【ばけばけ】怪談語る髙石あかりへの意外な指示とは 制作統括「うまくなるとよくない」
俳優・髙石あかりがヒロイン・松野トキを、トミー・バストウがレフカダ・ヘブンを演じるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)の第58回が17日に放送され、トキが怪談『鳥取の布団』を本格的に語る様子が描かれた。聞きやすく、聞く者を物語の世界に自然に引き込むような素敵な語り。制作統括・橋爪國臣氏に怪談の語りシーンの舞台裏を聞くと意外な言葉が返ってきた。

普通のろうそくで撮影すると炎が大きく揺らめいてしまう
俳優・髙石あかりがヒロイン・松野トキを、トミー・バストウがレフカダ・ヘブンを演じるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)の第58回が17日に放送され、トキが怪談『鳥取の布団』を本格的に語る様子が描かれた。聞きやすく、聞く者を物語の世界に自然に引き込むような素敵な語り。制作統括・橋爪國臣氏に怪談の語りシーンの舞台裏を聞くと意外な言葉が返ってきた。
「怪談については玉田玉秀斎先生に怪談指導の先生として入っていただいていますが、実は玉秀斎先生は現場には基本的には来ていただいていません。怪談を語る部分の台本を見ていただき、撮影に必要な台本に書かれていない前後の部分を追加で書いていただいたりしています。1回だけ髙石さんと怪談の語りを練習しましたが、トキが語るのは素人が語る怪談。玉秀斎先生のような講談になると芸になってしまいます。1度、芸を見せてもらった上で基本的には髙石さんが普段、誰かにしゃべりたいと思うように語ってくださいと伝えています」
続けて意外な言葉が……。
「逆に練習はしてもらいませんでした。うまくなるとよくないので。講談師ではなくトキとしてヘブンにどうしたら伝わるかということが大事。ヘブンも日本語はそれほど達者ではないですから、立て板に水のように話すと逆に伝わらない。あえていっぱい練習しないでほしいという話を一番最初にしました。このドラマにおいて、怪談は芸としてよりヘブンとのコミュニケーションツール。2人がどう話せば心が通じるかという思いのこもったキャッチボールのようなものですし、将来的には愛の言葉になってほしいと思います。怖がらせるより相手に分かってもらえる気持ちの入った怪談を語ってもらっています」
怪談シーンについて髙石とトミー2人の様子を尋ねた。
「実は『鳥取の布団』を語る場面はヒロインの最終オーディションでも演じてもらいました。トミーも聞く側をオーディションでやっています。オーディション時の相手は互いに違いますが、2人は『このシーンはオーディションでやったね』という話をしていました。オーディション段階でも語る側と聞く側の良かった者同士の2人が初めて一緒にお芝居をし、相乗効果で素晴らしかったと思います。また、2人の関係ができている中でのお芝居はオーディション時とは全く違いますし、より感動がありました。トキが怪談を語る中、ヘブンに伝わっているのかなと反応を見ながら間をとったり、トーンを変えたりしながらしゃべっています。あのシーンは、ヘブンは言葉を発していなくても2人ですごく会話をしているんです」
怪談のシーンではトキとヘブンの間にろうそくの火が灯され雰囲気を醸し出している。
「モデルの小泉セツさんと八雲さんが実際にろうそくを灯していたか分かりませんが、ろうそくを灯すのはトキとヘブンの2人の間の“これから怪談を語るぞ”という怪談モードの表現。日本語でトキが語る怪談がヘブンに完全には伝わらない中、どうやって雰囲気で伝えるかというトキ流の工夫の一つです。ここからここまで怪談ですよ、という怪談のムードを作るためのトキなりの工夫の表現として取り入れています」
使用するろうそくには意外にもこだわりがあった。
「普通のろうそくで撮影すると、炎が大きく揺らめいてしまうんです。すると画面がチカチカして見えにくくなります。逆にLEDのようなライトを使用すると全く揺らめきがなくなります。そこでちょうどいい揺らめきをするろうそくを求めて10種類とまではいきませんが、いろんな種類を試しました。風の分量もかなりテストして撮影にたどりつきました。ろうそくについてはシーンによって使い分けてもいます」
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