【べらぼう】生田斗真、1人2役は脚本家のひと言がきっかけ 制作統括が明かす舞台裏「罰のトリックとして」
俳優・横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)が14日放送の最終回を残すだけとなった。制作統括の藤並英樹氏が取材に応じ、ラストに向けて気になる見どころを語った。

墓碑銘参考に脚本家・森下佳子さんなりの解釈で
俳優・横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)が14日放送の最終回を残すだけとなった。制作統括の藤並英樹氏が取材に応じ、ラストに向けて気になる見どころを語った。
「蔦重はかっけで亡くなったと言われていますが、蔦重が亡くなる時、どんな様子たったかを太田南畝と宿屋飯盛が墓碑銘に書いています。そこも脚本家・森下佳子さんは参考にしながら森下さんなりの解釈で最終回を描いています。蔦重がどういう最期を迎えるのか楽しみにしていただけたらと思います」
もう少し具体的な話もしてくれた。
「最期の日がどうだったのか墓碑銘に残されているので、森下さんは初期の頃からそれをぜひ最終回でやりたいと言っており、碑文に描かれていることを具現化したい思いを持っていました。そこまでの道のりの中で、実は最終回は晩年の蔦重を描いていますが、彼自身が写楽の後、どう過ごしたかを丁寧に描けたらいいなという話もしていました。蔦重は書物問屋の株を持っていますが、書をもって世を耕すということをどう実践するか。そのために書物問屋の株をもとに全国に流通させようとしたり、江戸ではない作家や思想家に書いてもらったり、どんどん江戸を飛び出して広めていきます。最終回では日の本中を、書をもって世を耕していく姿とみんなに愛されてこの世の最期を迎えようとする蔦重を描きたいと思いました」
美術史では斎藤十郎兵衛=写楽というのが定説。第47回では生田斗真が一橋治済と十郎兵衛の1人2役を演じた。1人2役は最初から決まっていたのか。
「4月か5月ぐらいに決まりました。もともと十郎兵衛のキャクターをどうしようかとずっと考えていました。そんな中、治済という人物が描いていくうちに魅力的なキャラクターになり、ある種憎らしいキャラになっていきました。史実では治済は長生きする人。でも悪行を積み重ねてきた治済に何かしら罰を与えたいという話になり、歴史に名を残せなかったことも罰の一つと森下さんと話しました。その罰のトリックとして正体も素性もよく分からない十郎兵衛という人物をうまく使えないかという話が森下さんから春先に話がありました。面白そうなので、せっかくなので1人2役でという話になったんです」

斎藤十郎兵衛役に生田起用は「(治済と)真逆をやってほしかった」
1人2役に対する生田の反応はどうだったのか。
「『めっちゃ面白そうですね』と、すごく楽しみにしてくださいました。生田さんは“十郎兵衛の生田斗真”と“治済の生田斗真”が歩き方、立ち方、しゃべり方に絶妙な違いを表現してくださっていて、そこをご覧いただくのも一つの楽しみだと思います。これまで市中に物乞いの格好をした治済がいたと思いますが、それ以外の所で生田さんが演じている人物は果たしてどっちなのかというのもいずれ答え合わせしたいなと思っています」
そもそも生田が十郎兵衛のキャラクターに合うと思った理由や、十郎兵衛をどんなキャラクターにしようと考えたのか。
「十郎兵衛は能役者ですが脇の人。主役になれない人なんです。この時代の人にも共通することですが、生まれながらの分とか家に縛られる部分があると思うんです。十郎兵衛も能役者の脇役の家に生まれてしまった分で生きないといけない。だけど、主役に憧れたり、もっと面白いことを目指したいという欲があった方が面白いのでは、という話を森下さんとしました。
十郎兵衛は蜂須賀家の家臣としての縛りがある中で、殿の言うことは聞かないといけないけど、どこか何者かになれるのでは、という欲を持っているキャラクター。ただ、それをあからさまに出さない人物。十郎兵衛はある意味、悲しい人。主命にそむけず、生まれに対してそむけない人。それは治済とは真逆の人物なんです。治済と真逆の人をやるには治済を演じる生田さんが演じてもらえたらとても面白いと考えました。生田さんはどんな役も演じられる方。治済を演じる生田さんにその真逆をやってほしかったんです」
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