温泉街でチェックアウト、まさか「車がない」 460万円ランクルプラド盗難に怒り 6歳娘の心に傷「泣きながら…」
家族みんなが大好きな愛車で出かけた旅行が、暗転した。ホテルをチェックアウトして駐車場に行くと、「車がない」。衝撃の事態に見舞われた。日光・鬼怒川の温泉街で、トヨタ・ランドクルーザープラドの盗難事件が発生。一家は必死で愛車の捜索を続けている。山形県内に住む被害者の40代男性が取材に応じ、「家族の心の傷は計り知れないです」と切なる心境を明かした。

鬼怒川温泉街で11月の3連休に発生
家族みんなが大好きな愛車で出かけた旅行が、暗転した。ホテルをチェックアウトして駐車場に行くと、「車がない」。衝撃の事態に見舞われた。日光・鬼怒川の温泉街で、トヨタ・ランドクルーザープラドの盗難事件が発生。一家は必死で愛車の捜索を続けている。山形県内に住む被害者の40代男性が取材に応じ、「家族の心の傷は計り知れないです」と切なる心境を明かした。
栃木・日光の鬼怒川温泉街。事件は、3連休の11月22日午後4時~翌23日午前10時の間に起きた。「家族5人の旅行で、あさやホテルに1泊しました。午後4時頃にホテルに到着、荷物を降ろしてチェックイン手続き、妻がホテル側から指示された、あさやホテル西側駐車場に車を移動させました。これが車との最後になりました」。
翌朝10時にチェックアウト。ホテルの玄関を出て歩きながら、「すごくいいホテルだったよね。また来ようね」と話しながら、道路を渡ってプラドが止まっているはずの駐車場に向かうと、目を疑う光景が広がった。「妻が『車がない……』と言うんです。私がどこに止めたのか聞くと、ここら辺に止めたと。瞬時にやられたと思いましたが、いやそんなことはないだろうと。どんどん頭が真っ白になりました」。楽しい旅行が最悪の旅行に変わってしまった。
お見送りをしてくれた女性スタッフに伝達。その後、支配人が対応し、地元警察に通報した。「すぐに警察官に来ていただき、調書を取りました。警察の方からは『同案件でもう1件出ています。すぐ近くのホテルの駐車場で、同型の色違いです』という情報を聞きました。この瞬間、プロの窃盗団だと確信して、また絶望しました」。温泉街で別のプラド盗難被害を知り、ぼう然としたという。
2020年に新車で460万円で購入した白のプラド(TX-Lグレード)。たくさんの道中のお土産、お気に入りブランドのクーラーボックス、家族全員が大好きなジブリ映画のDVDなどを荷物として載せていた。大切な物も、根こそぎ奪われた。
プラドは家族にとって大事な存在。「車の買い替えをする時に家族の意見が合わない場合が多い中で、プラドに関しては、家族が増えたことがきっかけに、みんなで意見が一致しました。子どもたちにとっても自慢の愛車でした。私の家族と子どもの友達一緒に7人フル乗員で、ルーフボックスにギュウギュウに荷物を詰め込んで、夏の花火大会に行ったりと、車のよさを存分に味わっていました」。思い出は他にも、春は山菜採り、夏は海、秋はキノコ狩り、冬はスキーに行ったり……。「たくさんの仲間といつも泥だらけにして出かけ、帰宅後はピカピカに洗車をして、『今日もありがとう』と車に話しかけたりすることもありました」と述懐する。
盗難のショックを受けながらも、一家は急きょ新幹線で山形に戻った。深刻なのは、精神的なダメージだ。「自分自身も妻も落ち込んでいます。精神的ダメージが大きかったのが、6歳の末っ子の娘です。帰宅後に、すぐに自分のお絵かきスペースで何かを描いていました。茶色のクレヨンを使って泣きながら、『うちのぷらどがだれかにとられた、、、』と。それから数日は車に乗ることすらもつらかったようで、泣きながら保育園に登園する日々が続きました。保育園でも突然泣き出したりと、心の傷が計り知れないことを感じました」。打ちひしがれる家族の様子を明かす。
「たくさんの方々に協力していただき、生きる励みになりました」
温泉旅館が点在する観光エリアでの犯行。“死角”が狙われた格好だ。「警察の方に、『この辺の車両盗難は頻繁にあるのですか?』と聞いたところ、『頻繁にはありませんが、大型連休や観光シーズンになるとホテル駐車場を中心に頻発します』とのことでした。盗られてから気付いたのですが、観光地の宿泊施設駐車場は最も危険な環境にあることです。チェックイン後の少しの時間は車に荷物を取りに行ったりすることはあるものの、食事を取る時間あたりからは駐車場に行く人は、ほとんどいないのではないでしょうか。犯人側にとっては、住宅や商業施設など人が不規則に動くところより、リスクが低く窃盗行為ができるのだなと思いました」。
怒り、絶望、苦しみ……。警察の捜査を待つ被害者の心境は複雑だ。
「犯人に対して、そして自動車窃盗に限らず、社会に対して思うことがあります。人の大切な車や物を、平気で奪って傷付ける人間は、人の命でも何でも迷わず奪ってしまえる。そうなのではないでしょうか。逆に、他人の物でも自分の物でも大切にできる人は、他人に対しても優しくできる人間なのではないかと。このことをより強く思うようになりました」と言葉を絞り出す。
男性はXアカウント(Zoo Yu @ZooYu331671)などを通して、愛車の盗難被害を訴え、情報提供を求めている。「このたびはSNS等でたくさんの方々に協力していただき、生きる励みになりました。感謝してもしきれません。このように、他人に手を差し伸べてくれる人が少しでも増えていくような社会になっていくよう、自分自身も行動しなければいけないと思っています」と話している。
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