格闘技イベント「ONE 173: Superbon vs. Noiri」（16日、東京・有明アリーナ）第12試合、フライ級 キックボクシング

　第12試合では元K-1・3階級王者の武尊（34＝日本）がデニス・ピューリック（40＝カナダ）に2R・KO勝利。2024年9月以来、1年2か月ぶりに復活の白星をあげた。試合後に次の試合を最後に現役を引退することを電撃表明。元ONEフライ級王者ロッタン・ジットムアンノン（28＝タイ）とのリベンジマッチが内定した。

　武尊は1Rから圧力をかけていく。開始1分半、右のカウンターでダウンを奪う。なんとか立ち上がった相手に対してさらに攻勢に。カーフも交えながら、さらに削っていく。終盤には武尊らしく、白い歯を見せて微笑む場面も。そして終了間際には右ストレートで2度目のダウンを奪った。

　2Rも被弾しながらも前進する武尊。そして強烈なカーフキックを左足に打ち込み、3度目のダウンを奪う。そして終了間際にハイキックでぐらつかせ、4度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めた。鮮やかなKOで復活。ケージからバク転を決め、会場を熱狂させた。

　試合後のマイクでは「もう、あの、前回ロッタン選手に1Rで負けてしまった。応援してくれているファンの思いを裏切ったと思ったので……」と話したところで感極まり涙。「裏切ったままでは終われない。死ぬ気で勝つ気できたので、皆さんありがとうございます」とファンに感謝した。

　ケージサイドには3月の日本大会で敗れたロッタンの姿が。インタビュアーからリベンジへの思いを問われると、武尊は「え～ちょっと、その前に1個だけ。あの……え……え～～」と言葉を詰まらせながら、「僕は次の試合で現役引退します」と衝撃的な発言が飛び出した。

　そして「みんなの期待を裏切らない試合をやってきた。最後まで裏切らないので、次の試合受けてくれるなら、最後の試合ロッタン選手とやらせてもらって、絶対勝って、応援してくれるみんなに、応援してくれてよかったって思わせるんで」と思いを口にした後、ケージに上がってきたロッタンに対して、「現役最後の試合の相手お願いします」と頭を下げた。

　これにロッタンも「あなたの最後の試合、相手が私で良ければやります」と快諾した。

　武尊は22年6月19日に行われた格闘技イベント「THE MATCH 2022」で那須川天心と対戦し判定負け。その後の会見でパニック障害を告白した。同11月にはそれまで所属していたK-1との契約を解除し、23年3月にONEチャンピオンシップと複数試合契約を結んだことを発表。同6月にMuay Thai Grand Prixに出場し復帰し、ISKA K-1ルール 世界スーパーライト級王者・ベイリー・サグデン（英国）とISKA K-1ルール 世界ライト級王座決定戦とMTGPキックの王者決定戦を行い5R・KO勝ちを収めた。

　24年1月28日のONEデビュー戦でロッタンと対戦予定であったが、ロッタンのけがで消滅。試合1か月を切ったタイミングで対戦相手がONEフライ級キックボクシング世界王者スーパーレック・キアトモー9に変更された。結果は5Rの死闘の末に判定負け、足に大けがを負った。同9月に行われた「ONE Friday Fights 81」での再起戦ではタン・ジンと対戦し、2R・KO勝ちを収めた。

　25年3月の日本大会「ONE 172」では「格闘家として集大成」と明かしロッタン戦に臨んだが、1R・KOで敗戦。今年2回目となる日本大会で再起に成功した。