ハロー！プロジェクト所属のアイドルグループ・アンジュルムが30日、東京・日本武道館で秋の全国ツアー『Keep Your Smile!』最終公演を開催した。9月6日からスタートし、17会場、19日程、37公演（2会場、2日程、4公演中止、来年2月に振り替え公演開催）が組まれたツアーの千秋楽となり、Huluによるライブ配信、全国（51館）、台湾・台北の映画館でのライブビューイングも実施する中、メンバー9人は2時間15分に渡って全24曲を歌い、踊った。

　定刻から11分遅れ、純白の衣装を着た9人がポップアップで同時登場した。伊勢鈴蘭（21）、為永幸音（21）、橋迫鈴（20）、川名凜（21）、松本わかな（18）、平山遊季（19）、下井谷幸穂（19）、後藤花（17）、長野桃羽（15）で平均年齢19.0歳。今回のツアーはライブハウスで展開してきた流れで、約9500人を動員した約1年ぶり、今年8月に中学3年の長野が加入した新体制では初の日本武道館公演となった。

　オープニング曲の『愛すべきべき Human Life』から持ち前の歌唱力とダンス力を見せ、『出すぎた杭は打たれない』『乙女の逆襲』、今月12日リリースの『トラブルメーカー』と続けた。そして、最初のMCで新メンバーの長野が自己紹介した。

「今日が初めての武道館ということで、自分がこの舞台に立つことを信じられなかったんですけど、こうやって皆さんの姿を見てすごく感動しています。何かもう、（ペンライトでキラキラして）星みたいですね。今日は皆さんと一緒に全力で楽しみます」

　これを受け、ファンは温かい歓声と拍手を送る中、リーダーの伊勢が「ここから怒涛（どとう）のライブになります」と号令。5曲目『FAST PASS』から、本編ラスト21曲目の『友よ』まで4曲のメドレーを含めて披露した。

　ガールズグループ戦国時代、アンジュルムは基礎に裏打ちされた歌とダンスで支持を受け続けている。2009年4月4日、前身のスマイレージが結成され、14年12月17日にアンジュルムへ改名。メンバーの卒業、加入を繰り返しながら、ハロー！プロジェクトでは、モーニング娘。に次ぐ長い月日を重ねてきた。この間、国内外で多くのガールズグループが誕生し、消えてもきたが、アンジュルムは「本物」であり続け、俳優・蒼井優、山里亮太（南海キャンディーズ）夫妻、モデル・菊池亜希子ら多くの芸能人も長くひきつけている。そして、9人新体制で今月12日にリリースした通算5枚目（スマイレージ時代から数えて）のアルバム『Keep Your Smile!』は、オリコン週間デジタルアルバムランキング初登場1位を獲得した。

　高い実力を維持できる理由は、小学生からレッスンを受けてきたハロー！プロジェクト研修生出身のメンバーが多いことで、福岡出身の長野もその一人。自身にとっては初武道館ながら、先輩たちと息の合ったパフォーマンスで楽曲の世界観を表現した。

　9人はアンコールで『プリズンブレイカー』を初披露後、この日2度目のMCで思いを語り、サブリーダーの為永は長野を「本当にキラキラ輝いていて、超アイドルだった」と絶賛。後輩の後藤、下井谷には「成長していて、堂々としていて、最高で、美しかった」と言い、先輩の伊勢、橋迫にも「超かっこよくて、本当に最高のメンバーで日本武道館に立ててうれしかったです」と感謝を伝えた。

　この言葉にメンバーは目を潤ませ、橋迫と伊勢はティッシュで涙をぬぐいつつ、「3年前は思えなかった『自分の力でステージに立っている』と感じられるようになりました」と声をそろえた。

　その後、9人は『THANK YOU, HELLO GOOD BYE』と『スキちゃん』を全力で歌唱して終演。あえてMCを少なくし、グループのスピードとパワーを感じさせた2時間15分だった。