国分太一、12回繰り返した「答え合わせ」は「相手は嫌がっていなかった」弁明の布石か 元テレ朝法務部長が解説
解散したTOKIOの国分太一(51)が26日、代理人弁護士とともに記者会見した。日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』(日曜午後7時)を降板後、初の公の場。そこでの発言はさまざまな波紋を呼んだ。特に注目されたのは12回繰り返した「答え合わせ」。これについて、元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士は「国分氏が求めている『答え』は、『相手方の気持ち』ではないか」と推論した。

西脇亨輔弁護士「真っ先に配慮すべきは誰なのか」
解散したTOKIOの国分太一(51)が26日、代理人弁護士とともに記者会見した。日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』(日曜午後7時)を降板後、初の公の場。そこでの発言はさまざまな波紋を呼んだ。特に注目されたのは12回繰り返した「答え合わせ」。これについて、元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士は「国分氏が求めている『答え』は、『相手方の気持ち』ではないか」と推論した。
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1時間弱の会見でこれだけ同じ言葉が繰り返されることは珍しい。国分氏側が12回発した「答え合わせ」。会見後、日本テレビは「『答え合わせ』は難しいと考えております」とコメントし、多くの識者もこの言葉をキーワードとして挙げた。
しかし、この「答え合わせ」には違和感がある。それは「国分氏は『答え』を大体知っているはず」だからだ。
国分氏側弁護士は「処分に該当する具体的な事実は何か」について、日本テレビに「答えを教えて欲しい」と主張している、一方で、国分氏はコンプライアンス違反があったこと自体は認め、日本テレビ側の事情聴取でも思い当たる事項を述べ、その直後に『ザ!鉄腕!DASH!!』降板を告げられたという。そうであれば「日本テレビがコンプライアンス違反と考えたのは、主に聴取で出た事案だ」と容易に想像できるはず。それなのになぜ、「答え合わせ」を求め続けるのか。
この点について、国分氏側の「本音」が漏れたと感じた発言がある。それは国分氏側弁護士のこの言葉だ。
「ハラスメントの事案の認定というのは、一般的には、相手方がどう受け取っているかというのが重要なところですけれども、その点に関して日本テレビから、関係者が国分さんの行動をどう受け取ったかに関する説明をいただけていない状況です」
そして、国分氏自身も「やはり、感情という部分をしっかりとお話を伺いたいところがあります」と語った。どちらの発言も焦点は「国分氏の行為の相手方の感情」にある。こうした発言からは、国分氏側の真の意図が次の点にある可能性が浮上すると思う。
「ハラスメントとなり得る行為があったことは認めるが、相手が嫌がっていたとは限らない。だから、相手方がどう受け取っているのか、『相手方の気持ち』を聞きたい」
国分氏側の発言からは、ハラスメントを疑われた側からよく出される「相手は嫌がっていなかった」という弁明が見え隠れしているように思えるのだ。

「自分」が答え合わせしたいは、今の場面で適切なのか
しかし、一般論として力を持つ相手からハラスメントを受けた被害者が、その場で正面から拒絶できなかったり、泣き寝入りを強いられるケースは多い。さらにハラスメントが横行すること自体、被害者以外の関係者にも恐怖心を抱かせ、職場環境を悪化させるハラスメントになり得る。だから、外形的に見てハラスメントとなり得る行為について被害の訴えがなされた場合、「相手は嫌がっていなかった」という弁明が説得力を持つケースは少ないと思う。一方で、加害者側が「相手は嫌がっていなかった」と強く主張する場合、被害者側が二次被害にさらされるリスクは高まる。今回、日本テレビ側が一貫して関係者のプライバシー保護を貫き国分氏側の要求に応じていない理由の一つには、こうした構図への危惧があるのかもしれない。
その上で気になるのが、国分氏による「答え合わせ」は主語が「自分自身」だという点だ。日本テレビの認定事実を「自分」が知りたい、「自分」が答え合わせしたい。それを繰り返すことが、今の場面で適切なのか。
国分氏は日本テレビの「従業員」ではなく「取引先の一つ」だ。労働法の適用はないため、取引終了の理由について「答え」を聞く法的な権利はない。このため、「自分が答え合わせをしたい」という要望を繰り返すだけでは、日本テレビとの問題は解決に向かわないだろう。
一方で、コンプライアンス違反について思い当たる事案があること自体は国分氏も認めている。だとしたら、国分氏が真っ先になすべきは「相手方への配慮」のはず。「自分のための答え合わせ」を要求するのではなく、コンプライアンス違反への反省と「相手への謝罪の場を作って欲しい」という思いだけに限って発信すべきだったと、私は思う。その上で、日本テレビ側が相手方の意思を受けて謝罪の場を作る日が来ることを「待つ」。時間はかかっても、実はそれが唯一の前に進み得る道なのではないか。
問題に向き合う時、順番を間違えてはいけない。真っ先に配慮すべきは誰なのか。そのことを意識しながら時間をかけて進むことが、国分氏が道を開く方法のように感じている。
□西脇亨輔(にしわき・きょうすけ) 1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうまワイド』『ワイド!スクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。社内問題解決に加え社外の刑事事件も担当し、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反などの事件で被告を無罪に導いた。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。同6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。同7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、同11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。昨年4月末には、YouTube『西脇亨輔チャンネル』を開設した。
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