たった一口で子どもが救急搬送 自慢のそば提供終了の決断 「ちょっとくらいなら大丈夫…は本当に危険」
山形県にある飲食店「麺道 自然や」がXで明かした“ある決断”が、ネット上で大きな反響を呼んでいる。「我が子供が重度のそばアレルギーと診断されました」。そばどころとして知られる山形で、看板商品を手放すという苦渋の決断。その背景には、愛するわが子を襲った命の危機があった。

4歳の子どもが、初めて何気なくそばを一口食べた
山形県にある飲食店「麺道 自然や」がXで明かした“ある決断”が、ネット上で大きな反響を呼んでいる。「我が子供が重度のそばアレルギーと診断されました」。そばどころとして知られる山形で、看板商品を手放すという苦渋の決断。その背景には、愛するわが子を襲った命の危機があった。
創業7年目の同店は、そば、中華麺が看板メニューだった。店主が自ら採る山菜、こだわりのだし、自家製麺が評判で、1日多い日には120人が訪れる。
異変が起きたのは10月末のこと。4歳の子どもが、初めて何気なくそばを一口食べた際、「おいしくない」とそれ以上は食べたがらず、帰宅後に「体が痛い」と訴え始めた。
全身にじんましんが広がり、真っ赤に腫れ上がっていた。その直後には意識が混濁し、アナフィラキシーショックを発症。救急搬送される事態となった。
検査では、そばアレルギーの指標となる数値が、一般的な測定の上限を超える「100以上」を記録した。これは“測定不能なほど強い反応”を示すレベル。実際、髪の毛や衣服に付着した“ごく微量のそば粉”でもアレルギー反応が出てしまうほどで、日常生活でも細心の注意が必要なほど重度であることが判明した。
「麺道 自然や」は家族経営のアットホームな店で、子どもにとっては生活の延長線上にある場所でもある。
「今回、実際に自分の子どもがアレルギーを起こしてしまって、その大変さを実感しました。怖いということは知っていたんですけど、身近にいなかったので……。本当に怖いことなんだと実感しました」
店主としての葛藤はあったが、迷いはなかった。山口さんは家族を守るため、店から蕎麦を完全に排除することを決めた。
今後は、コロナ禍で研究を重ねて完成させた自家製麺の「中華麺」をメインに営業を続ける。物価高の中でも「お客さんに食べてほしい」との思いから、620円という手頃な価格を維持している。
Xでの投稿には6000件超の「いいね」が寄せられ、「ご家族の事優先で、素敵な判断だと思います」「苦渋の決断だと思いますがご家族様の健康と安全がイチバン」「そばを食べれないのは、残念ですが自然やさんはラーメンも美味しい!」といった応援のコメントが数多く寄せられた。来店客も事情を知り、「中華麺だけになっても通うよ」と温かく受け入れてくれているという。
今回の件を経て、山口さんはアレルギーに対する認識の甘さに警鐘を鳴らす。
「『ちょっとくらいなら大丈夫だろう』という考えは本当に危険。死に至るレベルの方もいらっしゃいます。うちの子もそうなので、みんなアレルギーを簡単に考えているかもしれませんが、本人は死と隣り合わせで本当に怖いと思いますし、ご家族も常に心配だと思います。軽く考えてはいけないということを伝えたいです」
看板メニューを失っても、守るべきものを選んだ店主。「麺道 自然や」は今、家族の絆と客への感謝を胸に、新たな一杯で客を迎えている。
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