「生活費の足しに」高1から毎月渡したバイト代、母は1円も使わず…結婚報告の娘が手にした“未開封の封筒”
母子家庭で育った20代女性が、高校時代に家計の助けになればと毎月渡していたバイト代。母が使っているものだと思っていたが、結婚の報告をすると予想だにしない展開が待っていた。SNSに投稿すると「朝から泣いた」「まさに母心」と大きな反響が寄せられた。

「母の自慢でありたかった」母子家庭でバイト代を渡していた娘
母子家庭で育った20代女性が、高校時代に家計の助けになればと毎月渡していたバイト代。母が使っているものだと思っていたが、結婚の報告をすると予想だにしない展開が待っていた。SNSに投稿すると「朝から泣いた」「まさに母心」と大きな反響が寄せられた。
女性は高校1年の10月ごろから地元のファミリーレストランで働き始めた。3人きょうだいの末っ子で、兄2人は勉強がよくできたという。女性は「自分は勉強が大嫌いで、その分いい子で母の自慢の娘でいたかった」と振り返る。家計を助けたい一心で、毎月1万5000円ほどを自主的に家に入れた。夏休みには2万円を渡したこともあった。
「母が無心したのではなく、自分が母の自慢でありたかったのです」。額としては大きくはないとしつつ、「やりたくてやったこと」と語る。
高校卒業を機に家を出た後もしばらくはフリーターとして同じ店で働いた。交際相手との結婚が決まり、「一番最初に伝えたい」と思い、母にLINEで報告した。長年付き合っていたこともあり、母は「そろそろかもしれない」と感じていたのか、「そうなんや、おめでとう」と穏やかな返信だった。
ところが後日、母から思いも寄らぬ言葉を聞いた。高校時代に渡していたバイト代は「全部残していた」と告げられたのだ。
お金を渡されたのは、母と兄とお祝いに食事に出かけた時のこと。封筒は手渡した当時のまま。開封された形跡もなく、娘の気持ちがそのまま保管されていた。家計の足しにしていると思っていた女性は、驚きとともに母の優しさを実感した。母は会食で「前日は父親のような気分で眠れなかった」と話したという。女性はまだ籍を入れておらず、「籍を入れたら改めて言葉でお祝いする」とも伝えられている。
女性がこの出来事をSNSに投稿すると、「お母さん、どんなにうれしかっただろうね」「寝起きで涙腺崩壊」「母子家庭で使わず置いておけるのがすごい」「私の母も家賃を全額返してくれた」「利子という名のお祝いをつけて返してくれた」など、祝福と共感の声が相次いだ。
投稿が広く話題となったことについて、女性はこう語る。
「『お互い素晴らしい』と言われていますが、私たちは特別いい母と娘ではありません。母が怒鳴ることもありますし、私も反抗期がありましたし、勉強も人よりしてこなかったですし、年単位で口を聞かなかったこともあります」
寄せられた意見の中には、母が保管していたバイト代について、「投資にまわしておけば」という声もあった。しかし、女性はこう受け止める。
「当時の1万円と今の1万円の価値は違いますし、私は今このお金を純粋な気持ちでうれしいと思えることが私にとっての財産だと思っています。私がやりたくてやったことを、母が優しい気持ちで返してくれたことがただ幸せです」
完璧な親子関係などない。時に衝突し、時に距離を置くこともある。
それでも、根底にある思いやりは消えない。母が一生懸命働いていた娘の気持ちを大切にしまい込んだように、娘もまたその優しさを忘れずに生きていく。2人が重ねてきた時間の温かさが、多くの人の心を満たした。
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