「毎週行きたいです」台湾人が日本のサイゼリヤを絶賛するワケ 「台湾にもあるけれど…」
日本にとって人気の旅行先の一つである台湾。飛行機でわずか3時間の距離にあり、日本の有名チェーン店も数多く進出している。一方、同じチェーン店でも国や地域が違えばメニューも違う。台湾から日本にやってきて、「日本のサイゼリヤに感動した」という鄭卓高さんに聞いた。

乾杯、温泉…共通の文化に違いを発見
日本にとって人気の旅行先の一つである台湾。飛行機でわずか3時間の距離にあり、日本の有名チェーン店も数多く進出している。一方、同じチェーン店でも国や地域が違えばメニューも違う。台湾から日本にやってきて、「日本のサイゼリヤに感動した」という鄭卓高さんに聞いた。
鄭さんは台北在住の現役プロレスラー。子どもの頃はバスケットボールやバドミントンに打ち込んでいたが、中学2年の時に観戦した新台湾プロレス旗揚げ戦に衝撃を受け、プロレスラーになることを決意した。高校3年時にデビューすると、大学1年の夏には日本のプロレス団体で住み込み修業。翌年には日本デビューも果たしている。
観光も含めると来日回数は5回。その上、寮で暮らしていた経験もあるため、日本の生活事情にも詳しい。
「すし、ラーメン、焼肉、うどん、デンジャーステーキ……なんでも食べます。台湾のウニは新鮮なものが少ないので、ウニは特においしいです。あと日本のごはんは大好き。めちゃめちゃ甘い。食感もとてもいいですね。台湾のコメは柔らかすぎることがあります」
日本と台湾は文化的にも近い。
例えば、会食の時は、台湾でも「乾杯」(ガンベイ)というかけ声がある。
しかし、鄭さんは、日本で乾杯しようとすると驚いた。指摘されたのは、グラスの角度だった。
「自分のグラスを相手より下に構えなければいけないということでした」。台湾ではなじみのないマナーだった。
逆に台湾でのマナーが日本では必要ないこともあった。
「台湾のガンベイは、一気に飲み干すことを意味します。特に職場の上司と乾杯する時は、1~2秒ですべて飲まなければなりません。台湾はとても速いです。ちびちびやろうとするならば、『弱いよ』とプレッシャーをかけられたり、『敬意がない』などと言われます」
友人同士ならマイペースで酒を飲むことができるが、職場では理解のある上司でない限り、そうはいかないことが多いという。日本では“一気飲み”を勧める上司は少数派。ハラスメントとみなされることもあるため、飲酒のペースは個々に委ねられている。
他にも似ているのが温泉文化。台湾にも多くの温泉があるが、その入浴法は少し異なる。
「台湾では水着を着用する温泉が多く、裸で入る温泉は少ないですね。水着は家から持参してもいいですし、レンタルすることもできます。あと台湾ではタトゥーも大丈夫です」
日本の銭湯のようなスタイルは珍しい。サウナの温度も違うといい、「日本のサウナはめちゃくちゃ熱い。入っていられるのは3分ぐらい。もう難しいです」と続けた。
最近では日本式のプライベート温泉も増えており、ファミリーやカップルには温泉付きの部屋が人気だそうだ。

「毎週でも通いたい」…サイゼリヤに衝撃
また、台湾には、日本のチェーン店も多数進出している。コンビニや100円ショップ、ディスカウントストア。牛丼店やうどん店、喫茶店、洋菓子店、すしチェーンも多い。まるで日本と変わらないようなラインアップだ。
ただ、同じチェーン店でも、その中身は全く同じではない。
例えば、台湾に23店舗あるサイゼリヤ。東京でも足を運んでみると、鄭さんは感動したという。
「日本のサイゼリヤがお気に入りです。台北では月1ペースですが、東京では毎週行きたいです。そのくらい安くておいしいです」
公式サイトの価格を見ると、ミネストローネは東京270円、台北55ニュー台湾ドル(275円ほど)と、あまり変わらない。ただ、物価が高いのは東京だ。東京でこの価格を維持できていることが驚きというわけだ。
「味つけも違います。台湾のサイゼリヤはノーテイスト。少ししか味がしません。日本のサイゼリヤはもっと味がする。ステーキもパスタも」
メニューは台湾にあって日本にないもの、またその逆もある。「鶏肉が好きです。日本は胸肉があるのもいいですね」。一方、台湾には見た目のインパクト抜群の「イカの丸焼き」というメニューが存在。「エビのサラダ」は、エビの種類が違い、日本で人気のタラコパスタも見当たらない。「スープにパンプキンスープもあります」。
共通点が多いからこそ、小さな差異に気づく。それこそが旅の一番の“ごちそう”なのかもしれない。
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