パチンコ・パチスロ化→アニメ次回作が実現? タイアップがもたらす“Win-Win”の関係

人気アニメがパチンコ・パチスロ機とタイアップすることによって注目を集めることがある。『北斗の拳』や『ルパン三世』『エヴァンゲリオン』といった人気アニメは今やパチンコ業界には欠かせないコンテンツとなっている。かつてはオリジナルコンテンツが主流だったパチンコ・パチスロ機だが、なぜここまでタイアップ作品が増えていったのだろうか。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが、タイアップのメリットについて解説する。

パチンコ・パチスロ機のタイアップのメリットとは(写真はイメージ)【写真:写真AC】
パチンコ・パチスロ機のタイアップのメリットとは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

タイアップ機が増え続ける理由とは

 人気アニメがパチンコ・パチスロ機とタイアップすることによって注目を集めることがある。『北斗の拳』や『ルパン三世』『エヴァンゲリオン』といった人気アニメは今やパチンコ業界には欠かせないコンテンツとなっている。かつてはオリジナルコンテンツが主流だったパチンコ・パチスロ機だが、なぜここまでタイアップ作品が増えていったのだろうか。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが、タイアップのメリットについて解説する。(文=濱マモル)

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 増え続けるインバウンド。そんな外国人観光客の一部では、パチンコに興味を示す人もいるそうだ。理由のひとつとして挙げられるのが、アニメとのタイアップ。海外でも人気のコンテンツが、パチンコ・パチスロ化されているのである。

 たしかにホールはタイアップ機であふれている。もちろん、北電子の『ジャグラー』シリーズや大都技研の『押忍!番長』シリーズ、三洋物産の『海物語』シリーズといったオリジナルコンテンツもあるにはあるが、来年1月までの導入リストをチェックしても、ほとんどが版権ものだ。

 では、なぜタイアップ機が主流となったのか。それは、あくまで個人的推察だが、その方が“作りやすい”からではないだろうか。

 パチンコ・パチスロのハードウェアは劇的に進化した。迫力のサウンドと、美麗な液晶画面。臨場感ある演出は打ち手を惹き込ませるが、キャラクターや設定、ストーリー、それに合わせた楽曲などを全てイチから作るとなると、これはかなり骨が折れる。当然、費用もかさむ。

 対して、既存のコンテンツであれば物語は完成されている。アニメや映画、アーティストとのタッグであれば楽曲もある。無論、これらの使用料は発生するし、演出用に新規の映像をお願いするケースもあるだろうが、それを差し引いてもタイアップ機の方がメリットは多いのだろう。

 また、ビッグコンテンツであればあるほど話題を集めることも事実だ。2006年に京楽産業.が『CRぱちんこ冬のソナタ』をリリースした際には、韓流ドラマファンのおばさまたちがホールに押し寄せ、ニュースでも取り上げられたほど。19年に大都技研の『Re:ゼロから始める異世界生活』がデビューした時にも原作ファンが大挙し、しばらくは空き台を探すのもひと苦労だった。

 一方で、パチンコ・パチスロから注目を集めたコンテンツもある。その代表例が『牙狼』だ。特撮好きの間では好評だったものの、一般的な知名度はそこそこ。そんな中、08年にサンセイR&D製造の『CR牙狼XX』がロングヒットすると、パチンコファンに広く知られる存在となった。Win-Winの関係と言えるだろう。

 Win-Winの関係といえば、03年に登場したサミーの『パチスロ北斗の拳』も忘れてはならない。累計60万台オーバーの販売台数はギネス記録であり、当時は、その人気に伴ってコンビニコミックが爆売れ。そもそも歴史に名を残す名作ではあるが、この大ヒットがなければ今でも続くパチンコ・パチスロの鉄板シリーズにはならなかっただろうし、そうなると、今の若者たちは存在自体を知らなかった可能性もあるわけだ。

 それはそうと、熱狂的な原作ファンの中には、パチンコ・パチスロ化を疎ましく感じる人も少なからずいる。だが、それによって動くお金は膨大。もしかすると待望の続編や映画化は、そのお金が手助けしているかもしれないのである。

□濱マモル(はま・まもる)フリーライター。1976年2月4日、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、レコード会社勤務を経て、2002年に攻略誌「パチスロ必勝ガイド」でライターとしてのキャリアをスタート。パチンコ・パチスロやギャンブル系を中心に、音楽・野球・街情報など、幅広い分野で執筆する。趣味は飲酒、特技は料理。バンドマンとしての顔も持つ。

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