「やっと買えた」ラーメン一筋20年、念願のフェラーリに感慨 「ウン千万円」現金一括の成功秘話
高級車に乗る人も人生はさまざま。生まれ持っての資産家もいれば、裸一貫から身を起こし憧れの1台を手にした人もいる。飲食未経験からラーメン店に弟子入りし、厳しい修行の末に独立、高級車の代名詞・フェラーリを現金で一括購入したという男性に、波瀾万丈のサクセスストーリーを聞いた。

【愛車拝見#344】20代で一念発起、仕事を辞めラーメン屋に弟子入り
高級車に乗る人も人生はさまざま。生まれ持っての資産家もいれば、裸一貫から身を起こし憧れの1台を手にした人もいる。飲食未経験からラーメン店に弟子入りし、厳しい修行の末に独立、高級車の代名詞・フェラーリを現金で一括購入したという男性に、波瀾万丈のサクセスストーリーを聞いた。
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10月に福島・浪江町で行われたカーイベント。真っ赤な2014年式フェラーリNAで参加したのは、宮城・多賀城市で人気のラーメン店「らーめんONE」を経営するオーナーの40代男性だ。店は今年で創業13年。経営が軌道に乗り、昨年、念願の高級スポーツカーをキャッシュで一括購入した。
「子どもの頃からフェラーリに乗るのが夢だった。ピニンファリーナ(イタリアの自動車メーカー)との共同製作で、加速のときにフェラーリらしい『パーン!』っていうエンジン音が鳴る最後のモデル。今はターボがついて速くなったけど、音は『ボーン』と低くなっちゃった。この音が一番の魅力ですね」
幼少期から車が好きで、高校卒業後に自動車整備の専門学校を経て車屋に就職した。ところがそこから心機一転。20代前半で仕事を辞め、地元のラーメン店に弟子入りを志願、一念発起でゼロからラーメン屋を目指すことを決めたという。
「車と同じくらいラーメンも好きで、よく食べ歩きをしてたんですが、カリスマ性あるラーメン店主に憧れて、自分もどんぶり一杯の中で世界を表現してみたいなと。包丁を持ったことも、米を炊いたこともない全くの未経験から、『麺屋武蔵』の流れを組む仙台の有名店『麺屋とがし』に弟子入りしたんです。自分は麺屋武蔵の孫弟子ということになりますね」
厳しい7年間の下積み時代を経て、2012年に独立。仙台うみの杜水族館の真向かいという好立地で「らーめんONE」を開業した。
「資金繰りで失敗すると、店をオープンする前に潰れることもある業界。潰れなくても手取り20万円を切るような店はいくらでもある。独立する時は本当に怖かった。でも、業界で成功した先輩たちはみんな『これくらい買えるから頑張りな』とポルシェやゲレンデを乗り回していて。自分は開業資金が優先でなかなか手が出せませんでしたが、去年やっとこの車を買えた。金額? 秘密ですが、まあ、ウン千万円です」
東日本大震災の経験も背中を後押ししたという。
「仙台港の近くの実家は2階の床上まで水が来て、母親はテーブルの上に避難していた。家族全員何とか無事でしたが家は全壊。一帯は人が住めない地域になっちゃった。誰も自分がいつ死ぬかなんて分からない。それなら後悔しないように、やりたいことをやろうと」
有名店で修行した実績もあり、オープン直後は上々も、一時は客足が鈍り危機感を感じたこともあったという。それでも試行錯誤を重ね、3年以内に7割が廃業するという厳しい業界で創業13年目を迎えた。震災当時、幼かった2人の息子も今や高校生。近年は店を後進に任せ、悠々自適の生活を楽しんでいる。
「成功の秘訣は諦めないこと。自分は周りの人たちに恵まれたのもすごく大きい。弟子入りの門をたたいた時も、独立した時も、この車を買った時も、勇気を持って一歩踏み出せば世界は広がるんだと感じています」
照り返す日差しで赤く燃える愛車に目を細めながら、男性はそう締めくくった。
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