「理想のアニオリ」「原作と矛盾」 視聴者から賛否の声があがるアニメのオリジナル展開
原作のあるアニメでも、制作の事情によってアニメ独自の展開を辿る例は少なくない。そうした展開では原作との違いも目立ち、視聴者から千差万別な意見が寄せられることがある。特に2010年代前半ごろまでに多く見られる、ひとつの作品を1年間以上通して放送していた際には、アニメの内容が原作に追いつきそうになった結果のオリジナル展開が見られた。

アニオリ展開はアリかナシか
原作のあるアニメでも、制作の事情によってアニメ独自の展開を辿る例は少なくない。そうした展開では原作との違いも目立ち、視聴者から千差万別な意見が寄せられることがある。特に2010年代前半ごろまでに多く見られる、ひとつの作品を1年間以上通して放送していた際には、アニメの内容が原作に追いつきそうになった結果のオリジナル展開が見られた。
例えば、04年から12年にかけて放送されたテレビアニメ『BLEACH』(原作:久保帯人)では、多くのオリジナル展開が描かれている。同作は主人公「黒崎一護」が、ある日「死神代行」としての力を得て、悪霊「虚(ホロウ)」との戦いから死神の世界「尸魂界(ソウル・ソサエティ)」を巡る事件に巻き込まれていく物語だ。
そんな同作で描かれたアニメオリジナル(以下、アニオリ)展開は、多くの賛否の声を生んでいる。特に最初に描かれたアニオリ展開「バウント編」は視聴者から「主人公チームの弱体化が酷いし、バウントが敵として惹かれない」「設定の矛盾やキャラのブレがイマイチ」などの厳しい意見があがった。
一方、22年から分割で放送している『BLEACH 千年血戦篇』では、原作のストーリーを軸にアニメ独自の情報を追加することで高い評価を得ている。たとえば、原作では描かれなかったキャラクターの共闘や活躍が描かれ「あくまで補完に留まって、尺の引き伸ばしもしない理想のアニオリ」など視聴者の意見も肯定的だ。
また、11年に放送した『青の祓魔師』第1期のように、原作が続いているにもかかわらずアニメでは完結させようと独自の展開を描いた例もある。同作では「祓魔師(エクソシスト)」を目指す主人公「奥村燐」と、燐の弟で祓魔師の「奥村雪男」というふたりの兄弟関係を中心に物語が描かれている。第1期では中盤から終盤にかけてアニメ独自の路線に進み、気持ちがすれ違い対立していた燐と雪男が和解する展開が描かれた。
しかし、17年に放送された第2期『青の祓魔師 京都不浄王篇』では、物語が1期で独自路線に進む前の時系列に戻ったところから始まり、今度は原作通りの物語が描かれることになる。そのため1期で和解したはずの燐と雪男の兄弟が険悪な仲に戻り、視聴者から困惑の声があがることとなった。
原作との違いや2期との繋がりを考えると不評の声もある1期のアニオリ展開だが、単体の物語としては円満な解決を迎えていて肯定する意見も少なくない。
ほかに13年に放送された『とある科学の超電磁砲S』では後半のアニメオリジナル展開に賛否が寄せられた。同作は超能力が存在する世界の学園都市が舞台で、世界で7人しかいない最高ランクの超能力を持つ「レベル5」から、何の能力も持たない「レベル0」までクラス分けされている。
主人公「御坂美琴」はレベル5の「超電磁砲(レールガン)」と呼ばれる電気系の能力者だ。前半戦ではレベル5でも最強と呼ばれ、力場を操る能力者「一方通行(アクセラレータ)」と対決する展開「妹達(シスターズ)編」が描かれた。
そして、後半戦ではアニオリ展開「革命未明(サイレントパーティ)編」に突入する。革命未明編では、美琴たちが謎の少女「フェブリ」と出会い、フェブリを作った組織「スタディ」との戦いに巻き込まれていく。ここでは前半戦の能力者バトルとは違い小型ロボの物量戦が続いていたため、「スタディの言い分もわかるけど、小物感が拭えない」といった声が視聴者からあがった。
しかし、これまでに登場した仲間たちが総力を結集して敵と立ち向かう様子は盛り上がり、幼い見た目のフェブリといったオリジナルキャラクターも評価されている。放送時期は未定だが、同作は第4期の制作も決定していて、そのなかでオリジナル展開が描かれるかどうかが見ものだ。
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