「もし、今リストラされても…」 53歳会社員、実は資産6億 激増のワケと“働き続ける理由”
実は約20年前、32歳の時に「今で言う、“億り人”になってました」。高校1年の冬にお年玉で投資を始め、社会人1年目は手取り14万円で節約生活を続けながら資産運用。「支出の最小化、収入の最大化」の王道を実践し続け、6億円の資産を築き上げたサラリーマンがいる。年間配当約600万円を受け取る今も、夜のスーパーで割引食品を買うのが日課。子ども2人の4人の家族全員で“株主優待生活”を送る。それでも、FIRE(経済的自立と早期退職)はせずに、人知れず投資の利益をたたき出しながら、働き続ける53歳男性会社員。若い時の苦労を“お金に変えた”、驚異の投資人生に迫った。

吉野家と松屋の株主優待券が学生時代を支えた
実は約20年前、32歳の時に「今で言う、“億り人”になってました」。高校1年の冬にお年玉で投資を始め、社会人1年目は手取り14万円で節約生活を続けながら資産運用。「支出の最小化、収入の最大化」の王道を実践し続け、6億円の資産を築き上げたサラリーマンがいる。年間配当約600万円を受け取る今も、夜のスーパーで割引食品を買うのが日課。子ども2人の4人の家族全員で“株主優待生活”を送る。それでも、FIRE(経済的自立と早期退職)はせずに、人知れず投資の利益をたたき出しながら、働き続ける53歳男性会社員。若い時の苦労を“お金に変えた”、驚異の投資人生に迫った。
高校時代の挫折がきっかけだった。進学校に入学したものの高1の秋、中間テストで衝撃を受けた。「周りがあまりにも優秀で、勉強では絶対に勝てないと思ったんです。どうやって将来食っていこうかと本気で考えるようになりました」。悩む中で、株式投資をやっていた祖母の言葉を思い出した。「株って面白いよ」。年明けから大胆に動き出した。「証券会社に行って、証券口座を開設しました。言われるがままの投資信託を購入しました」。これがスタートになった。授業中に投資本を読み込み、独学で試行錯誤。「高校卒業時には150万円ぐらいになっていました」。
1浪して都内で一人暮らしの大学進学後、ピンチが訪れた。父親が病気で倒れ、仕送りが半分になった。牛丼チェーンの吉野家と松屋の株主優待券を食費の足しにして、卒業までに20種類のアルバイトをしながら生活費を稼ぎ、投資の資金を作った。「『すてきな奥さん』という主婦向けの雑誌を高校時代から愛読していて。トイレの水を少なく使うなどさまざまな節約術を実践しました」。大学卒業時には430万円の資産を築いていた。
エンタメ系企業に就職。社会人1年目、手取り月収は14万円で、仕事も厳しく鍛えられた。家賃を抑えるために、東京・世田谷の月4万8000円のアパートに入居。「風呂なしで、共同のコインシャワーでした。1回100円で5分間。1年目は手取り年収212万円で年間45万円の貯金に成功しました」。
社会人2年目には手取り262万円で108万円の貯金(貯蓄率41%)、3年目には手取り265万円で120万円の貯金(貯蓄率45%)を実現。我慢我慢で20代前半を過ごし、26歳で資産1000万円、32歳で総資産1億円の“億り人”に到達した。
当時は給料が入ると、すぐに証券口座に振り込む生活。公社債投資信託などに加えて、個別株では、値動きの上下を繰り返すパターンの企業を見つけては、安値で買って高値で売る取引を繰り返した。さらに、新規株式公開(IPO)でも大きな成果を上げた。「抽選が当たったある株は、150万円が700万円になりました」。
資産運用の大当たりだけが要因ではない。「大事なのは『収入の最大化』です。仕事で結果を出せばボーナスが上がる。給料が上がると、投資に回せるお金が大きくなる。20代、30代は働き詰めで年間休日が毎年60日ぐらい。人の2倍、3倍働いて頑張りました」。若い頃を振り返る。
大暴落を乗り越えて…「底値買い」を徹底
投資人生は決して順風満帆ではなかった。ITバブル崩壊、ライブドア・ショック、リーマン・ショック……。新NISAが始まって投資ブームの起こった近年でも、令和のブラックマンデー、トランプ関税ショックなど、大暴落に見舞われてきた。数々の“経済危機”を経験したが、資産は結果的に、どんどん増えていった。「投げ売りしない。パニックになって、ろうばい売りをしないこと。それが一番大事です。みんな自分の働いている会社をよくしたいと思って、社長も従業員も頑張っています。経済は右肩上がりになっていくものなのです。どんなにどん底まで落ちても、世界経済は必ず回復する。そう信じて今まで投資をしてきましたし、実際にそうなっています」。優しい語りの中で、ここだけは強い口調がにじんだ。
そして、基本に忠実な「底値買い」に徹してきた。「最近だと、ロシアによるウクライナ侵攻の時に日本の大手銀行の株をいくつか買いました。ある銀行の株価は当時の4倍以上になっていて、含み益だけで1000万円以上、配当が年間60万円入ってきています」。ちなみに、S&P500やオール・カントリー(通称オルカン)などの投資信託の積立は「出遅れ」て、2022年から運用しているという。
30代後半に結婚し、2児の子宝に恵まれた。「子どもたちの未来への投資」は何よりも大事にしている。「グローバルに生きてほしいと考えていて、中学生と小学生の子どもをインターナショナルスクールに通わせています。実際に物事を見聞きして、経験を通して学んでほしい。これが親としての信条です」。学費は配当金で全額支払う。息子の海外短期留学や年1回の家族海外旅行には、投資で得た利益を惜しみなく投入している。
子どもたちは、男性が生前贈与をしている毎年100万円程のお金で、株式投資に取り組んでいる。「S&P500、オルカン、金、インドに毎月積立投資していて、(米半導体大手)エヌビディア株はかなり上がっています。僕が大学生の時に学んだ言葉があります。『子どもには魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ』。お金の稼ぎ方を教えてあげていれば、親が早くに亡くなっても、子どもたちは自分たちで生きていけます。子どもたちには将来のために、投資についてきちっと勉強させています」。金融教育にも力を注いでいる。
「金銭的な不安がないので、仕事にも思いっきり取り組めるんです」
確定申告などもきっちり行い、現在の総資産内訳は、株式・投資信託などの金融資産、タワマンなどの不動産投資、キャッシュで購入した都内の自宅評価額などを含めて約6億円。それでも、スーパー値引き購入の“節約生活”は続いている。
さらには、「お気に入りのスーパーの株を家族4人で持っています。10%引きクーポンが株主優待なのですが、年間250枚もらえるので使い切ります。そのスーパーのクレジットカード利用で5%オフの毎週日曜日に、子どもと買い物に行き、まとめ買い。食費は週1万5000円ぐらいですが、毎回15%引きで購入できるため、年間11万2500円節約できます。航空会社、ファミレス、チェーン飲食店、家電量販店など、生活に関わる企業の株を家族全員で幅広く買って、優待生活を家族みんなで楽しんでいます。あとは、マイレージやポイントの“ポイ活”も徹底しています」と熱弁する。
1日何件も打ち合わせをこなすなどスケジュールがびっしりで忙しそうな男性。インスタグラム(@1972dankai_jr)でリアルな生活の一端を投稿している。自宅はキャッシュで買い、不動産投資もやっているのだから、配当金を含めた不労所得だけで、バリバリ働かなくても暮らしていけるのではないか。
「確かに、今、もしリストラされても『あっ、そうですか』と言えます。だからと言って会社を辞めるわけではありません。心の余裕が持てる。これが投資の最大のメリットだと思います。金銭的な不安がないので、仕事にも思いっきり取り組めるんです。もともと好きな業種ですし、健康と時間を大切にして、仕事はこれからも続けたいですね。元本割れなどのリスクはありますが、投資は人生を変えるきっかけになります。おじさん世代であっても、今からでも遅くないです。50歳から投資を始めても80歳まで30年間あります。お金に働いてもらうシステムを確立できれば、お金は勝手に増えていきます。自分のライフワークや趣味も存分に楽しめます。投資をモチベーションにすれば人生が楽しくなると思います」とメッセージを寄せた。
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