抽選で当選し、念願の納車を果たしたトヨタ・ランドクルーザー250。趣味のスノーボードで雪山へ向かう大切な相棒であり、家族みんなが大好きな愛車が、自宅駐車場からこつ然と姿を消した。埼玉・春日部で起きた盗難事件。被害に遭った自営業の女性は、犯人による駐車場侵入の恐怖と、愛車を奪われた怒りに震えている。

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　事件は12月10日午前3時前に発生した。自宅周辺は周囲が暗く、バイパスへのアクセスはいい立地。3台用のカーポートを備え、勾配のある駐車場には、新型のランクル250ともう1台の車が並んでいた。

　深夜1時過ぎに就寝しようと電気を消した。その1時間半後、いきなりエンジン音が響いた。「一気にアクセルを踏んだ感じ」という音に、すぐさま飛び起きて玄関を開けた。ランクルだけがなくなっており、がく然とした。

「縁石を踏んだ音もなく、周囲を見た際に、車のライトが付いている感じもなかったです。道路の音なども夜中は聞こえます。左右のお宅で飼っているわんちゃんがほえなかったと教えてもらいました。駐車場と、前の道路にタイヤ痕がくっきりと残っていました。怖いのは、一瞬のエンジン音しかしなかったことです」。防犯カメラや人感センサーLEDライトを設置。さらに車内にはエアタグも仕込んでいた。警戒をかいくぐる、電光石火の“プロの犯行”だった。

　ランクルは、長年付き合いのあるディーラーからファーストエディションを抽選して当選した1台。所有は夫で、スノーボードが趣味の女性が普段乗っている。「スタッドレスに履き替えたばかりでした。純正ホイール、ブリヂストンです。丸目で黒のマッドフラップ、シグネチャーライト、フロント部分のライトのオプションを装着。内装はブラウンに変更しています」と特徴を挙げる。

　自宅の中への侵入はなく、けがはなかった。一方で、大切なスノーボード用品も奪われてしまった。「幸いにも板とブーツは降ろしていましたが、ヘルメットやグローブ、バラクラバ（防寒具の目出し帽）などが入っていました。中にあったものの総額は軽く見積もって40万円以上です。また、車には板を載せるキャリアを付けていました」。

　ランクルは家族にとって特別な存在だった。「家族で安全に出かけることを考えて買いました。雪山に行くのに四駆で馬力がある、安心を買いたかったというのが理由です。デザインにひと目ぼれで、長距離のお供で乗りやすかったです」。そして何より、「家族みんなが好きだと思って使用していた車です。長く乗ろうと思っていました」。それだけに、喪失感は大きい。

　卑劣な犯行に、「捕まれ！　と思います。また、組織による犯行でしょうから撲滅を願います。最低で悪質極まりない。ルートはどこなのか」。考えるだけで怒りがこみ上げてくる。

　今振り返ると、妙に思い当たる節がある。昨年6月に納車したのだが、購入当初に「変な人が見に来ている感じが何度かあったので、かなり下見をされていたのかと……」。また、「ランクル250はバックドア左側とか助手席ドアあたりを切って、配線か何かに割り込ませて始動させるやり方があるみたいです」と話す。

　今回の盗難事件が警鐘につながることを願う思いもあるという。「人気車種を所有のオーナー様には、何を注意するべきかの注意喚起になってほしい。今一度気をつけていただきたいです。二の舞になる人が増えないでほしい、そう願っています。また保険をもう一度見返して、見直せるものは検討して、備えの強化することも一手だと考えています。私たちは車両保険等に加入しておいてよかったと心から思っています」。

　Xアカウント（Tomo @kinokonokoxxxx）で情報提供を呼びかけた。投稿には「見つかりますように」「人のものを盗むとか許せんわ…」「クソ窃盗野郎許せん」「やばいですね！　盗んだやつ何考えてるんやら」「微力ながら拡散で助太刀致します」といった激励の声。また、「おそらくヤードに持ち込んで解体して部品としてコンテナ輸送かと」「ヤードでバラされて海外へ。もう日本にないかも知れません」といった厳しい現実を指摘する声も寄せられた。

　女性は「すてきだなと思うのは、知り合い・友達、スノボ仲間やランクル好きな方、いろんな方がXやインスタで拡散を手伝ってくれたり、見回りをしてくれたり、情報を聞いてくれたり、教えてくれることです。車は戻ってこないかもしれませんが、多くの方の温かみに触れ、感謝しています」。切なる心境を明かす。

　社会問題化している自動車盗難。違法ヤードの摘発など、さらなる捜査の強化、社会的な取り組みが求められている。