高橋優、トレードマークのメガネ「最初は外していた」 きっかけは名プロデューサーのひと言

シンガー・ソングライターの高橋優が今年7月にメジャーデビュー15周年を迎え、12月10日にCD3枚組のベストアルバム『自由悟然』をリリースした。タイトルには“然るべき自由を求め唄い続けた15年”などの意味を込め、読み方も「じゅうごねん」に。ファンに人気の楽曲に新曲2曲を加えた計45曲を収録し、これまでのキャリアを象徴するベスト盤が完成した。さらに、12月26日からは来年7月まで全国28会場を回る15周年ツアーを展開する。そこで高橋にインタビューを敢行。15年を振り返ってもらい、自身の原点やトレードマークのメガネのエピソードなど幅広く話を聞いた。

シンガーソングライターの高橋優がメジャーデビューから15年を振り返った【写真:増田美咲】
シンガーソングライターの高橋優がメジャーデビューから15年を振り返った【写真:増田美咲】

15周年記念オールタイムベスト『自由悟然』をリリース

 シンガー・ソングライターの高橋優が今年7月にメジャーデビュー15周年を迎え、12月10日にCD3枚組のベストアルバム『自由悟然』をリリースした。タイトルには“然るべき自由を求め唄い続けた15年”などの意味を込め、読み方も「じゅうごねん」に。ファンに人気の楽曲に新曲2曲を加えた計45曲を収録し、これまでのキャリアを象徴するベスト盤が完成した。さらに、12月26日からは来年7月まで全国28会場を回る15周年ツアーを展開する。そこで高橋にインタビューを敢行。15年を振り返ってもらい、自身の原点やトレードマークのメガネのエピソードなど幅広く話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――ベストアルバムとしては10年ぶりになります。これまで発表してきた170曲を超える楽曲からどのように選曲されたのでしょう。

「僕にとってのライフワークは作品を作ってそれを全国のファンのみなさんに届けに行くことがベースになっているので、ファンのみなさんの気に入っていただいている曲を意識しながら、ライブで盛り上がれる曲とか次のツアーで自分が歌いたいと思う曲を基準に選曲しました」

――高橋さんの音楽スタイルは活動を始めた頃から変化はないと常々話されていますが、一方でメジャーデビューから15年が経ち、年齢を重ねた分だけ気付きや学びといったものが楽曲に反映されることもあるのではないでしょうか。

「それで言うと表現方法が以前より少し寛容になった気がしています。若い頃は曲を作る時、『自分から出てくるものしか書けません』というスタイルを貫いてきましたが、大人になるにつれて僕をサポートしてくださる周りの方々やライブに足を運んでくださる多くのファンのみなさんへの感謝を実感するようになり、今はいろんな思いを持った多くの人が聴いてくれていることを意識しながら曲を書いています。ただ、歌を届けること自体は今でも路上で歌っていた頃と変わりません」

――変わらないというのは、何か理由があるのでしょうか。

「そうですね。昔、デビューするもっと前、路上ライブをやっていた2006年くらいの時、僕は路上で歌っていたんですけど、路上だと大きな声で歌わないとほとんど立ち止まってもらえないんですね。それで今でも札幌にあるレコードショップ『音楽処 ongaku-dokoro』の店長さんが、閉店後の店内を僕に使わせてくれたんです。お店にスペースを作り、路上で立ち止まってくれた10人くらいのお客さんを呼んで、床に胡坐(あぐら)をかいて弾き語りを聴いてもらう、その名の通り『胡坐(あぐら)』という自主イベントをやらせてもらいました。あの時の光景は一生忘れることはないと思います」

――変わらないという言葉の裏には、当時の気持ちを忘れないという思いもあったのですね。

「意識はしていますね。今でもファンクラブで胡坐イベントは続けています」

――話はガラリと変わって、高橋さんのトレードマークでもあるメガネについてもお聞きします。

「僕がメガネをかけ始めたのは、中学1年の秋だったかな。視力が急に落ちたんです。結構ショックでしたね。クラスの席替えでも一番前に座らされたりして嫌でした」

――そのままずっとメガネをかけていたと。

「学生時代はコンタクトも一応買ってはいたんですけど、お金がなくてコンタクトが買えない時はメガネをかけていました」

――メガネを外してデビューすることは考えていましたか。

「実は最初はメガネを外してヘアメイクまでしてもらい、その宣材写真を音楽専門誌に掲載していただいたので、僕はこれでやっていくんだと思っていたのですが、2009年に『僕らの平成ロックンロール』というインディーズ盤をリリースする時、プロデューサーの箭内道彦さんから電話が掛かってきて、『CDジャケットは高橋らしさを出したいから高橋の自撮りを写メで送ってくれ』と言われました。僕はその時、駅のホームにいて、『Dr.スランプ アラレちゃん』みたいな黒縁のメガネをかけていたのでそのままの顔写真を送ったんです」

――そしたら?

「『それプライベートの眼鏡なの? めっちゃいいじゃん!』って箭内さんに言われて、それがきっかけでメガネデビューして、“メガネミュージシャン”になったという訳です」

――それに対して抵抗はありましたか。

「全然なかったです。むしろ楽だなと思いました」

――今、所有しているメガネの本数は。

「8本くらいですね。それほど多くはないです。現在のお気に入りは、今つけているメガネです」

12月26日から28会場30公演の全国ツアーを開催【写真:増田美咲】
12月26日から28会場30公演の全国ツアーを開催【写真:増田美咲】

僕は芸能人みたいなオーラがない

――普段街を歩くときはメガネを外しているとか。

「そうですね。マスクをしているので曇っちゃうから外すことも多いですが、メガネをかけたままの時もあります」

――街中でメガネをかけたままだとすぐに高橋優だと気づかれませんか。

「全然気づかれないです。そもそも僕は、芸能人みたいなオーラがないんでね(笑)。でも面白いのは、街を歩いている一般の人たちの方がすごくオーラを出していますよね。男性もメイクも服も決めて独特なファッションの人がいっぱい歩いているじゃないですか。今は海外からの人も多いですし、逆に見つかりにくくなって楽ですよ」

――そんな高橋さんは今年42歳を迎えました。

「昔の40代って結構渋いおじさんというイメージでしたけど、今の40代って若い人が多い気がします。それこそ60代、70代という僕の親世代も、昔とは全然違って若いですし、音楽の世界でもみなさん現役バリバリじゃないですか。だから全然42歳って言われてもピンとこないんですよね」

――最後にメジャーデビューから15年歌い続けてきて、たくさんの楽曲を作ってきた高橋さんですが、まだ歌っていないテーマはありますか。

「山ほどあります。例えば、今回のベストアルバムにも収録した『高野豆腐~どこか遠くへ~』(2014年)と『がんばれ細野さん』(2013年)は、歌詞の舞台がスーパーマーケットなんです。僕はよくスーパーに行くんですが、今ってセルフレジのお店も多いじゃないですか。そうすると、今までレジ打ち担当の方が、手際よくレジ袋とかエコバッグに買った物を詰めてくれていたのに、いざ自分でやるとなった時にどの順番で詰め込めば、きれいに入れられるんだろうとつい考えてしまって……次はそんな曲を書いてみたいですね。他にはドライブソングも書きたいです。僕はドライブが好きなんですけど、意外と今までドライブソングって書いてこなかったんですよ。やっぱりリアルタイム・シンガー・ソングライターと呼ばれているので、これからも今思ったことを歌にしていきたいです。あと、音楽とはその名の通り、音を楽しむことなので僕はそれを忘れちゃいけないと思っています。だから、これからもみなさんの都合のいい解釈で僕の曲を聴いていただけたらそれで十分です」

□高橋優(たかはし・ゆう) 1983年12月26日、秋田・横手市生まれ。大学進学と同時に路上での弾き語りを開始。2010年にシングル『素晴らしき日常』でメジャーデビュー。16年に「音楽で秋田を盛り上げたい」という思いから、フェス『秋田CARAVAN MUSIC FES』を地元の横手市で開催。以降は毎年開催地を変えており、秋田県内の全市を回る予定。25年にメジャーデビュー15周年を迎え、12月10日にCD3枚組45曲収録のオールタイムベスト『自由悟然』をリリース。12月26日から26年7月5日まで全国ツアー「高橋優 15th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE TOUR 2025-2026『自由たる覚悟、然として奏ず』」を28会場30公演、開催する。

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