シビアで神秘的な“ゾーン”が放つ独特な魅力 PS5版『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』プレイレポート

「S.T.A.L.K.E.R.」は、2007年に発売した『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』から続くFPSシリーズだ。最新作である『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』のPS5版が20日に発売されたので、プレイしてみた。

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』PS5版が発売
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』PS5版が発売

独特の世界観で展開されるサバイバルFPS

「S.T.A.L.K.E.R.」は、2007年に発売した『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』から続くFPSシリーズだ。最新作である『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』のPS5版が20日に発売されたので、プレイしてみた。

 筆者はほとんどその伝説しか知らないタイトルだったが、この度遊んでみて、その独特な面白さに一気に惹き込まれてしまった。

 本稿を執筆するうえで、日本国内版パッケージの製造・販売を担当しているセガよりダウンロードキーの提供を受けている。

 本シリーズはチョルノービリ原発周辺に発生した危険地帯「ゾーン」を舞台に、サバイバルと探索を行うストーリーベースのFPSだ。

 本作の主人公はスキフという海兵隊員。アーティファクトにより自宅が吹き飛んでしまったので、仕方なく彼はその場に落ちていたアーティファクトを手に、ゾーンへと向かった。こいつを再活性化して、金に換えようという算段だ。

 しかしながら、あてにしていた博士は何者かに殺害されており、代わりに自らアーティファクトの再活性を行っていたところを謎の勢力に襲撃されてしまう。これにより、主人公はその身ひとつでゾーンを生き抜く羽目になった……。

危険地帯「ゾーン」が舞台となる
危険地帯「ゾーン」が舞台となる

 基本的にはオーソドックスなサバイバルFPSであり、銃やグレネードを使用して、ミュータントや人間と戦いつつ、資源を探してクエストをこなしていく作りである。そこだけ切り抜くと、今となってはそこまで珍しくもないメカニクスではある。

 しかしながら、本作の独特の魅力は、その世界観だ。ストルガツキー兄弟の小説『路傍のピクニック』や、アンドレイ・タルコフスキーの映画『ストーカー』などに影響を受けた舞台設計が、プレイヤーを惹き付けて離さない。

独特の世界観が魅力だ
独特の世界観が魅力だ

“古き良きPCゲーム”を思い出させる、味わい深いゲーム体験

 ゾーンにはアノマリーという物質が漂っており、認知や物理法則を歪めている。近づくと引きずり込まれる重力球体や、発火する柱、帯電する床など、どれもこれも危険なものばかりである。

 その周囲を歩くだけで眠くなる綺麗な花畑など、ロケーションに根ざしたアノマリーも存在し、プレイヤーを飽きさせない。怖ろしくも神秘的な世界なのだ。

 また、アノマリーの近くにはアーティファクトという物体が発生することがあり、それらは設定上もゲームプレイ上も多くの人々のあいだで取引されている。身に着ければ強力なパワーを手にすることができ、装備品としても役立つ。

怖ろしくも神秘的な世界が広がる
怖ろしくも神秘的な世界が広がる

 そんな具合でSFフレーバーではあるものの、泥臭く生きる他のストーカーたちとの会話がメインで進行する。シニカルだが必死に生きている彼らのドラマは、オフビートながらリアリティがあって面白い。ほとんどおっさんばかりで、ムカつくようなことも言ってくるが、ゆえにこのゾーンという土地のシビアさを醸し出している。

 探索と戦闘についても、大袈裟なカバーリングアクションや、アーティファクトを使ったダイナミックな戦いはなく、オープンワールドらしい散発的な銃撃戦がほとんどだ。これがまた一定のリズムを生み出しており、ともすれば単調とも取られかねないようなギリギリのラインでゲームバランスを保っている。

ゾーンという土地のシビアさがうまく表現されている
ゾーンという土地のシビアさがうまく表現されている

 クエストをこなすついでに資源を漁り、ミュータントや人間と撃ち合って、命からがら拠点に帰る途中で、アノマリーを踏んづけてお陀仏になったり、夜になる前に帰宅できたりする……。文章にするとそんな体験になるが、これがなんとも味わい深く、ついつい熱中してしまう。

 前作の三部作に比べると、グラフィックも格段に良くなっているうえに、PS5版はPC版の発売直後に騒がれていたバグも今のところはほとんど出くわさなかった(キャラクターが変な方向を向くといった軽微なものはある)。バグの噂で手を出さなかったユーザーにもオススメできるタイミングである。ジャイロ操作やエイムアシスト、ADS感度の調整など、コントローラーエイムにも最適化されているのも素晴らしい。

 今をときめくド派手な対戦FPSなどに比べると地味に見えるかもしれないが、伝説の名に相応しい、じんわりとした味わいのある作品だった。古き良きPCゲームが持つ独特なセンスを思い出させてくれるゲームである。

ゲームオーバー画面も特徴的だ
ゲームオーバー画面も特徴的だ

S.T.A.L.K.E.R. 2 is a registered trademark of GSC Game World Global Ltd. (C) 2025 GSC Game World Global Ltd. GSC Game World and its logos are Trademarks or Registered Trademarks Of GSC Game World Global Ltd. (C) S.T.A.L.K.E.R. 2 HEART OF CHORNOBYL a game developed GSC Game World.

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