子役・テレビ戦士から20年…30歳・小関裕太が考え続けた“理想との違い”「自分は何を目指していたのか」
俳優・小関裕太が、ABCテレビ・テレビ朝日系で放送中のオムニバスドラマ『君としたキスはいつまでも』(テレビ朝日:土曜深夜2時30分、ABCテレビ:日曜深夜0時10分)に、人気ミュージシャンの役で第9話(テレビ朝日13日、ABCテレビ14日放送)から出演する。10歳で俳優デビューし、映画やドラマ、歌や舞台と幅広く活動を続ける小関が演じるのは“ふわっとした男”。20年のキャリアを経て、この役を通して見つけた自分の“現在地”とは何か。ENCOUNTが迫った。

『君としたキスはいつまでも』に第9話から出演
俳優・小関裕太が、ABCテレビ・テレビ朝日系で放送中のオムニバスドラマ『君としたキスはいつまでも』(テレビ朝日:土曜深夜2時30分、ABCテレビ:日曜深夜0時10分)に、人気ミュージシャンの役で第9話(テレビ朝日13日、ABCテレビ14日放送)から出演する。10歳で俳優デビューし、映画やドラマ、歌や舞台と幅広く活動を続ける小関が演じるのは“ふわっとした男”。20年のキャリアを経て、この役を通して見つけた自分の“現在地”とは何か。ENCOUNTが迫った。(取材・文=生島マキ)
同作の舞台は、廃校になった小学校をフルリノベーションした湖畔のホテル。卒業生や同校にゆかりのある人々を招待したプレオープンが行われる中で、さまざまな境遇の登場人物はそれぞれのタイミングでホテルに集ってくる。そして、人生の岐路となる出会いを通してラブストーリーを紡いでいく。
小関が演じるミュージシャン・神谷陽司/ヨウジは、その状況で幼なじみたちと再会する。
「僕が演じるヨウジは、余計なひと言を言うタイプで、『何でこんなことを言ってしまうんだろう』っていうセリフが多くて。台本を読みながら『余計なことを言わなくていいよ』って突っ込んでました(笑)。正直、つかみどころがないイメージの人。でも、現場に入って周りから『裕太を通してヨウジを見たら、ぴったりハマってる』って言われて、何か腑に落ちたんです」
実際の小関は、穏やかで柔らかい空気をまとっている。「よく『ふんわりしてるね』って言われます」と笑いながらも、今回の役柄には新たな発見があったという。
「ヨウジと僕の性格は全く似てないんです。だから、彼をどう理解しようかと考えていて、共演者の友人たちと話している中でふと気づいたんです。『やっぱり、彼は学生時代がキーワードなのかも』と。本当に仲の良かった友だちたち、生まれ育った故郷に立ち戻って、無意識に『そこに何かを求めていたんだろうな』と。そして、現在地も考えて悩む。それはヨウジだけじゃなく、他の登場人物にも共通している気がします。視聴者の方にも『今、自分がどこにいるのか』を見つめてもらえるような作品になったらうれしいです」
小関は10歳で子役を始め、2006~08年、NHK『天才てれびくんMAX』にテレビ戦士としてレギュラー出演。気づけば20年のキャリアになった。節目の30歳を迎えた今、彼のテーマは“現在地”だ。
「昔はよく『自分はどこにいるんだろう』って考えてました。10歳、15歳、20歳、25歳、30歳って節目の度に、『自分は何を目指してたんだっけ』って立ち止まることが多かったです。理想の中で今の自分はどこにいるのか。今回のドラマは、その“現在地”を見つめ直すきっかけになりました。特に共演した清水くるみさん(日比谷千瑛/チエ役)とは中学時代くらいからの知り合いで、久しぶりに会ったら『ふわっとしていたけど、すごく頼れるようになったね』って言われました。すごくうれしかったです。子役から大人への転換期を同じように見てきた仲だから、より響いたのかもしれません」

チーム・ハンサム!のつながりは「特別」
さらに同作は、今年20周年のアミューズ所属俳優によるユニット・チーム・ハンサム!が、ABCテレビとタッグを組んだ作品でもある。長年の仲間との共演もあり、現場は常に笑いの絶えない雰囲気だったという。
「ごはんから、お風呂から寝るに至るまで、ずっと一緒でした。そういう時間をともにしたっていうのが、大きな出来事です。みんながいて当たり前で、お芝居を通して『あの頃から変わってないね』って言える関係もすごくうれしい。でも、僕はこのドラマのように、久しぶりに故郷に帰って会う感覚っていうのがないんです。幼稚園の頃からずっと仲がいい友だちとは今でもしょっちゅう会うし、同窓会みたいなのには憧れます。大人になってからの時間を親しい人と共有することって、いろいろありますもんね。ヨウジも人との向き合い方に迷ってる人。だからこそ、理解できた気がします」
子役時代からの仲間、共演者たち。過去と現在をつなぐようなこの経験は、小関にとって“原点回帰”の空間でもあった。チーム・ハンサム!の一員としても知られる小関にとって、そのつながりは特別だという。
「僕が小学生の頃に、『ハンサムライブ』の第2回を見に行ったんです。そこから19年。今はそのステージに自分が立っている。今は僕の世代の他、先輩たちがいて、さらに下の世代と一緒にステージに立っていますが、層がいくつにも広がっているというのを見ると、20年の重みを感じます。みんなとも、『歴史を感じられるライブにしたいね』という話からスタートして、どう作っていくかを考えています」
上の世代と下の世代をつなぐ存在として、小関はステージに立つ。
「僕の今の“現在地”は、昔に描いた理想とは少し違うかもしれません。でも、後悔はないし、振り返ってももったいないだけ。逆に言えば、想像していなかったようないいこともたくさんあって、それが今の自分をつくってくれています」
そんな思いの中、新たな挑戦も待っている。チーム・ハンサム!は、20周年を記念し、今月27日、28日にパシフィコ横浜国立大ホールでライブを開催する。節目の年を迎えた小関は、これからも“つながり”と“現在地”を更新し続けていく。
「30歳になってから出会いが一気に増えて、すごく楽しいです。新しいステージに入った実感があります」
常に人を理解しようとする30歳。『君としたキスはいつまでも』というタイトル通り、小関は、心に残る“永遠の瞬間”を生きている。
□小関裕太(こせき・ゆうた) 1995年6月8日、東京都生まれ。2006年、NHK『天才てれびくんMAX』のテレビ戦士としてデビュー。10年にはミュージカル『テニスの王子様』に出演。その後はドラマ、映画、舞台で活動。。14年のTBS系連続ドラマ『ごめんね青春!』、17年の映画『ちょっとまて野球部!』、18年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』などで注目を集める。以降も映画『わたしに××しなさい!』『春待つ僕ら』『ライアー×ライアー』や、舞台『キングダム』などに出演。180センチ。血液型AB。
ヘアメイク:木内真奈美(Otie)
スタイリスト:齋藤良介
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