「捕まらなければ大丈夫」違法モペットが減らない理由 一部業者は速度リミッター解除の違反行為を黙認

電動モビリティ販売・FreeMileは19日、ペダル付きの電動バイク「モペット」の違反が横行している理由として「一部販売業者にも責任がある」と声明を発表した。

電動モビリティ販売・FreeMileが声明を発表した
電動モビリティ販売・FreeMileが声明を発表した

電動モビリティ販売会社が声明「一部販売業者にも責任がある」

 電動モビリティ販売・FreeMileは19日、ペダル付きの電動バイク「モペット」の違反が横行している理由として「一部販売業者にも責任がある」と声明を発表した。

「モペット」とは、ペダル付きの原動機付き自転車。ペダルを漕いだ走行、モーターを使った走行の両方が可能な車両だが、見た目が電動アシスト自転車に似ていることから混同されやすい。改正道路交通法で「特定小型原付」の区分が新設された2023年以降も、モペットを“自転車”と見せて販売する業者は後を絶たないという。

 一部の販売業者は日本向けに「最高速度20キロ/h制限」や「アシスト比制御」などを設け、“特定小型原付”や“電動アシスト自転車”として販売。しかし内部的には、配線一本・コマンド操作・スマホアプリなどで速度リミッターを解除できる構造にしておき、「解除してしまえば海外仕様(40キロ/h・スロットルモード)になる」という設計になっているケースもある。

 警察庁は「保安基準を逸脱する構造、または容易に改造可能な車両は公道走行不可」と明記しているが、SNS上では「解除すれば速い」「捕まらなければ大丈夫」といった投稿が拡散しており、一般ユーザーの間で誤った理解が広がっているのが現状だという。

 業界を取り巻く“制度と販売”の構造的な問題を「まずは制度の隙間です。『特定小型原付』は主に電動キックボードを想定して設けられた枠組みでした。そのためペダル付きやスロットル付きの車両は法律上の位置づけがあいまいで、警察署ごとに判断が異なることもありました。この“法のグレーゾーン”を販売業者が突き、『一応特定小型』『アシスト扱いに近い』といった表現で販売を広げていったのです」と説明。

 また、ネット販売やSNSが違法車両拡散の温床になっているといい「こうしたグレー車両は、つい最近まで国内のECサイトやフリマアプリでも普通に販売されていました。『免許不要』『自転車扱い』という誤解を招く表現も多く、一部の業者がそれを利用して販路を拡大していたのです。主要プラットフォーム各社が2025年春以降に出品ルールを強化しましたが、SNSでは依然として“どこかで買える”という誤解が残っています」と指摘した。

 さらに「購入者にも『捕まらなければ大丈夫』という心理があります。SNS上では『免許いらないなら欲しい』『逃げ切ればいい』といった投稿も目立ちます。この“気軽さ”が購買を後押しし、販売側もそれを理解している。結果として、解除すれば速くなる構造の車両が黙認され、消費者と業者の双方が“共犯的”にグレーゾーンを広げているのです」とした。

 利用者の摘発ばかりがフォーカスされる違法モペット問題は、販売業者の倫理と制度設計の課題が複雑に絡み合っているといいFreeMile社は「売って終わりではなく、社会とともに走っていかなければいけない」と訴えた。

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