「人間の命とクマの命、どちらが重要なの?」ロシア人観光客が複雑表情 “ヒグマ大国”が語った対策
日本各地でクマの出没が相次ぎ、住民生活への影響が深刻化する中、“海外ではクマにどう向き合っているのか”。その実情を外国人観光客に聞いた。

ロシア国内ではヒグマが極東からシベリア、カフカス地方まで広く生息
日本各地でクマの出没が相次ぎ、住民生活への影響が深刻化する中、“海外ではクマにどう向き合っているのか”。その実情を外国人観光客に聞いた。
ロシアから初来日したメアリーさんは、この日、滞在2日目の東京観光を満喫していた。今回の旅程は東京5日、京都3日、大阪2日の計10日間。東京タワーやSHIBUYA SKYなど人気スポットを巡り、日本の風景と文化に触れることを楽しみにしているという。
日本食も早速堪能し、特にラーメンが印象に残ったようだ。「ロシアでは塩辛い食べ物が多いので、日本のラーメンの方がロシアよりおいしいのではないかと思います」と語り、その味わいの違いに驚きを見せた。
ロシアでは、寒冷地ならではの保存技術として塩漬け文化が発達し、魚や肉、野菜を塩で長期保存する習慣が根付いてきた歴史もあることから、料理全体として塩味が強めに感じられることも多いようだ。
さらに、社会問題化している日本のクマ被害について感想を求めると、母国ロシアにおける野生動物との距離感についても言及した。「私たちの国にはたくさんの森があり、多くのクマが生息しています。ヒグマが多いです」と説明する。
ロシア国内ではヒグマ(ブラウンベア)が極東からシベリア、カフカス地方まで広く生息している。その数、日本の10倍ともいわれている。しかし、国土が広大なため、実際に身の危険を感じることは少なく、「クマに遭遇する可能性は非常に低い」と語った。
そのうえで、万が一遭遇した場合の対処法については、「大きな音を立てると怖がって逃げますし、鼻をたたくと痛みで怖がって逃げることもあります」と紹介した。
ただ、それでもクマが人を襲ってしまった場合には厳しい判断が迫られる。「もしクマが人を殺してしまったら、より大きな危険を避けるために駆除しなければなりません」と、自身の考えを明かした。
日本でもやむを得ず同様の対応が取られるケースがあることを伝えると、メアリーさんは静かに問いかけた。
「道徳的な疑問が生じます。人間の命とクマの命では、どちらの命がより重要なのでしょうか?」と状況を理解しつつも、命の優先度をつけることに複雑な表情を見せていた。
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