「無我殺法」を大切に闘っていく… “赤く染まった”無骨なプロレスラーの決意
WILDを封印し、身も心も赤く染め、NOAHの金剛に電撃加入した元W-1の征矢学。無骨で寡黙な男になったが、ブ厚い体に底なしのパワーは相変わらず。「リング狭し」と暴れ回っている。
NOAH金剛に電撃加入した元W-1の征矢学 底なしのパワーは変わらない
WILDを封印し、身も心も赤く染め、NOAHの金剛に電撃加入した元W-1の征矢学。無骨で寡黙な男になったが、ブ厚い体に底なしのパワーは相変わらず。「リング狭し」と暴れ回っている。
9・20群馬・高崎大会の「N-1 VICTORY2020」公式戦・マサ北宮戦では、ネックロックでギブアップを奪った。基本的な技であるネックロックだが「決まり手になる強烈な技だ」と改めて思い知らされた。新型コロナウイルス禍で大声を上げられないファンの間からも、「オオッ」と思わず声が上がっていた。
飛んだり跳ねたりの派手な技も、もちろん魅力満載だが、伝統的な技も大切にしたい。家を建てる時でも土台がしっかりしてないと長持ちしない。すべての事柄において基礎は大事だ。
「基本的な技を大切にしていきたい」と、言葉少なに語った征矢だが、思えば単なるパワーファイターではない。元々は無我出身。クラシカルなレスリングの基礎はしっかり学んでいる。
昭和の時代、ストロング小林(ストロング金剛)がヘッドロックでギブアップを奪っていた。怒涛の怪力でグイグイ締め上げるヘッドロックは、痛みも伝わり、見る者に手に汗握らせた。
頬骨やこめかみに、人差し指の第2関節を押し当てて万力で締め上げれば、徐々にスタミナが奪われ、相手は崩れ落ちて行く。
令和のプロレスから見れば、スローモーションな攻防かも知れないが、じっくり堪能できるスタイルなのは間違いない。
昭和のストロングスタイルともいうべきファイトスタイルの、大日本プロレスのストロング部門「ストロングBJ」。関本大介、岡林裕二を筆頭に皆、アルゼンチンバックブリーカー、バックドロップなどを、一撃必殺の技としている。
関本との二枚看板・岡林は「最初に習ったことは忘れない。それは何年たってもおざなりにしたらいけない」と、初心忘るべからずという気持ちを常に持ち続けている。
大日本の未来を担う期待の星、野村卓矢は「基本の技ほど、慣れてくると雑にやりがちだが、それではいけないと思う。派手な技に目が向くけど、基本技を忘れてはいけない」と、まだ若いが温故知新の心を持っているという。
実際、野村は投げっぱなしではなくきっちりホールドしたドラゴンスープレックスや、胴締めスリーパーで勝利をもぎ取るなど、伝統的な技を繰り出しており、忘れがちな基本技にも光を当てたいと目を輝かせる。基本技から進化させたオリジナルホールドも考えている。
プロレスは日々、変わる。時代の流れもある。いい悪いではないが、基本技を大切にすることは不変だろう。基礎を見直すことで、そこからまた新たな闘いが始まる。