懸賞金100万円かけ探した愛車が徳島で発見も…警察「諦めろ」の結末 フレーム改ざんの“闇”と不可解な再盗難
こんな仕打ちは誰が想像できようか。盗まれた愛車がようやく見つかったのに、手元には戻ってこない。警察の手にも負えず、挙句の果てには再び盗難に遭ってしまったという。しかも、その過程には首をかしげる点がいくつもある。オーナーは張り裂けそうな思いを抱えながら、情報提供を呼びかけている。

“1年9か月ぶりに見つかった愛車”は、返ってこなかった
こんな仕打ちは誰が想像できようか。盗まれた愛車がようやく見つかったのに、手元には戻ってこない。警察の手にも負えず、挙句の果てには再び盗難に遭ってしまったという。しかも、その過程には首をかしげる点がいくつもある。オーナーは張り裂けそうな思いを抱えながら、情報提供を呼びかけている。
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「YouTubeに西日本Zミーティングってイベントが今年9月にあったんですが、そこの会場にたまたま自分と似たサンパチが居まして。ナンバーも映っていましたので警察に連絡して、刑事さんに自分が乗っていた時の写真とYouTubeに載っていた車両を見比べていただき、『これは誰が見ても君のバイクだね』となり、ナンバーから現在の所有者につなげてもらいました」
そう語るのは、オーナーのゆはら たつや(@64YuPaLa)さんだ。
愛車は1974年式スズキGT380 B3 中期型。昨年3月、神奈川・伊勢原市内で盗難被害に遭った。警察に被害届を出したうえで、懸賞金100万円を掲げて行方を捜索。「たとえ犯人が持って来てもお金は渡します。それくらい帰って来てほしいです」と訴え、必死に探し続けてきた。
120万円で購入し、カスタムにはさらに150万円。家族同然に大切にしてきた1台で、買い替えのきかない特別な存在だった。
盗難から1年9か月が過ぎた頃、ついに転機が訪れる。YouTubeに投稿されたイベント動画をきっかけに警察が動き、愛車との“再会”が現実味を帯びたかに見えた。
しかし、状況は予想以上に複雑だった。
「盗まれたバイクが2週間ほど前に徳島県で見つかったのですが、乗っていた人は第三者で全く盗難車とは知らずに乗っている方でした」
この所有者は、徳島のバイク店からGT380を購入していた。“盗難車”とは知らないまま、大規模ミーティングの会場に乗り付けていた形だ。
ところが、車両を確認すると、フレーム番号とナンバーが別のものに差し替えられていた。フレームはバイクの骨格部分で、いくらゆはらさんのGT380のパーツが多数使われていても、“同じ車両”とは見なされない。そのため、警察からは「証拠品として押収出来ない」と説明されたという。ゆはらさんは、盗難発覚に備えた“カムフラージュ”の可能性もあると感じている。
ゆはらさんは警察を通じて所有者と連絡を取り、事情を説明。所有者は理解を示し、車両の写真も提供してくれた。特徴を一つ一つ照らし合わせ、自分のバイクで間違いないと確信した。
その後、所有者は「こんな盗難車売りやがって」とバイク店に車両を返品。しかし、話はそこで終わらなかった。なんとその翌日、今度はバイク店から再び盗難に遭い、行方不明になってしまった。
“フレーム別物”で返還されず 翌日には再盗難の衝撃
「ちなみに第三者からバイク屋の名義に変わってその日に盗まれてるそうです。バイク屋は返されたサンパチを外に置いていたみたいです。笑えてきます」
ゆはらさんがバイク店に電話で販売経緯を尋ねると、次のような説明が返ってきた。
「バイク屋に電話で言われた内容はアジア系外国人からパーツをバラバラに購入し、あのサンパチに仕上がったらしいです」
伊勢原市内で盗まれた車両が、なぜ徳島で販売されていたのか。所有者が返品した直後に、なぜ再び盗難に遭ったのか。不可解な点は少なくない。
「バレたくない物がバレてしまい行動に出たのと感じてしまいます」と不信感を募らせるものの、警察の対応には限界があり、行き詰まりを感じている。
「せっかく見つけたバイクなのに神奈川県警が出来るのはここまでで、取られ損だから諦めろと警察に言われました」
それでも、ゆはらさんは諦めていない。
ネット上には、自身のGT380と“徳島で見つかった車両”とを比較した写真を掲載し、バイクの行方に関する情報提供を呼びかけている。
「もう証拠隠滅でバラバラだと思いますが、何とかパーツだけでも返してほしい。フレームが違うだけで自分のバイクじゃないって分かってますが、パーツはどう見ても自分のです。エアークリーナーカバーに3つ穴が空いているのですが、これは自分だけだと思います。シートも特注で作ったので世界に1つだけです。タンクの傷とかエンブレムが金に塗ってあるのも一致しています。リヤフェンダーコーションも一緒です」
投稿は大きな反響を呼び、一連の経緯を巡って多くの意見が寄せられている。「この方の投稿は前から追わせてもらってたけどこんな結末になってしまうとは」「悔しさやばいなこれ」「もちろんバイク屋は被害届出したんだよな?」「終わりすぎてる」「フレームをわざわざ変えるって確信犯でしょ」「フレームとかエンジン載せ替えって結構な手間だしソレ作って売るにしても普通より高くは売れないだろう」「まじで日本って泥棒に優しい国だよなあ」。
人のモノを勝手に盗みながら、罪に問われることもなく利益を得ている者がいる。そんな現実を突きつけられるようなケースだ。
「フレームは差し替えられていますので自分のバイクじゃないって分かっていますが、悔しい気持ちが残ります」
ゆはらさんは、愛車を取り戻し、無念が晴れるその日まで闘い続ける覚悟だ。
「皆さんも大切にしている物はできる限りの盗難対策をしてほしい。防犯カメラはもちろん、盗まれない対策をしてほしい。自分と同じ思いをしてほしくないです」と締めくくった。
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