岩佐真悠子&西田美歩、介護士になって情報発信続けるワケ 防災士の時東ぁみも加わり「一歩踏み出してよかった」

タレントから介護士へと転身した西田美歩と岩佐真悠子が介護の現状を知ってもらおうと昨年からSNSの発信など普及活動を始めて、11月で1年がたった。今ではバラエティー番組にゲスト出演するなど2人の活動が注目され、介護への関心も高まっている。加えて高齢者の防災対策も重要性を帯びる中、タレントで防災士の時東ぁみが、活動参加を表明。12月に都内で介護と防災の大切さを呼びかける無料イベントを開催する。ENCOUNTでは「幅広い世代にも現状を知ってほしい」と訴える3人の思いに迫り、2回にわたって紹介する。1回目のテーマは「介護も防災も予防が大切」について。

介護と防災の大切さを訴えた岩佐真悠子(左)、西田美歩、時東ぁみ【写真:くさかべまき】
介護と防災の大切さを訴えた岩佐真悠子(左)、西田美歩、時東ぁみ【写真:くさかべまき】

介護と防災を考えるイベント『BECK』を12月21日に都内で開催

 タレントから介護士へと転身した西田美歩と岩佐真悠子が介護の現状を知ってもらおうと昨年からSNSの発信など普及活動を始めて、11月で1年がたった。今ではバラエティー番組にゲスト出演するなど2人の活動が注目され、介護への関心も高まっている。加えて高齢者の防災対策も重要性を帯びる中、タレントで防災士の時東ぁみが、活動参加を表明。12月に都内で介護と防災の大切さを呼びかける無料イベントを開催する。ENCOUNTでは「幅広い世代にも現状を知ってほしい」と訴える3人の思いに迫り、2回にわたって紹介する。1回目のテーマは「介護も防災も予防が大切」について。(取材・文=福嶋剛)

――西田さんと岩佐さんが介護の情報を発信して1年がたちました。

岩佐「多くのメディアのみなさんに取り上げていただいたことで、私たちも全国さまざまな場所に行って介護の現場や面白い取り組みをしている方々とつながることができました。普段私たちが接する機会が少ない障がいをお持ちの方への理解を深めたり友達になったり、全国の企業が進めるバリアフリーの取り組みなどを見られたり、徐々に協力体制が整う環境になったと実感しました。そんな未来に向けていろんな可能性を知る機会をいただけていることがすごくうれしいです」

西田「自分たちが介護の現場に戻った時、職員さんたちから『記事を見たよ』とか『もっと現場の問題点を発信してね』って応援をもらえるんです。トークライブに来てくださったご家族から『お二人の話がきっかけで母親との付き合い方や関係が良くなりました』といったメッセージをいただけたりして、一歩踏み出してよかったと思います」

――今回は時東ぁみさんと介護と防災のイベントを開催することが決まりました。

西田「そうなんです。もともと、あみい(時東)とは、『ミスヤンマガ』つながりでしたし、芸能人のフットサルチームでも一緒にやっていたのでお互いに連絡を取り合う仲だったんです」

時東「私は2007年に防災士の資格を取得してから芸能のお仕事と並行して防災に関わる仕事をしていて、ここ数年は、自分が企画したイベントを全国で開催しています。西やん(西田)が介護の仕事をやっていることは知っていたので、いつか防災と介護のイベントをやろうねと言っていたことが、ようやく実現できます」

――時東さんが介護に興味を持ったきっかけは。

時東「実は私、いつまでも健康でいれば介護とは無縁だと思っていました。ところが親が高齢になり、そろそろ介護について無視できないタイミングが来たなと思っていたんです。そんな時に西やんが介護の仕事を始めたと知って大変な世界に飛び込んだなと思っていたのですが、いつも介護の仕事は楽しいという報告ばかりで『私の印象とはだいぶ違うぞ』と思い、2人の活動をチェックするようになりました」

――みなさんが参加されるイベントはどんな内容を予定していますか。

西田「防災・エンタメ・地域・介護の頭文字をとって『BECK』というイベントになります。大田区(東京)にサポートしていただき、東急東横線/目黒線の多摩川駅から徒歩3分の『田園調布せせらぎ館』という会場で12月21日に開催します。親子4世代で楽しみながら防災と介護が学べる体験型の催し物をいろいろと用意していて、全国の高齢者施設でじわじわと人気が高まっている介護福祉士で音楽DJの玄さんによるシニア向け体操の『ロマンディスコ』や防災グッズが手に入るコーナーもあるので、ぜひ遊びながら知ってもらえるとうれしいなって思っています」

岩佐「3人が作るイベントなので堅苦しい感じではなくて、むしろ冷やかしくらいの気持ちで遊びに来ていただくくらいがちょうどいいです」

西田「『昔テレビで見たタレントがやってるよ』と言って10分くらい見て通り過ぎるのでも全然構わないですし」

時東「こういうことって意外と気軽に訪ねてみようと思っても多少知識がないとチンプンカンプンだったりするじゃないですか。そんな入り口だと思って学びに来るんじゃなくて遊びに来てください」

「防災は常にアップデートしているので最新情報を知ることがとても大切です」【写真:くさかべまき】
「防災は常にアップデートしているので最新情報を知ることがとても大切です」【写真:くさかべまき】

高齢世帯ならではのポイントも

――12月のイベントを前に、ENCOUNTの読者に介護と防災を知る上で「ここは抑えておこう」というポイントを3人に教えていただきます。

時東「高齢者の方の防災という面でお話をすると、都心と田舎では対応が違うと聞きます。高齢者の方は避難所に行くこと自体が困難な方もたくさんいらっしゃいますし、都心の場合はインバウンドで外国からの観光客の方が大勢いらっしゃっている中で避難所に人が集まり過ぎてすんなり入れないケースも考えておかなければなりません。最近は都心に住んでいる高齢者の方は在宅避難ができるように常に家の中の安全を確保しておくことが大切だと言われています」

西田「いざ避難しようとした時に家の中で転倒してケガをしてしまったら1人の時は誰かが助けに来るまで身動きが取れない可能性もあります。訪問介護で働いていた時は普段からベッド、トイレ、玄関という動線をしっかり確保することがいかに大切かよく分かります」

時東「西やんの言う通り、動線も含めて、家具の位置や倒れた時に扉が開かないようなところをチェックして、そこに物を置かないとか、安全に在宅避難ができるような準備って本当は今から必要なんです」

西田「後はテレビのコマーシャルでもよく見かけますけど、防災バッグに何を入れて置いたらいいのかというのは今一度考えてみる必要があるのかなと思います。お水も食料品もお薬も全部を持って行こうとすると一人暮らしの高齢者だったら重たくて持てない人だって出てきますよね」

岩佐「訪問介護をやっていた時にティッシュペーパーやトイレットペーパーといった紙類をたくさんストックしておかないと心配だという高齢者の方が多くて壁いっぱいに山積みされているご家庭も見かけます」

時東「岩佐さんが言ったようにペーパー類が家にたくさんストックしてあったら、それは備蓄ができているという証拠なんです。普段からお水や食品、ペーパー類といった消耗品を少し多めに買い置きしておいて、使ったらその分を買い足すことで、常に一定量の備蓄を保つ方法を『ローリングストック』と呼んでいます。防災バッグに詰め込んだ非常食には消費期限がありますから、ローリングストックをやりながら期限が近いものから消費していけば、食品ロスを最小限に抑えることができますし、災害時には食べ慣れた食品で精神的な安心感も得ることができます」

西田「一昔前と違って防災意識そのものが高まってきていることを知っておかなくちゃいけないですよね」

時東「そうなんです。防災は常にアップデートしていて、私も防災士としてこの1年で新たに学んだことも多いんです。だから私も常に新しい情報を発信し続けていかなくてはいけませんし、最新情報を知ることがとても大切だと思います。この夏も線状降水帯、台風、竜巻といろいろありましたよね。観測史上最大という言葉を何度聞いたことか。私たちはこういった災害を気象災害と呼んでいて、唯一、前もって分かる災害です。だから日頃から天気予報をチェックすることも大切だなって。例えば高齢者のご家族が田舎に住んでいる場合、その地域の避難所を予めネットや役所で確認し、危険を感じた時は先に避難所に移動しておくよう事前に伝えたり、周りのサポートが大事になってきます」

岩佐「もし避難して何もなかったら、『行って損した』じゃなくて『何もなくて良かった』って思わないとね」

時東「そうそう。空振りじゃなくて素振りの練習をしたと思えば本当に大きな災害が起きた時にその行動が生かされるので。素振りはどんどんやった方がいいと思います」

――次回は介護の現場から見た防災対策の現状についてお聞きします。

西田「よろしくお願いします。12月のイベントでは、みなさんの介護や防災に関する質問にもお答えします。ぜひ遊びにいらしてください」

□西田美歩(にしだ・みほ)1986年2月1日生まれ、東京都出身。2003年に『ミスマガジン2003』読者特別賞を受賞し、タレントデビュー。『めざましテレビ』などのリポーター、俳優を経て、現在はフリーランスで介護職に従事している。24年に介護福祉士を取得。岩佐真悠子とYouTubeチャンネル「介護士★西田岩佐」の配信や、ラジオ、イベントなどでも活動する。

□岩佐真悠子(いわさ・まゆこ)1987年2月24日生まれ、東京都出身。2003年、『ミスマガジン2003』でグランプリを獲得し芸能界入り。グラビアを中心に活躍し、04年にテレビ東京系ドラマ『Deep Love ~アユの物語~』に主演し俳優デビュー。同年『第42回ゴールデン・アロー賞』でグラフ賞を受賞した。14年に主演映画『受難』で第23回 日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞を受賞した。20年に芸能界を引退し、現在は介護士として活動中。

□時東ぁみ(ときとう・あみ)1987年9月25日生まれ、東京都出身。2005年に『ミスマガジン2005』にてつんく♂賞を受賞しアイドルデビュー。06年4月につんく♂プロデュースによる1stシングル『せんちめんたる じぇねれ~しょん』でメジャーデビューし、“元祖メガネっ子アイドル”の愛称で親しまれる。歌手、ラジオパーソナリティ、MCなど幅広く活躍しながら、07年に防災士免許、上級救命技能を取得した。防災イベント出演やパネリスト、講演なども各地で行っている。親子、高齢者ら、それぞれの状況に応じた防災対策を指導している。

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