「神対応」とSNSで称賛 ジャパネットの高齢者対応 認知症疑いなら“注文制限”「売るより寄り添う」

通販大手・ジャパネットたかたの高齢者対応がSNS上で大きな注目を集めている。認知症の症状がある高齢者の家族に対して、注文を制限するなどの柔軟な対応をとっていることに対し、「素晴らしい企業努力」「神対応」と称賛の声が上がっている。なぜこれほど細やかな対応が可能なのか。ENCOUNT編集部はジャパネットたかたを取材し、その運用方針と背景にある思いを聞いた。

「ジャパネットたかたお客様サポート」の公式X【写真:X(@japanet_support)より】
「ジャパネットたかたお客様サポート」の公式X【写真:X(@japanet_support)より】

「売ること」よりも「寄り添うこと」

 通販大手・ジャパネットたかたの高齢者対応がSNS上で大きな注目を集めている。認知症の症状がある高齢者の家族に対して、注文を制限するなどの柔軟な対応をとっていることに対し、「素晴らしい企業努力」「神対応」と称賛の声が上がっている。なぜこれほど細やかな対応が可能なのか。ENCOUNT編集部はジャパネットたかたを取材し、その運用方針と背景にある思いを聞いた。

 きっかけは、SNSユーザーによる投稿だった。認知症を患う家族が通販で過剰に商品を注文してしまうことに悩んでいたところ、ジャパネット側から「注文制限」の措置に関して、連絡があったという内容だ。

 高齢化社会が進む中、判断能力が低下した高齢者によるトラブルは通販業界全体の課題でもある。同社では実際にどのようなルールを設けているのか。担当者は取材に対し、「ご家族様もしくは後見人様からのご依頼があれば、可能な範囲で柔軟な対応をさせていただいております」と回答。具体的には、要望に応じて注文そのものをお断りする対応や、注文受付後に家族へ「購入意思確認」の連絡を入れるなどのフローを構築しているという。

 年間どれほどの相談が寄せられているかについては、「今回のような事案については、ご相談いただいた内容や、ご連絡者様の状況・お気持ちに寄り添い、個別に対応させていただいている事柄であるため、その件数等について公表はしておりません」とした。数字で管理するのではなく、あくまで一件一件の「お客様の事情」に向き合う姿勢がうかがえる。

認知症理解に関する特別な研修は実施していない

 これほど個別の事情に踏み込んだ対応を行うためには、専門知識が必要に思える。オペレーターに対して、認知症理解に関する特別な研修などは実施しているのだろうか。帰ってきた答えは意外なものだった。「特別な研修等は行っておりません」

 特別な教育なしに、なぜ現場でこれほど質の高い判断ができるのか。その背景には、同社が徹底して掲げる企業理念があった。

「高齢者に限定した課題ということではありませんが、ジャパネットをご利用いただくお客様の『生活を豊かにする』という目的を全従業員が共通認識として持ち、単なる『販売員』ではなく、『お客様の暮らしの課題解決を支援するパートナー』であるというミッションを、しっかりと浸透させることを大切にしております」

 商品を販売して終わりではなく、その先にある生活の質の向上や、課題解決こそが目的。この「パートナー」としての意識が社員に浸透しているからこそ、マニュアルに頼らずとも、目の前のお客様やその家族にとって何が最善かを判断できるのだろう。

 今回のSNSでの反響について、同社は「弊社では日頃から行っている対応であったため、多くの反響をいただいたことに大変驚いております。お褒めいただいているお声については、率直にありがたく思っております」と感謝している。

 同社にとっては「特別なこと」ではなく、あくまで日常の業務の一環。しかし、効率化や自動化が進む現代において、その人間味あふれる対応は多くの人々の心に響いたようだ。

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