語る。

「『君に届け』は、やはり私にとって特別な作品。作品を作る過程だったり、現場の様子を肌で感じて、子どもながらにこの仕事に興味を持つきっかけになりました。もちろん多部さんと一緒にお芝居できるうれしさもありましたが、もう一瞬一瞬の芝居を見たすぎて『現場にいるのがもったいない! モニターのところに行って観たい』と思っていました(笑)。ぜいたくな現場だったなと思います』

 多部を含めて、年齢も積んできたキャリアも、キャラクターもそれぞれ異なるが、先輩たちが放つエネルギーには感銘を受けた。

「私はちょっとのことで『もうできない』『自分のことで手一杯』と思ってしまっていたのですが、お子さんがいるママが多くて、子どもを産んで母親になった後もお仕事を続ける時のキャリアモデルというか、『こういう風に若々しくパワフルに生きてくのってかっこいいな』と魅せられました。(石田)ひかりさんは『120歳まで生きたい』とか言っていて、『えー! 本当に?』と思いました(笑)。『20代の時はペロっとセリフを覚えられたのに』『見た目とかじゃなくて、気持ちのアンチエイジングよ』なんて会話を聞いて、そのエネルギーがすごく素敵だなと思っていました」

 だからこそ、「また共演したい」という思いも上原の中には芽生えている。

「やっぱり女優ってかっこいいと改めて思う現場でした。もちろんこれまでもすてきな方々や作品に出会うことはたくさんありましたが、ご一緒する時間が短くてどこか幻に見えてしまうというか、自分の実感としては薄かったんです。でも、『自分が背中を追って走りたいって思うような役者さんとご一緒できたら』と思っていたものが、今回一気に来た感じ(笑)。いろんなお話や芝居を通して感じることができたので、また新たに夢を与えてもらいました」

 多部ら共演陣の姿に刺激を受けた上原は、俳優として上を目指して走り続ける。

□上原実矩(うえはら・みく)1998年11月4日、東京都出身。小学2年生のころに子役として芸能活動をスタートさせ、2010年に映画『君に届け』で多部未華子演じる主人公の少女期役で俳優デビュー。モデルとしても活動するなか、CMやミュージックビデオにも多数出演。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)、映画『余命10年』(22年)、映画『流浪の月』(22年)、ドラマ『私の夫と結婚して』(25年)、ドラマ『グラスハート』(25年)など数々の話題作に出演している。中学時代に元陸上部で、特技は日舞(尾上流)、空手、シアタージャズ。身長166センチ。

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