話題の“キャラガチャ廃止”アニメ調RPG、その真価は? 『デュエットナイトアビス』プレイレポート

アクションRPG『デュエットナイトアビス』(PC / iOS / Android)が、10月28日に正式サービス開始となった。“キャラガチャ廃止”が話題となった本作は、どのようなスタートを切ったのだろうか。

『デュエットナイトアビス』がサービス開始【画像:(C)Pan Studio All Rights Reserved.】
『デュエットナイトアビス』がサービス開始【画像:(C)Pan Studio All Rights Reserved.】

伝統的なRPGに近い「キャラはいつか手に入る」という感覚

 アクションRPG『デュエットナイトアビス』(PC / iOS / Android)が、10月28日に正式サービス開始となった。“キャラガチャ廃止”が話題となった本作は、どのようなスタートを切ったのだろうか。

(※以下、作品のネタバレを含む記述があります)

『デュエットナイトアビス』について取り上げるのならば、まずはガチャに代わるキャラクター入手手段に触れるべきだろう。ストーリー進行に伴い加入するキャラクターを除けば、一般的には様々な方法で報酬として手に入る「依頼密書の手がかり」を使用し、ショップでキャラクターに対応した「依頼密書」を交換。それを消費してクエスト(ダンジョン)をクリア、「想いの欠片」を30個集めればキャラクターを解放できる。それなりに手間だが、ゲームをプレイしていて「いいな」と思ったキャラクターをそのまま迎えられるのはありがたい。

 本作に代表されるような“アニメ調RPG”と呼ばれる作品は、基本的にキャラクターのガチャがセットとなってきた。魅力的なキャラクターが多く揃えられている一方で、すべて手に入れるのは現実的ではなく、入手しても実際に使っているうちに「ちょっと違ったな」となっても、(ゲーム内外問わず)資産を投入した以上は使う……のようなことも少なくない。

 一方で本作では、登場するキャラクターの大半は「いつか必ず手に入る」という前提がある。ある意味で、伝統的なRPGにかなり近いプレイフィールだ。もちろん、従来のいわゆる買い切りRPGであればストーリー準拠でキャラクターが加入し、前述のような周回の必要もないのだが、そこは運営型のゲームとしては最大限の譲歩なのではないだろうか。

“キャラガチャ”の代わりに、キャラクターや武器の見た目を変更できるスキンがガチャの対象となっており、そのバリエーションはサービス開始の時点でそこそこといったところ。ビジネスモデルとして考えれば、「手に入れたい」と思うようなスキンを作ること、「スキンを替えてあげたい」と思うようなキャラクターの見せ方をすることの二つが継続的に求められるだけに、ハードルは相応に高くなる。この成否は同系統の後続作にも影響を与えそうだ。

非常に美しいフィールドのグラフィック【画像:(C)Pan Studio All Rights Reserved.】
非常に美しいフィールドのグラフィック【画像:(C)Pan Studio All Rights Reserved.】

アニメ調RPGながら、MMORPGのような自由度も

 ゲームの全体観としては、同系統の一般的なRPG作品――有名どころでは『原神』や『鳴潮』など――と類似している部分もあり、グラフィックは2025年リリースの同ジャンル作品として正当進化を遂げていると言っていい。しかし、スキルのカスタマイズやアクションの挙動、設定の自由度などは、MMORPGのそれに近しいものも感じる。

 正直に告白すると、ゲーム性に関してはまだまだ把握できていない要素も多い。ただ、武器やキャラクターの強化に時間を割き、多様なスキンで他プレイヤーと差別化できるという意味では、「アニメ調RPGを、MMORPGの遊び方で楽しめる」という表現が適当かもしれない。キャラガチャが存在しない点も、キャラクター選択がMMORPGでいうところの「職業」と考えるとしっくりくる。

 MMORPGなら醍醐味になる他プレイヤーとの協力要素は控えめ。一方で、ストーリー上よく通る場所にマルチプレイエリアが存在し、自然と他プレイヤーが目に入るため、同じゲームを楽しむ仲間が可視化されているのは興味深い試みだ。

 移動やバトルといったアクションは、爽快感にあふれている。空中での方向展開や壁を登る際の挙動など、主にジャンプに関係する部分に改善の余地は見られるものの、ほとんどの場面でスタイリッシュなアクションが成立。通常の攻略に限れば、バトルの難易度も高くなく、プレイのストレスにならないようにチューニングされている。近接武器と遠隔武器を使い分けられることも新鮮で、遠隔攻撃もしっかり強い。ただ、スマートフォン版のプレイやコントローラー使用時のバグは多数報告されているため、このあたりの改善が必須となってくるだろう(筆者はPC版/マウス&キーボード環境でプレイ)。

 そして肝心のストーリーは、2人の主人公を軸に進行していく。それぞれについて男女を選ぶことができ、しかも両者の立場がまったく違うという点は、様々な角度からストーリーを見せようという制作陣の意欲を感じさせる。2つの視点からストーリーが進行し、流れを追うことにより両陣営から舞台となる「アトラシア」の現状が見えてくるため、過度な説明がなくとも多角的に世界観を理解できるという仕組みも面白い。

 総合的に見て、多くの要素で“平均点以上”を記録する、完成度の高いRPGとなっている。キャラガチャ廃止の影響が長期的にどう出るかは見る必要があるものの、ユーザー視点では気になるキャラクターがいれば(必ずゲットできるのだから)プレイしてみて後悔はないだろう。運営型ゲームと2軸のストーリーの相性も含め、注目していきたい作品だ。

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